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2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。 藤田幸右(ふじたこうすけ) 管理人

工事変更で土木センターと会見(2=詳細)

2015年07月27日 | 鍬ヶ崎の防潮堤を考える会


宮古市・鍬ヶ崎地底岩盤からのメッセージ 


鋼管杭埋設の岩手県の方法:支持地盤に鋼管杭めくら打ち、時々支持地盤未到達容認、横バネ効果不効果こだわらず、鋼管腐蝕、メンテナンス無頓着。結論は、岩手県は鍬ヶ崎の沿岸(住民)などどうでもいいと考えているようである。「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」は、7月13日、岩手県・宮古土木センターとの面談を行い鍬ヶ崎防潮堤の工事の変更について質(ただ)した。

 

1、岩手・宮古土木センターの立場 vs 地元住民の立場 ── 結論的に


 (1)「その1工区」の中止、長い中断、の教訓とは、してはならない防潮堤基礎工事の取り返しのきかない「めくら打ち」の教訓である。通常の長尺工事についてまわる微小誤差の範囲を越えている。岩手県知事の事態分別のない土建屋流指示や、地質専門家の実地抜き鑑定占いに命をゆだねる事は出来ないというのが、地元住民の結論である。

(2)当事者の鍬ヶ崎地区以外の人々には、この事はピンとこないところがあると思われるが、それだけに、地域の命運をかけている鍬ヶ崎人は、自分の判断を声に出すべきである。

(3)「横断図は作らない」、防潮堤敷地の横断層のデータは取らない、と開き直る岩手県の地質、地形調査は逆T字型防潮堤の基礎部分設計と大きな矛盾を残したままで、後々の工事が全て疑惑の対象になる。鍬ヶ崎沿岸の陸側・海側の傾斜岩盤、複雑地形を全て無視するといっているに等しいのである。そのマイナスの意味を答弁側が分かっているのかどうか…

(4)今公表されている「その1工区」の縦断地層図の鋼管杭支持地盤線はペア鋼管杭の陸側線か海側線かの質問に、おそらく口から出まかせであろうが「真ん中である」と答弁している。支持地盤線から陸側に2.7m、海側に2.7mにそれぞれ鋼管杭を打設する、と言う。真ん中であれば平均的で何か許されるニュアンスがあるという事であろうが事態はそれほど甘くはない。横断図不在を正当化する意図だけの答弁である。ともかく「横断巾5.4m(2.7mプラス2.7m)の上下段差実数メートルについては記録があるが今は見せる事が出来ない、情報開示請求をしてもらいたい」と質問を遮(さえぎ)った。全ての質問にこの調子です。深まらない

(5)土木センターは最小限の説明しかする気がない(出来ればしたくない)。こちらは直接住民の「命」に係る事だから最後まで質問するところは厳しく質問しなければならないが、かように、さようにはぐらかされる。己の程度の低さを隠す為であり、情報不開示の官僚主義を保つ為である。かみ合う議論にはならなかったが多少の成果もあり岩手県庁の闇も見えた。事実を追って行く…


2、「その1工区」の鋼管杭を抜いたり再び埋め戻したり


 事実(1)地上部の鋼管は空洞。四段に積み上げられたコンクリートの巨大ブロックはこの空洞の鋼管だけで支えるという。この鋼管は、有事には捥げる(もげる)か拉げる(ひしゃげる)しかないだろう…

事実(2)鋼管杭は下から4D(3.2m)までコンクリートを詰める、中間には掘削して掘り出した土砂(!? 岩盤までの地層をみる事が出来るのだ=ボーリング調査の意味があるのかどうか?=岩盤破片が掘り出されるのかどうか?=めくら打ち優先)を詰め戻す、最上部蓋(ふた 2m)はコンクリート詰め。

事実(3)今年2015年2月に「その1工区」において鋼管杭打設が始まった。予定80本の打ち54本打ち終わった時点で中止されたが54本のうち50本が支持層に届いていなかったからだ。驚くべき事は、岩盤未到達を分かっていながら54本を打ち終わっていたという事実。何なのであろうか?

事実(4)以降7月まで4ヶ月間、不足鋼管の製造と到着を待って工事中断。その間に岩手県は検証のため5地点の追加ボーリング調査を始めた。もともとこの120mの工区間を震災前のたった2地点のボーリング調査を頼って始めた工区であり早くから「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」で異議を申し立てていたものである。この結果論的追加調査を岩手県は「チェックボーリング」といっている。おかしいだろう。当てずっぽのめくら打ちの後でチェックするボーリング調査は…。どうなっているのか? アリバイ作りの臭みだけである…調査の実効性は前と同様に乏しい

