ある告別式 8

　昨年12月に友を見送り、先月伯母を送り、また昨日は、古い知り合いの告別式でした。まだ75歳なのに、ご主人より先に逝かれてしまいました。ご主人は僧籍。お辛いお葬式だったと思います。47年前、お琴の先生でした。習い始めのころ、我が家の琴の調子合わせをして頂きました。彼女はお寺の一人娘。ご主人は都庁勤務でしたが退職して僧侶となられ、彼女と結婚。美濃部都知事の側近(通訳)でした。都知事の裏話などをして下さる明るい人ですが、昨日は別人のようでした。都知事の親は学者で天皇機関説を称えた美濃部達吉博士。その息子として尊敬していたのですが、いろいろ話を聞くと神話も崩れていきました。

　雨のお葬式は、本堂前のテントの下で寒さも加わり、悲しみも一層増します。本殿に上り、まだ生きておられるような、柩の中のおだやかな彼女の顔近くに花を置きました。3年程不治の病に臥せられていました。ご主人は当然ですが、二人の息子さんも僧衣で見送られました。　　合掌。