宮古on Web「宮古伝言板」後のコーケやんブログ

2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。 藤田幸右(ふじたこうすけ) 管理人

原発 怒りしかない!

2020年09月01日 | データ、転載など

連載311その時そして【No.10】

3.11 シイタケ農家・6回連載

〜 原発から240キロ、まさか 〜

新聞 岩手県版(2020.8.27〜9.1)

 

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(本文)乾シイタケの生産が盛んな山田町。夫婦で原木シイタケの露地栽培をしていた小林美好さん(60)の作業小屋には、2台のシイタケ乾燥機が置いてある。
 シイタケ栽培を始めた15年ほど前にローンを組んで買った1台と、農家が減ってシイタケの値が上がると持ちかけられ、東日本大震災後に譲り受けた1台だ。
 東京に出た長男(27)も、いずれは戻って一緒にシイタケ農家をやる。そんな将来設計が、東京電力福島第一原発の事故で変わってしまった。2台の乾燥機はいま、自家用のシイタケを乾燥させる以外は使うことがない。
     ◇
 2011年3月11日、自宅の居間にいて激しい揺れに襲われた。内陸の織笠地区にある家は、瓦屋根がほとんど落ちたが目立った被害はなかった。
 車で5分ほどの所にある山で、夫の光雄さん(57)がシイタケのホダ木を並べる作業をしていた。地震で崩れた岩の下敷きになっていないかと心配になり、見に行くと黙々と作業を続けていた。4月に収穫を控えていた。
 翌日、同居する義母から、町中心部に住む親類が心配だから行ってほしいと頼まれ、光雄さんと長男と車で向かった。停電でテレビがつかず、ラジオも聞かなかったので、津波が来たことも知らなかった。
 中心部に近づくと、漁船が打ち上げられ、車がひっくり返っていた。火災で一面が焼け野原の状態。親類3人は呆然(ぼうぜん)とした様子で立っていた。親類は「家も、何もかもなくなった」と泣いた。小林さんは「うちに行こう」と、3人を車に乗せて自宅に戻った。
 山田高校の体育館に避難していた両親も連れてきた。数日後には、田の浜地区出身で仙台に住む友人とその娘も加わった。津波で実家を流され、行方不明の父親を探していた。
 福島第一原発で爆発があったのは、そんな時だった。避難指示の範囲が広がり、15日にも爆発音があった。通常値を大きく超える放射線量が各地で観測されたとニュースで聞いた。
 福島第一原発から山田町まで直線距離で約240キロ。まさかと思ったが、市民団体で放射性廃棄物について勉強している盛岡の知人に電話をかけた。「うちのシイタケが心配です」
     ◇
 原発事故の影響は、遠く離れた山田町のシイタケ栽培にも及んだ。原木栽培の乾シイタケの産地で農家の奮闘を追った。【成田認】(2020.8.27)

 

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 (本文)露地栽培のシイタケに含まれる放射性物質を減らすためには、原木の放射性物質の濃度が低い必要がある。指標値は1キロあたり50ベクレル。だが、山田町内だけでは本数の確保に限界があった。長さ90センチの原木が町内なら1本50円ほどなのに、県外から買うと1本350円ほどになった。
 ハウス栽培も考えたが、平らな土地を借りなければならず、資材や設備の維持管理などの費用もかかる。小林美好さん(60)は夫の光雄さん(57)と話し合い、2015年、シイタケ栽培をやめることにした。
 もともとコメや野菜を作っていたが、現金収入を増やすため15年ほど前からシイタケ栽培を始めた。消費者の健康志向を背景にシイタケは人気が高く、頑張りがいがあった。
 自然に囲まれて育った夫婦は、一人息子にものんびりとした生活をしてほしいと野斗架(のどか)と名づけた。高校卒業後、都会暮らしを数年経験したらUターンして、一緒にシイタケ栽培をやろうと話していた。「親子3人で力を合わせれば、細々でも生活していける」と。
 震災後、東京の会社に就職した野斗架さん(27)は、このまま東京で暮らしていくと言っている。小林家はいま、野菜やコメを作る以外に山林の伐採や下刈り、大工作業などで生計を立てる。「水田や畑、シイタケで収入が得られないと、戻って来てとも言えない。本当は、山田のことが好きだと思うんだけど」。小林さんはそう思いやった。(2020.9.1)



原発を止めるまで、行動しつづけます!(M.小林)

 

 

精一杯努力しても家業復活の願いは天に届かなかった。ご子息への「本当は(彼も)山田のことが好きだと思うんだけど」という思いだけは、息子さんへも山田町住民にも届いているのでは、と思う。 [ブログ管理人]

…苦労の道はつづく…

 

 

 

 

 

コメント
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