事実(5)7月から再開した鋼管杭修正打設は「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」に回答した知事の方法で行われた。県庁本庁県土整備部の八重樫課長は行き当たりばったりに言う「短い鋼管杭は上に鋼管杭を継ぎ足して支持層まで届ける」と。ただし、既打設の寸足らず鋼管杭は地面に喰い込んで溶接作業には低すぎるので一本一本クレーンで引き上げて追加鋼管杭を重ねて溶接、再度地中に打設する。(長いところは地上で切断する=八重樫課長)。もはや 横バネ をいかに利かせるかの問題意識から離れ、単なるコンクリートパイル等の土木工事屋の口先ノウハウである。言い逃れや目先きの調整(利益)に追われて官も民間もなぜ鋼管杭基礎にしたのかの初期動機が完全に忘れ去られている。前提が揺らいでいる

   

埋設鋼管杭を溶接作業するためにクレーンで引く抜く


 事実(6)観察したところ鋼管杭と鋼管抗の溶接は超簡易溶接というべきほどイージーな設え(しつらえ)での溶接であった。上下の鋼管杭は長いクレーンのロープに支えられたままの溶接である。見るからに垂直線にも不安があった。

  

上に追加鋼管杭をあてて溶接。コンクリー蓋をして再び埋め戻す


事実(7)水も出ている工事現場での大型クレーンを使っての鋼管杭の引き上げ、溶接、再打ちこみの作業は見ていても困難を極め事故が何時起きても不思議ではない感想を持った。このような作業を延々と80本続けるのであろう。

事実(8)この工区以外の現場は、おそらく、もっと迅速、もっと合理的に進めるのであろうが、…その迅速性、合理性がなにを意味するのか、考えてみて、地元民はぞっとしている。それが手抜き、杜撰、短絡、隠蔽の工事である事を知っているからだ


3、ウソにまみれた鋼管杭の埋設工事(1600m全体を展望して)


 鋼管杭埋設の岩手県の方法:支持地盤にめくら打ち、時々支持地盤未到達容認、横バネ効果不効果こだわらず。…結論は、岩手県は鍬ヶ崎の沿岸(住民)などどうでもいいのである。

 事実(1)支持地盤、陸側と海側の高低差は「横巾(横断巾)に対して1.5倍くらい」と、のんきなことを言っている。どの場所で? 平均的にか? には答えられなかった。最大値を導きだす事が大事な事なのに…。1.5倍とみても5.4mに対しては8.1mもある!8.1mの高低差は大変な段差なのである! 後で述べるようにこの能天気さはあまりに鍬ヶ崎をばかにしている。

 事実(2)盛んに「まさつ係数」を言っている。つまり深い支持地盤では長い鋼管杭に強い摩擦が生じる、と。だからどうだということをしっかり認識していないようだが(メーカー等から役人が)言われている事はこのような事だと推測する。摩擦のために十分に横バネ効果を発揮するので長い(深い)鋼管杭は支持地盤まで敢えて打ち込む必要がない、と。打設(掘削)方法からみて、摩擦係数も、摩擦力も小さいはずだ。…有事に地震によって、また津波襲撃の横からの力によって上に引き抜かれる心配の方が大きいのだ。しかし摩擦を強調している。彼らは恐ろしい事を考えている…

 事実(3)会見の翌14日、われわれの仲間が工事現場の監督者に聞いたところでは「長い方にあわせる」と言ったという。これはわれわれ発のニュースレターNo.6の記事を念頭に置いた言葉であるが、長い方、つまり海側の鋼管杭(No.6 記事の図では岩盤から浮いている)の有効長さの方に陸側の鋼管杭の長さも合わせるという意味である(下図)。海側陸側が平均的に8.1mの高低差であるのであればペア2本に1本に無駄な、有害な 8.1mの余分な長さが生じる。全1064本の鋼管杭÷2(ペア)×8.1m:4309.2mの有害な、無駄な、余分な鋼管杭が鍬ヶ崎沿岸に打ち込まれる事になる。事実はもっと…横断段差が明確になるほどに傷口は更に大きく広がるものと思われる。例えばペア(2本)鋼管杭のみならずユニット(4本)鋼管杭も同一の長さで(一番深い支持地盤に合わせて)埋設する事を隠し通そうとしている。闇というよりすでに背任行為だ…

    

「長い方に合わせる」図

   

ユニット(=4本)鋼管杭(支持層への埋設深は?)



【特別写真】


  


  

たった4ヶ月埋めただけで鋼管は塩分で腐蝕している(上写真)
ページ最上写真をクリック!

(目撃者談)「錆というよりはがれているように見えます。たった4ヶ月地中に埋められていたもの。長さを追加するためにクレーンで抜いたものです。1年もすれば穴があきそうな勢いですね。どんな鋼材なのでしょうか? そもそもこれが防潮堤基礎たり得るものなのでしょうか? 偶然の1本であっても鍬ヶ崎の防潮堤はここから崩壊します。鋼管の粗製濫造が始まっていると思います。先きの震災の検証が行われておらず形だけ替えて同じ欠陥防潮堤が作られているのです。」


下写真はプレキャスト工法のクレーンワーク

撮影はいずれもK.古舘さん(2015.7.15



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