銀河のサンマ

何でもあり

知らない

2019-11-17 | ものかたり

 

 

母は知らない

私の俯く顔を見つめすぎていることを

母は知らない

瞳を閉じそうで閉じない私を眺めすぎていることを

母は知らない

寝そうで寝ない私が気になりすぎていることを

母は知らない

本当は私は眠ろうとしていないことを

母は知らない

実は私が母を眠られせてあげていることを

母は知らない

母は私を眺めすぎて草臥れ目を閉じてゆくことを

母は知らない

母が眠ったのを確認し私はそっと離れ寝床についていることを

母は鈍いがやっと知ってしまった

私が母の睡眠誘発剤だということを

だから書きとめているようだが心で認めていないらしい

 

 

 

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おろし猫

2019-11-16 | わたしごと

 

 

4時半過ぎに月をみた。

オリオン座も確認し手で星をなぞる。

見つけられないほどの星をみつける為、目が照準を定める。

私の目はときに双眼鏡の様に機能的だ。

体はその逆だ。まったく機能しない日が多い。

心はまた別だ。

頭もまた別で伝達が悪い方だ。

食事時110迄生きたとして動物をあと何度飼えるだろう?

いや110は無理で100として何匹救えるだろうか?

私は既に横たわらせている重い体で呟いている。

付け合わせの出来の悪い卸し猫に言われる。

今でも危い時があるのに100とか110と、ほざく?それとも寝言いった?

ふふふふふーそりゃそう。

体は毎年持ちこたえるのに懸命なのに100だとか110と自分でもよく言ったものだ。

所謂、頭がすっ飛んで心も体も無視して言葉に発してしまったという現象だ。

でもよく言うたな卸し猫。一箸でオマエを喰ってやる。

私は卸し猫をアングリ口に入れ辛いっ!と叫んだ。

 

 

 

 

 

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頽る

2019-11-10 | 詩っぽい(冬)

 

 

 

冬がせかす

大気ひやり 

花弁割れる

静かに頽る

 

 

 

※頽る・・・くずおる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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花まる味噌汁

2019-11-08 | 銀河食堂

 

 

風邪の怠さに僕は布団へ潜った夜明け前。

休暇でもとろう、と決断しガバッと布団を捲って起きた。

「立冬の朝に営業してみたの」の文字。

僕は寝惚けているのだろうか?

「銀河食堂」現る、あの小料理屋だ。

寝ぐせ寝巻のままガラリ。

何?また風邪?腎臓また悪くなってるの?大変ね~。

休暇とるから寝るんです。

そう、花まる味噌汁のんで。新作なのよ。

花まる?

ゆで卵を味噌汁にいれたら、御花の様で、ふふっ。女将は恥ずかしそうに笑った。

新作というか、毎度、初めてシリーズだよね?

そう!初めてつくって、今命名した「花まる味噌汁」なの。

へぇ、頂きます。

こわい?腎臓が。きらい?冬が。更に今日は憂鬱?

急に真顔で放った言葉の女将が怖い。

灰色な冬が来ても、桃色の空が時々あるの。女将の顔が戻る。

ん?

みつけてよ、ふふっ。

花まるな日を?

そっ!夜が明けるわ!立冬よ!花まるな一日をっ!ふふふふっ。

女将のその笑いと真っ白なエプロンが僕の前をサーッと煽る。

気がつくとベランダにいて桃色な朝空が迎えている。

花まる味噌汁ねぇ、、、女将を楽観的な人と考える。

憂鬱さ、そんな簡単に抜けないよ、僕は桃色空に、あっかんべーをする。

 

 

 

 

 

 

 

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秋明菊とトマトスープ

2019-11-05 | 銀河食堂

 

 

 

 

11月に入っているのに昼間が暑い。熱い。仕事がたてこみ時間に追われる。

熱くなりすぎたアスファルトが焦りボクを睨みつけているようだ。

歩き続けるうち何処の道だろう、こんな道あったっけ?

立止まりキョロキョロしてすると完全に迷いこんだようだ。

「銀河食堂たまに夜も営業中」の木札がかかっている。

「銀河食堂」現れた!?

古民家な食堂に見覚えあり。きっと品良い老婆の店主がいるはずだ。戸をガラリ。

「夜は、ちいと寒いですな、トマトスープのみなっせ」

え?夜だったっけ?ボクは店内何となく見渡し、少し体が冷めてる気がするのをおぼえた。

「鶏の出汁とシーチキンとやらをいれてみましたがね」

「・・・」

「シーチキン嫌いですかね、私シーチキン食べたことないですけ」と老婆店主は小さく笑った。

「・・・」

とりあえず一礼し、そっとトマトスープを口に運んだ。

「あっ、シーチキンが優しい味になってる。店主、心の芯が温まってくよーっ」

老婆店主は目尻の皺がぐっと深くなるほど目を細め頷き

「優ーしく丁寧に煮てみたんですよ」と微笑み続けて言った。

「あんた、アスファルトばかり見なんな」

「え…?」

「見わたしてごらん、隣をみてごらん。きっとあんたのそばには優しく丁寧に包んでくれる、たくさんたくさんの・・・」と老婆が言いかけ空になった器を手にとった。

どこから幻か、現実か。

一体ココは何処なのか。

暑さは然程なく夜でもなく明るい夕方だろうか。

僅かな風で優しく優しく揺れる、たくさんの白い秋明菊に囲まれボクは立っている。

僕はうっとりする。

飲んだであろうスープで温まった僕の心の芯は更に温まり思わず秋明菊に淡いキスをした。

白い秋明菊には僅かにトマト色がついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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