宮古on Web「宮古伝言板」後のコーケやんブログ

2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。 藤田幸右(ふじたこうすけ) 管理人

太平洋観測網を頭に入れよう!!

2024年01月29日 | 最大クラス津波

太平洋の海底には地震や津波を観測する大規模な海底観測網があった!

S-net   N-net
注意)
「S」は北に敷設 「N」は南に敷設

 
 
Yahooニュース 栗栖成之  防災士×探偵ライター 2024.

photo AC

2024年1月1日に発生した、令和6年能登半島地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

被害を受けられた皆様の安全と、1日でも早く平穏な生活に戻られますことを心よりお祈り申し上げます。

能登半島地震から1か月が経過しようとしていますが、28日には東京湾の深さ80キロを震源とするマグニチュード4.8の地震が起き、東京や神奈川県などで震度4のゆれを観測しています。

首都直下地震の襲来が予測されているため、大きなニュースとして報じられました。

そこで、津波をもたらす海溝型の巨大地震をどのように観測しているのか調査してみると、太平洋の海底には「地震・津波観測網」が展開されていることが分かりましたので、本記事で紹介しておきましょう。

 

S-net:日本海溝海底地震津波観測網

防災科学技術研究所

 

「S-net:日本海溝海底地震津波観測網」は、2011年3月11日の東日本大震災を受けて設置された海底観測網で、地震計や水圧系から構成される観測点を150点設置。

各観測点は光海底ケーブルによって陸上局に伝送され、防災科学研究所に送信されています。ケーブルの全延長は約5,500kmにもおよび、次の5つの海域を網羅しています。

① 房総沖  

② 茨城・福島沖  

③ 宮城・岩手沖  

④ 三陸沖北部  

⑤ 釧路・青森沖  

⑥ 海溝軸外側(アウターライズ)

 

防災科学技術研究所

 

S-netがあるとどのようなメリットがあるのか

海底に設置することで、海溝型地震や直後に発生する津波を直接的に検知でき、迅速な津波警報などの発表にて早期の避難行動が開始できることや、被害の軽減など防災対策への貢献が期待されています。

確かに、津波の発生は早く知ることが重要ですし、より正確な情報となれば信用性も高まります。

 

S-netの観測装置

防災科学技術研究所

 

 

相模湾地震観測施設

防災科学技術研究所

 

相模湾地震観測施設は相模トラフに沿って、約12キロメートル沖合まで1本の海底ケーブルで接続されています。

観測網には地震計が6台、水圧系が3台あり、海底下で発生する地震活動や地殻変動、津波を検知可能。

1923年に起きた関東大震災はこの相模トラフがズレたことで起きた地震災害であり、以前には江戸時代となる1703年にマグニチュード8クラスの元禄地震が発生している地域です。

そのためこの観測施設は1996年3月から運用を開始しています。観測データは神奈川県平塚市の中継局に伝送され、防災科学技術研究所や気象庁、各研究機関が利用しています。

 

DONET:地震・津波観測監視システム

防災科学技術研究所

DONET(Dense Oceanfloor Network system for Earthquakes and Tsunamis)は、南海トラフで起きる地震や津波を観測する目的で開発された観測網です。

南海トラフ海域の熊野灘と紀伊水道沖に計51ヶ所の観測点を設置し、ゆっくりとした地殻変動などの海底の動きや大きな地震動、津波などあらゆる種類の信号をキャッチできます。

多種類のセンサーは「強震計・広帯域地震計・水圧計・ハイドロフォン・差圧計・温度計」から構成され、観測データはリアルタイムで関係機関に送信されています。

DONETの観測装置

防災科学技術研究所

 

DONET1とDONET2で構成されている

DONETは、DONET1とDONET2で構成されており、DONET1の観測データは三重県尾鷲市の古江陸上局に送られ、DONET2の観測データは徳島県海陽町の海陽町まぜのおか陸上局と、高知県室戸市の室戸ジオパーク陸上局に送られています。

それぞれの観測データは、防災科学技術研究所のみならず気象庁や海洋研究開発機構、大学等の各研究機関にも利用されています。

DONETだけでは南海トラフ全域をカバーできない

DONETは南海トラフで起きる地震や津波を観測する目的で開発されていますが、範囲的には南海トラフ全体を網羅できていません。

設置図を見れば分かるようにDONET2の受信先は四国の徳島県と高知県ですが、海底に設置しているのは東海地方に近い地域です。

そのため、四国から九州の範囲の南海トラフが先に動けば、期待する効果が低くなるでしょう。

 

 

現在進行形|N-net:南海トラフ海底地震津波観測網

 

海底地震・津波観測網の構築・運用

先に紹介したDONETだけでは南海トラフ全てを網羅できないため、観測網の空白地帯が存在します。

その空白を埋めるのが「N-net:南海トラフ海底地震津波観測網」です。

N-netはまだ完成しておらず、2019年から事業を開始し、現在の情報では次のようなスケジュールで進行中です。

・2023年10月24日
沖合システムの敷設工事 開始
・2023年10月下旬
陸揚げ作業
※(高知県・室戸ジオパーク陸上局への陸揚げ)
・2023年12月下旬
陸揚げ作業
※(宮崎県・串間陸上局への陸揚げ)
・2024年 1月中旬
沖合システムの敷設工事 終了
・2024年以降
沿岸システムの敷設工事 実施
・2025年 3月末 N-net 整備完了
※陸揚げ作業:海底ケーブルと陸上局を繋ぐ作業

 

防災科学技術研究所

防災科学技術研究所の2023年12月18日の「お知らせ」には、宮崎県串間市でN-netの海底ケーブルの陸揚げ作業見学会の実施がお知らせされています。

このことから、スケジュール的には遅れなく観測網の設置が行われているようです。

 

 

N-netが完成したらどうなる!

N-netが完成すれば、S-net・DONET・N-netによって、海溝地震の原因となる太平洋沿岸の全てのトラフをリアルタイムで監視できます。

そのため、地震や津波をリアルタイムかつ直接検知し、早期に精度の高い情報の提供が実現します。

津波の予報を最大20分程度早く検知し、南海トラフや日本海溝沿いで発生する地震像の解明が目標とされています。

これだけの海底地震観測網が構築されていることは、二ユースなどでは大きく報じられていません。

地震はいつ起きるか分からない災害であるため、少しでも早く感知できれば助かる命が多くなるでしょう。

これだけの観測網が、期待通りに有効に働くことを祈るばかりです。

 

 

 

[関連記事]  太平洋側海溝 観測網    2023.9.26

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする