平成29年9月 7日 鍬ヶ崎の防潮堤を考える会、9月定例議会に「陳情書」提出
同 9月19日 考える会 建設常任委員会にて「陳情書」説明
同 9月25日 建設常任委員長が本会議に「不採択」報告
同 9月26日 考える会に「不採択」の通知が届く※理由書はない
同 9月28日 議会議長に「意見書」郵送
同 10月16日 議会議長の意見書「回答」並びに本会議(9/25)の委員長報告(理由書)が届く
☆
1、考える会「意見書」への議長回答 10/16
この回答は深く読むまでもない。
そもそも考えたくないのだ
この回答の中味は、なにが何でも「余計な仕事を持ち込むな」という態度で建設委員会の結論と、また市議会全体の停滞した仲好しクラブの空気と同じである。もう一つは「防潮堤や閉伊川水門にかかわりたくない」という無知・無関心なのである。分かろうとしていない。意見書ものれんに腕押しであった。
議長の所見がない
建設常任委員会(高橋秀正委員長)の報告と一緒で、議長の回答も幼稚な論理矛盾におちいっている。両者とも被告の言葉だけきく裁判官と同じだ。もっともらしく個々の事柄の審議も必要だと言いながら(それは意見書の言葉尻をとらえたものである)個々の事柄も回避している。それはこうだという議長としての所見がなく報告をなぞって弁解しただけだ。本筋をはずして意見書の言葉の隙間だけはつついてこようとしている
最後に本音
回答書は最後に「委員会では今後岩手県に対して、防潮堤等にかかわる現地視察及び事業内容の説明を求める予定としております」としている。しかし今さら遅すぎた。一見、陳情の「調査・検証」の趣旨と同じことを言っているようであるが似て非なるものである。それは相変わらず岩手県・宮古土木センターへの隷属のことである。
2、建設常任委員会の(本会議への)報告書 9/25 ── 陳情 不採択の理由書
本題はさておき、委員長報告の個々の事柄についてコメントしておく。
「防潮堤、閉伊川水門の維持管理費については宮古市の負担がないことを確認 」
と言っても、すでに負担が来ている! 陸閘の自動開閉維持管理費について、当該自治体に負担金額、または負担割合が来ている。このことはすでに岩手県議会に於いて決議しており、県担当者は各自治体と協議済みである。前門の土木センターのほか後門の宮古市当局にもお伺いする必要があるのではないのか??
「20回の住民説明会や現地見学会を開催 」
これは県の開催回数だ。宮古市や宮古市議会が開催した回数ではない。回数が問題なのではなく市民周知や市民参加やその内容が問題とは言え、そもそもほとんどの市会議員が1 回も参加していない事が最大の問題。全議員のうち何人の議員が何回参加したか考えてほしい。
20回は多いって? ちなみに、20カ所近い総額1,000億円規模の事業で6年間に20回は少なすぎるだろう!!言われた事の規模がまだあたまに入っていない
「防潮堤の構造や強度を疑問視する項目などを土木センターに確認した 」
「確認した」はずの信頼が吹っ飛んでいる。
2017年としていた鍬ヶ崎防潮堤の完成年度が何の説明もなく 2018年度に延期されていた ことが発覚(9/15の土木センターと「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」との会談席上)。この事については、一昨年地元鍬ヶ崎の復興会議(古館昌三会長)が工藤小百合市会議員共々700余名の署名をもって市議会に請願し、早期完成を当建設委員会に訴え説明したが不採択とされた。「県・土木センターは工期(17年度完成)は守ると言っている」というのがその理由であった。その時も高橋委員長は当建設委員会委員長であった。責任を取ってもらいたい。
◎ 委員長報告は土木センターの見解をタテに「陳情者の認識は間違っている 」という本会議への報告であった。ことごとく土木センターが正しいと言っている。(故に陳情却下!)
ちなみに、繰り返すことになるが「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」が陳情書に記載した「個々の事柄」(「いくつかの懸念事例」として記載)とは ──
・完工時期の未達成が予測される: 閉伊川水門、防潮堤とも何度も工期延長を行ってきた。鍬ヶ崎防潮堤についていえば2017年度が期限である。2016年度の台風10号の影響などで閉伊川水門の2020年度の工期も疑わしい。
※ 昨年の発表で今年度末(2018.3.31)に決まっていた鍬ヶ崎防潮堤の工期は来年度まで再び延期になっていた。地元への発表はなし。閉伊川水門は2020年の工期は守るというが、内容的にはしどろもどろであった。(9/15の土木センター・「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」会談)
・閉伊川水門のネガティブシミュレーション: 無条件で工事が進んでいるがいまだにネガティブシミュレーション(決壊した場合の浸水等)が示されていない。
※ ネガティブシミュレーションとは水門が決壊した時のシミュレーション。原発再稼働のネガティブシミュレーションは避難訓練を伴って全国各地で行なわれているではないですか!?市民の命を預かる自治体当局に取っては、このことはごくごくあたりまえなことなのだ。原発も水門も防潮堤も安全の「建前」だけではだれも信用しなくなった。早急にネガティブシミュレーションを実施しなければならないだろう。
・藤原地区⇔⇔磯鶏地区防潮堤の脆弱さ: 防潮壁の厚さが64cmに過ぎないほか、上物ブロックの横の連結、基礎から上物までの連結が弱い。地区にとっては魔の防潮堤となる。
・鍬ヶ崎地区防潮堤の曲り角部分には芯鋼管が入っていない: 津波の横圧が強まる港町などの防潮壁に鋼管が入っていない。
・鍬ヶ崎地区防潮堤の鋼管杭の検証: 最初の上町地区120メートルは基礎鋼管杭80本が支持地盤層に届いておらず打ち直しになった。ほか鍬ヶ崎地区で1000本を越える基礎鋼管杭の検証は行なわれていない。
・陸こうの自動閉鎖システムの住民合意: システムの説明、閉鎖タイミング、ランニングコスト負担、等について住民合意が進んでいない。
・施設建設による生態系破壊: 宮古湾の藻場(もば)・回遊魚への影響、養殖事業への影響、伏流水への影響など
・工法: 岩手県は工期短縮などのために防潮堤、水門の工法に「標準断面方式」を採用しているがそれが裏目に出ている。「通常の工事であれば詳細な現地調査を行った上で入札を行う。だが、被災地では着工を早める概略設計で入札する標準断面方式を採用し、契約後の変更が多い。資材や労賃の高騰も重なり、大幅増額になるケースもある」(岩手日報 2016.3.22)。
・設計思想: 防潮堤、水門にかかる津波の圧力計算を貯水ダム、河川堤防と同様に水深だけに関係する水圧力「静水圧」で計算している。
☆