震災復興のかけ声だけの3年が過ぎて、なぜ住民への説明なしに地元でコンクリート工事が進むのかの疑問の声が広く浮上してきている。 市の予算か県の予算か国の予算か、また工事管轄、工事発注、維持管理など、ようやくその辺りの仕組み(多くは不正、談合、癒着)も市民の間で厳しく理解が進んできている。
仙台に本社を置くアイリスオーヤマの大山健次郎社長は「このままでは防潮堤に守られた立派な廃墟が残るだけ」と回りに警鐘を鳴らしているという。政治家も自信を持って予算執行をしているわけではなく地元住民の意向に舵を切ると同時に予算運用にも強い弾力性をもたせる事になってきた。復興とは期限付きで3~4~5年で出来るものではない。ゼロ出発の志をもって始めたい。いま防潮堤の見直しはその高さの見直しの様相であるが、内実は防潮堤そのものの是非、立地、修正など多彩である。
地元日報記事も盛岡本社、沿岸支局、東京支社発信で温度差がある。見極めて進みたい。
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「地元の意見集約を」政府内にも防潮堤見直し容認論
(2014/03/12 web 岩手日報)
【東京支社】東日本大震災の被災地での防潮堤建設で、計画見直しの容認論が政府や関係省庁に広がっている。安倍晋三首相は国会答弁で、地元で十分に議論し合意を図ることが重要と指摘。復興庁や国土交通省も計画変更に柔軟に対応する構えで、地元に判断を委ねている状況だ。
「防潮堤の復旧は県が主体となって進めるもの。どういう計画が地元に望ましいか、十分に話し合いながら進めることが大切だ」。安倍首相は今国会で防潮堤建設の計画見直しについて問われ、地元主導の意見集約が重要との認識を示した。関係省庁も「防災機能と環境・景観の調和について、住民の合意形成が重要だ」(根本匠復興相)、「地元の判断を聞いて柔軟に対応する」(土井亨国土交通大臣政務官)と足並みをそろえる。
財務省の担当者は「最後は政治判断」と前置きしつつ「集中復興期間が過ぎたからといって、被災地で必要な事業に予算を付けないということはないだろう」と話す。
被災地のまちづくり計画は現行の防潮堤の高さを前提にしており、防潮堤の計画変更が復興の遅れにつながる恐れがある。そうした負の側面も考慮した上で、各地域がどんなまちづくりを選択するのか。議論が深まるか注目される。
了
※ 防潮堤見直しスクラップ帳