1.暴動を起こす移民2世、3世たち
伊勢: この間、花子ちゃんに埼玉県川口市のクルド人問題について話してから、移民先進国の欧州諸国を調べてみたんだけど、各地で移民の2世、3世たちが大規模な暴動を起こしているね。
花子: クルド人の二つの部族が100人ほども集まって、女性問題で争乱を起こしたという件ですね。それよりももっと大規模な暴動が起きているんですか?
__________
JOG(1405) 「埼玉クルド人」問題を生み出したのは誰か?
クルド人の陰で暗躍する活動家、「報道しない自由」を駆使するオールド・メディア、、、
https://note.com/jog_jp/n/nc48ef546803d
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伊勢: そうなんだ。フランスでは2023年にアルジェリア系の17歳の少年が車を運転中に検問を振り切ろうとして警官に発砲され、死亡した事件をきっかけに、フランス全土で暴動が起こり、3千人以上が逮捕された。読売新聞は次のように報じている。
__________
暴動の中心となったのは、移民を父祖に持ち、パリをはじめとする主要都市の郊外で生まれ育った移民2世、3世の若者たちだ。経済的に困難な環境から高等教育へ進まず、仏社会に溶け込めないまま非行に走る若者は後を絶たず、取り締まる警察に対する不信感や敵対心も強い。[読売]
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伊勢: ドイツでも、2015年の大晦日に、ケルンで千人以上のアラブ系、北アフリカ系移民による500件以上の集団強盗、性的暴行事件が起こった。
花子: そんなに大規模な暴動が起きているということは、フランスやドイツの社会の中で、移民2世、3世の不満がたまっている、ということですか?
■2.移民という人権蹂躙
伊勢: そうなんだ。人権活動家は移民難民を受け入れて、人権を守る、などと格好いいことを言っても、感謝されるのは最初だけで、子や孫の世代になっても移民は底辺層の仕事しかつけず、やがて不満が昂じて、社会の摩擦を作り出すということだ。
最初に移民した世代は、母国と比べてはるかに高い生活水準に満足するだろうけど、子や孫の世代になれば、同じクラスにいるフランス人の子供と比べて、なぜ自分たちは移民の子として生まれただけで、ずっと底辺層にいなければならないのか、不満に思うだろう。二世、三世の世代が暴動を起こすのも、理由がないわけじゃない。
花子: 私の中学のクラスにも移民の子供たちがいますけど、彼らの将来を考えると、気の毒に思いますね。日本語があまりできないので、学校の成績も平均以下です。良い学校に進学して、自分の希望する仕事につくのは、難しいと思います。
川口市のクルド人も多くが解体業者となっているようですが、その子供たち、孫たちがずっと解体業しかやれないようだと、不満が爆発して、同様の暴動が日本でも起こる恐れがありますね。
伊勢: そう、「人権擁護」などと綺麗事を言っても、結局は異国に来て、自分の将来に希望の持てない子供たちを生み出すだけだ。彼らは本国で真面目にやっていれば、その国の主人公として立派にやっていく道があるだろうに。結局、移民とはそういう人権蹂躙なんだね。
■3.33年前に出版されて、今も通用する『「労働鎖国」のすすめ』
伊勢: それで思い出したんだけど、「国際派日本人養成講座」では平成12(2000)年、もう25年前に移民問題をとりあげて、移民たちが希望のない生活を送っている、という問題提起をしている。
__________
JOG(143) 労働移民の悲劇
ぼくたちには何のチャンスもありません。ドイツに夢を抱いていたことが間違いでした。
https://note.com/jog_jp/n/n5d4730735976
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伊勢: 昨年亡くなった西尾幹二という人の本、平成4(1992)年、もう33年前に出た本を紹介したんだ。当時は人手不足で、日本もヨーロッパのように外国人労働者を入れるべきだ、という主張が盛んに行われていた。その中で、西尾さんはヨーロッパの労働移民問題がどれほどひどいことになっているか、事実に基づいて安易な労働移民受け入れに警鐘をならしたんだ。
