鍬ヶ崎の区画整備はどんな考えで進められているのかいっこうに見えない。奥歯にものが挟(はさ)まっているような言い方だけである…。なに一つ明瞭ではない。将来何百年にもわたり鍬ヶ崎の町並みを作ろうというのに今の段階ですでに奥歯にものの挟まったような…
奥歯にものの挟まった…
(1)土地の買い上げというが、どのくらいの規模の買い上げなのか? 面積は? 価格は? どのような基準が買い上げ可否の基準なのか? 買い上げた土地はなにに使うのか? 自分の住む面積から余る土地を今高値で売り抜けたい人も多いと思う。減歩、換地の思惑で揺れる人も今のうちに売っておこうか迷っている。申込めば本当に買ってくれるのか?
(2)道路や公園というが、公共施設用の土地で一番大きいのはおそらく巨大防潮堤の用地であろう。なぜそうだとはっきり言わないのか? 防潮堤用用地はもともと公共用地ではなかったのか? 後ろ暗く市民の土地と税金を投入することは許されないことだ。いずれにせよこの不透明感は質(ただ)されなければならない。
前回説明会=第1回(2012.9.20)左からの変更。第2回(2012.12.19)右図
(3)宅地(黄色)はともかくとして、商業系土地(ピンク色)と産業系土地(薄むらさき色)とは? それぞれどんな業種・業態が予定されているのか? 立地企業のめどはどのくらいたっているのか? 地場企業なのか外部からの誘致企業なのか? どのくらいのめどがあるのか明らかにするべきだ。少なくともその目指すビジョンを地元には示すべきである。
(4)各コンサルタント会社やUR都市機構とはこの個別立地企業指導や外部からの企業誘致に関してはどんな内容で業務委託契約をしているのか? デザイン業務や設計業務、工事の受発注業務だけの契約なのか? はっきり企業立地の実質指導・誘致がなければ業務委託の意味がないと思う。
(5)住宅系土地利用、商業系土地利用、産業系土地利用の配色ではない、それぞれのビジョン、それぞれのめどを示してほしい。住宅は、意向調査で、持ち家(20%)、公営住宅(14%)の形で地区内に34%の居住希望があるという事は分かっている。しかしそれとて区画整理区域内であるかどうかはいまだ分かっていないのではないか。
(6)商業系土地利用、産業系土地利用についても、行政としてのめどやビジョンがそれほど簡単に示せるとは思えない。コンサルタントやUR都市機構の英知を借りても容易なことではないことは分かる。しかし、努力の途中経過、努力の方向性が見えないという事は大問題である。なに一つどこからも聞こえてはこない。
(7)裏側にはあまり回り込みたくないがコンサルタントやUR都市機構やほかの民間業者などと裏ではよい意味の大きな取引が行われているように思える。被災から満2年近く、鍬ヶ崎地区の復興のつち音はあまりにも低すぎる。業者とのいい話をオープンにするだけではなく地元被災者の意見や要望を真剣に集約してほしい。現実的なめどやビジョンはむしろ地元にあると思う。
(8)宮古市は「広報みやこ」(1/15号)の第1ページで「平成24年12月28日、鍬ヶ崎・光岸地地区での土地区画整理事業を都市計画決定」と大きく報じた。えっと思われた市民も多かったのではないか。予定区域の線引きが決まって、とりあえずの建築制限や自粛解除が行われるという事で、土地区画整理事業が決定したわけではない。まぎらわしい。この積み重ねで本当の決定にもっていこうとする狡猾さが見える。
(9)奥歯云々の理由は、公平に進めているようで裏では個人や団体がいろいろ注進したり注文したりしているように思えるからだ。設計図一つ作るにも誰かが自分の利益のために建設担当課と、あるいは委託業者と秘密で通じているような気がする。例えば防潮堤の位置の変更は私企業の都合だ。こうも簡単に地区防災線を変えていいのか? 防潮堤の大義はここで壊れている。
(10)奥歯にものの挟まったような感のある鍬ヶ崎地区での区画整理事業。
そもそもどんな利益があって実行するのか? いつ、誰が、どんな手続きで事業の意向決定をしたのか? 近未来に、遠未来に、いまだに確信のない内容で、本当に事業を進めていいのか? なによりも地元住民との同意があるのか?
はっきり言って、官×官と官×業(民間企業)で進めてきた事業である。事業を進めるより先きに、原点に返って,宮古市民に再度この事業の説明責任を果たすべきだ。そしてもう一方の原点に返って鍬ヶ崎住民の意思をていねいに確かめる必要がある。通り一遍ではなく宮古市はその総意志の取りまとめに今こそ精力を注ぐべきではないのか? 遠回りのようであるがその方が近いのでは?
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