防潮堤、杜撰(ずさん)、末期的(まっきてき)!
磯鶏防潮堤構造図 1
津波で壊れそう…
磯鶏防潮堤断面写真と田老旧防潮堤断面図
外枠筆線は旧田老第一防潮堤の断面の大きさを示す。天頂の幅は約5メートルで日常的に人の往来があった。磯鶏地区防潮堤の厚さはこの高さ場所でたった64cmの超薄型。
3.11の津波でも台形型の田老第一防潮堤は壊れなかったがその外側の第二防潮堤は水門の枠を残して跡形もなく消滅した(壊れる前の図面も形状も岩手県からは開示されていない)。防潮堤の高さは旧田老と新磯鶏はほぼ10メートルで同じ。磯鶏地区のこの直立式プレキャスト防潮堤は貧弱で津波に耐えるとはとうてい思えない。
ちなみにギネスにも登録されていた釜石の湾口防波堤は田老の防潮堤と同じ台形で高さは海底から60メートルあった。万里の長城といわれた田老防潮堤のようにスーパー防波堤と呼称され絶対不倒建造物を誇っていたが3.11津波ではあっけなく崩壊した。
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磯鶏防潮堤構造図 2
「底版」と「基礎鋼管杭」の連結が不備・不明
防潮堤本体を支える底版に対して地中から伸びている鋼管杭が底版に対して1/3くらいの長さしか収まっていない疑いがある。鋼管杭の役割が横圧横転の津波に対して完全に無力。横づれ防止の単なるツメの役割。なお基礎鋼管杭がどのように支持地盤に打設されているのかは未検証である。おそらく未到達をごまかしている
参考写真(下)鍬ヶ崎防潮堤では鋼管杭が底版上辺まで収まっていることが確認されている。こちらも支持地盤問題は不明
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磯鶏防潮堤構造図 3
「防潮堤本体」と「底版」の連結は?
写真のこのコンクリート台(底版)の上に縦列で防潮堤本体が並ぶ。底版に打ち込まれた短い鉄骨でどのように防潮堤本体に連結・接続されるのか? この短い鉄骨で大丈夫なのかと誰もが考える。何やら精密な連結方法があるようであるがどんな仕掛け? どんな装置なのか?
こんな針金みたいなもので連結しても、コンクリートの壁をただ置いただけの構造に変わりはない。
参考写真(下)鍬ヶ崎や山田の防潮堤では心棒鋼管が連結の役割を担っている。
ユニット毎に心棒鋼管にコンクリート本体
ブロックが串刺しのように重なっていく
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信用できない岩手県の設計思想
岩手県の防潮堤の設計思想には誤りがついてまわっている。防潮堤の設計というからには、本質的に、その「造り」ではなく津波の「強さ」が問題なのである。そのことを忘れている。「造り」または「造り方」を自己目的に追うために過去事例の模倣、捏造、改竄が横行している。
特に貯水ダムや河川堤防からの誤った類推設計が多い。政治的忖度設計、政治経済的設計なども散見される。共通しているのは3.11の津波の強さが科学的数値としても設計思想として考慮されていないということだ。本質論無視、方法論の欠落。津波の多角的な「検証」が、いまだに行なわれていない。