宮古on Web「宮古伝言板」後のコーケやんブログ

2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。 藤田幸右(ふじたこうすけ) 管理人

第3回勉強会(3)

2014年11月17日 | 鍬ヶ崎の防潮堤を考える会

第3回勉強会(11/9 なあど)

前ページ 3)よりつづく


4)「勉強会」主催者からの質問、意見も提出された

主催者側では直立式(逆T路型)防潮堤への疑問・欠陥のレジメを配り会場で詳しく説明した。

主催者提出レジメ

 以下の赤い字はブログ用に書き足したもの

 


1. 鍬ヶ崎への津波の進路

津波は港の最奥(港町、ケーソンヤード)に集中

部分的決壊から⇨ 全体崩壊へ

明治29と昭和8年の三陸津波においても宮古市鍬ヶ崎地区の被害はここ港町を中心に被害が甚大であった。港町に向かう港そのものの形状と港町経由で海に注ぐ清水川の谷地遡上がそのように誘導したと言われ、今次津波においても、同様、清水川沿いに両側に流れが向いて行ったと言う人が多い。防潮堤が出来たら…傾向がますます加速されることになる

田老防潮堤からの教訓による

宮古市田老地区では第一線堤防潮堤の復旧が只今計画されているが、第一線堤が崩壊した原因の一つであったこの外洋に面した凹型線形は変わっていない。田老が田老を検証しておらず、鍬ヶ崎が田老を教訓にしていない。教訓とか検証の確認作業よりメーカーや建設業者の県庁へのコンクリートの売り込みの方が早くて強い、どうして県庁を信用できるのか?…



 

2. 弱い直立式防潮堤

◯ 印場所が破断する危険性

関節むきだしの直角構造は採用するべきではない
斜めのかすがい補強がないという絶対的欠陥
(傾斜堤との比較において)

プレキャスト工法は
「積み木」「レゴ」「プラモデル」仕様
なにがハイブリッドなのかも分からないでありがたがっている

経済性優先の危うさ 
講師から敷地スペース、建設経費、
手・納期の経済性がしつこく説明された。

関係ある?
役人がメーカーの人になっている。 





3. 海底地盤は?


上図のコメント清書>(左から)


・短い杭(くい)。昔の大島小島や岩礁をならして埋め立てた浅い地盤では防潮堤壁を支えきれない  浅い四つ足的鋼管杭で上物を支えるという。上物の防潮壁への津波衝撃で防潮堤自体が「もつ」と思われますか? 沿岸の人なら経験上だれでも答えはNOだろう


・鋼管杭と岩盤の結合は?  鋼管杭の直径とおなじ深さで埋める、との回答があった。80cmの打ち込みは何の支え(ちから)にもならないだろう…


・一つでもこのように(岩盤から)浮いた杭があれば防潮堤はもたない  ドミノ倒し的に防潮堤は全面崩壊するのは火を見るよりも明らか


・長過ぎる鋼管杭はしなるばかりで支柱強度がない  鋼管杭の長さは8m~40mと説明があった。前記、昔の大島、小島、岩礁をならして埋め立てた岩盤までの深さは8mあるとは思えないが…。4~5mなのでは?…。最長40mとして、岩盤までの地層は陸上とは異なり軟弱ぶわぶわでとても「杭の横抵抗バネ」(土木センター説明書)など効かない。鋼管杭思想は幼稚すぎてあぶない



3.11以前の地盤調査は当然無効である。 この事、直立式防潮堤にとって、基礎鋼管そのものの機能(あやふや)と同時にそれが打ち込まれる地盤が防潮堤にとっての生命線である事はだれでも分かる事である。冗談でなく防潮堤が砂上楼閣となる可能性がある。勉強会に先きだつ11/4の市役所における土木センター・宮古市の合同説明会において聴取出席者のK.Fさんよりこの地盤調査の特に岩盤の高低調査結果を公開するよう発言があって県広域振興局土木センターから了解の返答があったように記憶している。「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」としてもそのことを支持し地質調査の全面的公開を一緒に要請する次第である。今回の勉強会において同局土木センターの講師から3.11前後に計15地点の地質調査を行った旨の発言があったが少なくても3.11前(平成21、22年頃?)の7カ所地点においては、その後 3.11の大地震、大津波があり、なお50cm~100cmの地盤沈下があったもので調査結果自体が無効なはずである。それが調査済みという事は無神経というより「調査」思想がいい加減なものである事と言わざるを得ない。そもそもに立ち帰れば、調査は行われていなかったという話もある…、高浜の方が亡くなった今年8月の日立浜での調査の人身事故の事故の調査はその後どうなっているのか?の疑問も残っている。1600m長の防潮堤用地をたった15地点のボーリングで終わらせるなど地質調査の説明は終始あいまいで疑問だらけであった。100m長につき、たった1地点のボーリングで100mの地質・地層がワカルものなのか? 地質調査の結果報告の要請を継続するとともに、調査方法の聞き取りなどあらゆる疑義の回答を求めていくものである。

注)岩手県、県、岩手県沿岸広域振興局土木部宮古土木センターは往々同じ意味である。宮古土木センターの下が更に河川とか水産とか枝分かれした課係になっている。あまりに長いので、私の方で適当にピックアップして短くして書いているがいずれも同じ意味である。




4. 日立浜の船揚場は結局せまくなるのでは? 
  (※ 勉強会お知らせチラシからの引用図)

高波、高潮、爆弾低気圧等の波は、もともとの場所までせり上がってくる。船揚場を前出ししても波の進入高は同じ事。船置き場、作業スペースはせまくなり、かえって20m~30m余分に船を引かなければならなくなる。日当りも悪くなる。


まとめに代えて  今回第3回勉強会は計画防潮堤のハード面に絞ってそのため事業主体の県に講師もお願いした。防潮堤の防災効果や運用のほか堅牢さ、安全性にも根本的な疑問があった。やはり、という実感。説明を詳しく聞けば聞くほど工事の欠陥もはっきり見えてきた。

■防潮堤を考える上では、ハード面だけではなく、やはり鍬ヶ崎人の価値観に係る環境や景観への不安感が一番大きい。海の開放感の中で育った人たちには刑務所みたいな高い塀に囲まれて鍬ヶ崎の景色や空気はどうなるのかの不安が大きい。津波へ備えもあって早々と他所(よそ)に移った人も多い。

漁業や水産を中心にした鍬ヶ崎の産業がどうなるのかの心配。港湾の荷役や市場や寄港観光船、また他所からの漁船の水揚げ、運輸など、防潮堤のために出崎ふ頭発着や日立浜発着の産業が廃れる事は必至である。当然この影響は宮古市全体に波及する。

鍬ヶ崎は浄土ヶ浜へのエントランスロード(入り口)という発言があったが、コンクリートで囲まれたら鍬ヶ崎の観光的魅力というものは壊滅する。昔から鍬ヶ崎の港湾一帯がある意味で三陸漁業のにぎわいの一種の観光地点であり、市街地にもふさわしい観光施設や飲食などの整備も進めなければと言われてきた。転じて何も出来なくなる。鍬ヶ崎が廃れる…

── 等々、多くの角度から防潮堤を考え勉強していく必要がある。

 








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