この西尾さんの本を再読してみたんだが、改めて気がついたのは、こんな一節があったことだ。
__________
もしいったん曲り角を曲ってしまったら(JOG注: 日本も本格的な労働開国をしたら)、結局は二十年ぐらい経って、右翼政党が突如登場して、フランスやドイツのように排斥運動を展開し、国民の一部が歓呼の声でこれを迎え、政治の行方をも左右することになりかねないだろう。[西尾、116(Kindle位置、以下同)]
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伊勢: このヨーロッパの動きは、今はさらに本格化している。フランスではマリーヌ・ルペン率いる「国民連合」が移民制限などの訴えで急速に国民の支持を伸ばし、有力政党にのしあがった。ドイツのAfD「ドイツのための選択肢」は、不法移民の排除など厳格な移民制限政策を掲げ、ドイツ国内で第二の党となっている。
きわめつけはイタリアのジョルジャ・メローニで、「イタリアの同胞」という党を率いて、イタリアで初の女性首相となった。地中海経由で流入する難民をEUに入れず、アルバニアの移民収容施設に入れている。
これらの党は従来、「極右勢力」と呼ばれて、泡沫政党扱いされていたけど、もう各国の主要政党となって、まさに「政治の行方をも左右」している。それだけ難民問題が各国の国民生活を脅かしているということだね。
花子: 日本も、ようやく川口市のクルド人問題などで、市民が声を上げて、政治を動かすようになったんで、30数年前のヨーロッパと同じような状況なんですね。
伊勢: そう、西尾さんのこの本は、移民難民問題の本質を明確に説いていて、現在の我々も学ぶべき本だと思う。
■4.難民の「人権擁護」という虚構
花子: 西尾さんの説く移民難民問題の本質って、どんなものですか?
伊勢: 西尾さんは、受け入れ賛成派の議論は次の3つがあるとして、それぞれ反論していく。
1) 人権擁護という政治的動機
2) 日本の均質社会を変革するために異質文化を入れるべきという文化的動機
3) 人手不足解消という経済的動機
最初の「人権擁護」とは、移民難民を受け入れて、彼らの人権を守れ、という主張だね。日本で言えば、川口市のクルド人たちを少数民族として受け入れて、彼らの人権を守れ、という主張で、実際に人権派の活動家やメディアが、この理屈で暗躍している様子を、JOG(1405)でも描いた。
フランスのような人権大国と言われる国での移民たちの人権の実態を、西尾さんはある文芸評論家のパリ滞在の記録を引用して、紹介している。その人の住んだアパートの家主はフランス人だけど、一度も会った事がないという。
__________
現場での管理人として、スペイン系の門番がいる。ここから日々だされるゴミは門番が外の通りに出し、回収にくる市の作業員の多くは白人の外に黒人やアルジェリア人である。[西尾、617]
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私も数年前、パリで数ヶ月アパートを借りて住んだことがあったけど、現在もまさにこの通りだね。ついでに言えば、タクシーの運転手は、モロッコなど北アフリカの出身者が多かった。
こうした観察のもとに、この人はパリの移民たちが、社会階級として人種差別されている様子を、こう結論づけている。
__________
パリの階級構造は、下から言えば底辺を中近東、黒人、アルジェリア、モロッコ、チュニジア人等が支え、第二の層のところにポルトガル、スペイン、イタリア人たちがいて、上部構造がフランス人ということになる。[西尾、595]
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フランスは人権大国として、いかにも多くの人種が共生しているというフリをしているけど、実態はこのように移民たちを下層階級として単純労働に使う、人種差別、階級差別の社会になっている。いわば、移民を受入れるということは、自分たちの下に新しい奴隷階級を作るということなんだ。
花子: たしかに移民第一世代の親が低賃金の仕事しかつけなかったら、経済的にも余裕がなくて、2世、3世は、ごく一部の例外を除いては、そういう道しか開かれていない、ということでしょうね。
■5.「日本の均質社会を変革するために異質文化を入れるべき」?
伊勢: 第二の「2) 日本の均質社会を変革するために異質文化を入れるべきという文化的動機」に関しては、西尾さんは、西洋史学の木村尚三郎教授の次のような発言を紹介している。
__________
一つの国の中に様々な人がいて、生活したり働いたりしているということが世界の一般的な常識だと思うのです。日本だけが日本人だけで働いてきたということは、心を一つにして働ける、いわば挙国一致態勢で働けるといういい面があったことは事実で、・・・
(JOG注: 北米貿易協定やEUなど)、一国単位の行き方が次第に時代遅れになろうとしている。日本は技術力、経済力では世界最高レベルにあるわけですが、国家形態としては実は発展途上国で、まだ「日本は」とか「我々日本人は」とか言っているわけですね。
・・・たとえ日本に外国人労働者が入ってくることによって日本の結束力が多少後退するようなことがあっても、別のいい点もあるわけです。発想の違った人々とお互いに競争することにより、今まで私たちが思いもしなかった新しい考え、新しい行動が生まれてくる可能性が大いにある。外国の人が日本で働くというのは日本人のためにもなるわけです。[西尾、1782]
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伊勢: こう綺麗事を言っても、パリの移民がゴミ収集をさせられているようでは、フランスでも「発想の違った人々とお互いに競争する」事にはならないね。
花子: 川口市のクルド人にしても、二つの部族が100人ほどで女性問題で争乱を起こすなんてのも、「今まで私たちが思いもしなかった新しい考え、新しい行動」ですね。そういう「新しい考え、新しい行動」が、「日本人のためになる」のでしょうか?
■6.多文化共生と言っても、移民難民の方にその気がなければ、、、
伊勢: そう、木村教授の理想は、ある程度、民度の高い移民を迎えて、彼らが持ち込んだ独自の文化で、受け入れ国の社会に多様な貢献をする、という理想論だ。
花子: 以前、「国際派日本人養成講座」で紹介されていたブラジルの日系移民はその例ですね。上皇上皇后両陛下がブラジルを訪問された時、サンパウロ州のマリオ・コーバス知事が「日本移民は日本国がブラジル国に与えた最大の『プレゼント』です」と言ってたそうですね。
__________
JOG(1239) ブラジル日系移民に学ぶ「日本のこころ」(上)
異国の地で、たいへんな苦労を重ねて、ブラジル国に貢献し尊敬される地位を築いた日系移民は「国際派日本人」のお手本。
https://note.com/jog_jp/n/n0b07fb39986c
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伊勢: 日系移民は「郷に入らば郷に従え」という格言にしたがって、現地に溶け込もうと一生懸命努力したからね。しかし、それは世界でも特異な例で、ほとんどの移民は受入れ国の文化など学ばない。
花子: 川口市のクルド人も、ゴミは散らかし放題で、近隣の人が注意しても、「日本語ワカラナイ」と無視してしまうそうですからね。
伊勢: 埼玉県も「多文化共生推進プラン」を作成して、「外国人住民が活躍できる地域づくりの推進」などと謳っているけど、この「異質文化を入れるべき」という賛成論の現代版だね。しかし、そもそも外国人の方が共生しようという気がなければ、絵に描いたモチに過ぎない。
■7.人手不足解消?
伊勢: 三番目の「3) 人手不足解消という経済的動機」は、現在も声高に主張されている点だね。
花子: 確かに川口市のクルド人が、解体工事を専門にやっているのは、日本の人手不足が影響しているのでしょうね。
伊勢: 特に3K職場、つまり「きつい、汚い、危険」な職場では、人手不足が目立つ。しかし、だからと言って、安易に外国人労働者に頼るのは、以下の3つの点で、経営として筋が違う、と、西尾さんは指摘している。
第一に、人手不足は省力化などの技術革新のチャンスなんだ。安易に移民を入れることによって、技術革新は停滞し、日本企業の競争力が失われる。さらに安い労働力を入れることで、日本人のパート、アルバイト、派遣労働者の賃金を押し下げて、デフレを長引かせるだけだ。
外国人労働者の低賃金でしかやっていけない企業は、さっさと廃業してもらい、自らの工夫努力で人生産性の高い企業が伸びることで、日本経済も発展し、労働者の賃金もあがるという好循環が始まる。
第二に、企業は安い人件費でその場しのぎができたとしても、外国人労働者のためのコスト、すなわち、教育、治安、医療などの財政負担が、国民全体に税金として降りかかってくる。
第三に、ある国から移民を迎えることは、かならずしも、その国のためにはならない。たとえば、フィリピンから看護婦を迎え入れても、実はフィリピンは看護婦不足で日本以上に困っているというケースがある。移民として日本にやってくるような人たちは、やる気も能力もある人たちだけど、そういう人たちを奪うことは、本国の経済発展を阻害してしまうんだ。
こうした経済的側面だけ見ても、今の我々の外国人労働者受入の議論は、30数年前の西尾さんの問題提起に全く答えていないね。
花子: 移民難民先進国のドイツやフランスの実態がすぐ目の前にあるのに、私たち中学生も、そこでの現実の問題を学べない、というのは、どういうことでしょうか? 日本はグローバルに開かれるべき、とよく言われていますが、私たちが接する授業や報道は、全然開かれていませんね。
(文責 伊勢雅臣)
伊勢: この間、花子ちゃんに埼玉県川口市のクルド人問題について話してから、移民先進国の欧州諸国を調べてみたんだけど、各地で移民の2世、3世たちが大規模な暴動を起こしているね。
花子: クルド人の二つの部族が100人ほども集まって、女性問題で争乱を起こしたという件ですね。それよりももっと大規模な暴動が起きているんですか?
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JOG(1405) 「埼玉クルド人」問題を生み出したのは誰か?
クルド人の陰で暗躍する活動家、「報道しない自由」を駆使するオールド・メディア、、、
https://note.com/jog_jp/n/nc48ef546803d
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伊勢: そうなんだ。フランスでは2023年にアルジェリア系の17歳の少年が車を運転中に検問を振り切ろうとして警官に発砲され、死亡した事件をきっかけに、フランス全土で暴動が起こり、3千人以上が逮捕された。読売新聞は次のように報じている。
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暴動の中心となったのは、移民を父祖に持ち、パリをはじめとする主要都市の郊外で生まれ育った移民2世、3世の若者たちだ。経済的に困難な環境から高等教育へ進まず、仏社会に溶け込めないまま非行に走る若者は後を絶たず、取り締まる警察に対する不信感や敵対心も強い。[読売]
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伊勢: ドイツでも、2015年の大晦日に、ケルンで千人以上のアラブ系、北アフリカ系移民による500件以上の集団強盗、性的暴行事件が起こった。
花子: そんなに大規模な暴動が起きているということは、フランスやドイツの社会の中で、移民2世、3世の不満がたまっている、ということですか?
■2.移民という人権蹂躙
伊勢: そうなんだ。人権活動家は移民難民を受け入れて、人権を守る、などと格好いいことを言っても、感謝されるのは最初だけで、子や孫の世代になっても移民は底辺層の仕事しかつけず、やがて不満が昂じて、社会の摩擦を作り出すということだ。
最初に移民した世代は、母国と比べてはるかに高い生活水準に満足するだろうけど、子や孫の世代になれば、同じクラスにいるフランス人の子供と比べて、なぜ自分たちは移民の子として生まれただけで、ずっと底辺層にいなければならないのか、不満に思うだろう。二世、三世の世代が暴動を起こすのも、理由がないわけじゃない。
花子: 私の中学のクラスにも移民の子供たちがいますけど、彼らの将来を考えると、気の毒に思いますね。日本語があまりできないので、学校の成績も平均以下です。良い学校に進学して、自分の希望する仕事につくのは、難しいと思います。
川口市のクルド人も多くが解体業者となっているようですが、その子供たち、孫たちがずっと解体業しかやれないようだと、不満が爆発して、同様の暴動が日本でも起こる恐れがありますね。
伊勢: そう、「人権擁護」などと綺麗事を言っても、結局は異国に来て、自分の将来に希望の持てない子供たちを生み出すだけだ。彼らは本国で真面目にやっていれば、その国の主人公として立派にやっていく道があるだろうに。結局、移民とはそういう人権蹂躙なんだね。
■3.33年前に出版されて、今も通用する『「労働鎖国」のすすめ』
伊勢: それで思い出したんだけど、「国際派日本人養成講座」では平成12(2000)年、もう25年前に移民問題をとりあげて、移民たちが希望のない生活を送っている、という問題提起をしている。
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JOG(143) 労働移民の悲劇
ぼくたちには何のチャンスもありません。ドイツに夢を抱いていたことが間違いでした。
https://note.com/jog_jp/n/n5d4730735976
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伊勢: 昨年亡くなった西尾幹二という人の本、平成4(1992)年、もう33年前に出た本を紹介したんだ。当時は人手不足で、日本もヨーロッパのように外国人労働者を入れるべきだ、という主張が盛んに行われていた。その中で、西尾さんはヨーロッパの労働移民問題がどれほどひどいことになっているか、事実に基づいて安易な労働移民受け入れに警鐘をならしたんだ。
この西尾さんの本を再読してみたんだが、改めて気がついたのは、こんな一節があったことだ。
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もしいったん曲り角を曲ってしまったら(JOG注: 日本も本格的な労働開国をしたら)、結局は二十年ぐらい経って、右翼政党が突如登場して、フランスやドイツのように排斥運動を展開し、国民の一部が歓呼の声でこれを迎え、政治の行方をも左右することになりかねないだろう。[西尾、116(Kindle位置、以下同)]
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伊勢: このヨーロッパの動きは、今はさらに本格化している。フランスではマリーヌ・ルペン率いる「国民連合」が移民制限などの訴えで急速に国民の支持を伸ばし、有力政党にのしあがった。ドイツのAfD「ドイツのための選択肢」は、不法移民の排除など厳格な移民制限政策を掲げ、ドイツ国内で第二の党となっている。
きわめつけはイタリアのジョルジャ・メローニで、「イタリアの同胞」という党を率いて、イタリアで初の女性首相となった。地中海経由で流入する難民をEUに入れず、アルバニアの移民収容施設に入れている。
これらの党は従来、「極右勢力」と呼ばれて、泡沫政党扱いされていたけど、もう各国の主要政党となって、まさに「政治の行方をも左右」している。それだけ難民問題が各国の国民生活を脅かしているということだね。
花子: 日本も、ようやく川口市のクルド人問題などで、市民が声を上げて、政治を動かすようになったんで、30数年前のヨーロッパと同じような状況なんですね。
伊勢: そう、西尾さんのこの本は、移民難民問題の本質を明確に説いていて、現在の我々も学ぶべき本だと思う。
■4.難民の「人権擁護」という虚構
花子: 西尾さんの説く移民難民問題の本質って、どんなものですか?
伊勢: 西尾さんは、受け入れ賛成派の議論は次の3つがあるとして、それぞれ反論していく。
1) 人権擁護という政治的動機
2) 日本の均質社会を変革するために異質文化を入れるべきという文化的動機
3) 人手不足解消という経済的動機
最初の「人権擁護」とは、移民難民を受け入れて、彼らの人権を守れ、という主張だね。日本で言えば、川口市のクルド人たちを少数民族として受け入れて、彼らの人権を守れ、という主張で、実際に人権派の活動家やメディアが、この理屈で暗躍している様子を、JOG(1405)でも描いた。
フランスのような人権大国と言われる国での移民たちの人権の実態を、西尾さんはある文芸評論家のパリ滞在の記録を引用して、紹介している。その人の住んだアパートの家主はフランス人だけど、一度も会った事がないという。
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現場での管理人として、スペイン系の門番がいる。ここから日々だされるゴミは門番が外の通りに出し、回収にくる市の作業員の多くは白人の外に黒人やアルジェリア人である。[西尾、617]
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私も数年前、パリで数ヶ月アパートを借りて住んだことがあったけど、現在もまさにこの通りだね。ついでに言えば、タクシーの運転手は、モロッコなど北アフリカの出身者が多かった。
こうした観察のもとに、この人はパリの移民たちが、社会階級として人種差別されている様子を、こう結論づけている。
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パリの階級構造は、下から言えば底辺を中近東、黒人、アルジェリア、モロッコ、チュニジア人等が支え、第二の層のところにポルトガル、スペイン、イタリア人たちがいて、上部構造がフランス人ということになる。[西尾、595]
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フランスは人権大国として、いかにも多くの人種が共生しているというフリをしているけど、実態はこのように移民たちを下層階級として単純労働に使う、人種差別、階級差別の社会になっている。いわば、移民を受入れるということは、自分たちの下に新しい奴隷階級を作るということなんだ。
花子: たしかに移民第一世代の親が低賃金の仕事しかつけなかったら、経済的にも余裕がなくて、2世、3世は、ごく一部の例外を除いては、そういう道しか開かれていない、ということでしょうね。
■5.「日本の均質社会を変革するために異質文化を入れるべき」?
伊勢: 第二の「2) 日本の均質社会を変革するために異質文化を入れるべきという文化的動機」に関しては、西尾さんは、西洋史学の木村尚三郎教授の次のような発言を紹介している。
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一つの国の中に様々な人がいて、生活したり働いたりしているということが世界の一般的な常識だと思うのです。日本だけが日本人だけで働いてきたということは、心を一つにして働ける、いわば挙国一致態勢で働けるといういい面があったことは事実で、・・・
(JOG注: 北米貿易協定やEUなど)、一国単位の行き方が次第に時代遅れになろうとしている。日本は技術力、経済力では世界最高レベルにあるわけですが、国家形態としては実は発展途上国で、まだ「日本は」とか「我々日本人は」とか言っているわけですね。
・・・たとえ日本に外国人労働者が入ってくることによって日本の結束力が多少後退するようなことがあっても、別のいい点もあるわけです。発想の違った人々とお互いに競争することにより、今まで私たちが思いもしなかった新しい考え、新しい行動が生まれてくる可能性が大いにある。外国の人が日本で働くというのは日本人のためにもなるわけです。[西尾、1782]
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伊勢: こう綺麗事を言っても、パリの移民がゴミ収集をさせられているようでは、フランスでも「発想の違った人々とお互いに競争する」事にはならないね。
花子: 川口市のクルド人にしても、二つの部族が100人ほどで女性問題で争乱を起こすなんてのも、「今まで私たちが思いもしなかった新しい考え、新しい行動」ですね。そういう「新しい考え、新しい行動」が、「日本人のためになる」のでしょうか?
■6.多文化共生と言っても、移民難民の方にその気がなければ、、、
伊勢: そう、木村教授の理想は、ある程度、民度の高い移民を迎えて、彼らが持ち込んだ独自の文化で、受け入れ国の社会に多様な貢献をする、という理想論だ。
花子: 以前、「国際派日本人養成講座」で紹介されていたブラジルの日系移民はその例ですね。上皇上皇后両陛下がブラジルを訪問された時、サンパウロ州のマリオ・コーバス知事が「日本移民は日本国がブラジル国に与えた最大の『プレゼント』です」と言ってたそうですね。
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JOG(1239) ブラジル日系移民に学ぶ「日本のこころ」(上)
異国の地で、たいへんな苦労を重ねて、ブラジル国に貢献し尊敬される地位を築いた日系移民は「国際派日本人」のお手本。
https://note.com/jog_jp/n/n0b07fb39986c
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伊勢: 日系移民は「郷に入らば郷に従え」という格言にしたがって、現地に溶け込もうと一生懸命努力したからね。しかし、それは世界でも特異な例で、ほとんどの移民は受入れ国の文化など学ばない。
花子: 川口市のクルド人も、ゴミは散らかし放題で、近隣の人が注意しても、「日本語ワカラナイ」と無視してしまうそうですからね。
伊勢: 埼玉県も「多文化共生推進プラン」を作成して、「外国人住民が活躍できる地域づくりの推進」などと謳っているけど、この「異質文化を入れるべき」という賛成論の現代版だね。しかし、そもそも外国人の方が共生しようという気がなければ、絵に描いたモチに過ぎない。
■7.人手不足解消?
伊勢: 三番目の「3) 人手不足解消という経済的動機」は、現在も声高に主張されている点だね。
花子: 確かに川口市のクルド人が、解体工事を専門にやっているのは、日本の人手不足が影響しているのでしょうね。
伊勢: 特に3K職場、つまり「きつい、汚い、危険」な職場では、人手不足が目立つ。しかし、だからと言って、安易に外国人労働者に頼るのは、以下の3つの点で、経営として筋が違う、と、西尾さんは指摘している。
第一に、人手不足は省力化などの技術革新のチャンスなんだ。安易に移民を入れることによって、技術革新は停滞し、日本企業の競争力が失われる。さらに安い労働力を入れることで、日本人のパート、アルバイト、派遣労働者の賃金を押し下げて、デフレを長引かせるだけだ。
外国人労働者の低賃金でしかやっていけない企業は、さっさと廃業してもらい、自らの工夫努力で人生産性の高い企業が伸びることで、日本経済も発展し、労働者の賃金もあがるという好循環が始まる。
第二に、企業は安い人件費でその場しのぎができたとしても、外国人労働者のためのコスト、すなわち、教育、治安、医療などの財政負担が、国民全体に税金として降りかかってくる。
第三に、ある国から移民を迎えることは、かならずしも、その国のためにはならない。たとえば、フィリピンから看護婦を迎え入れても、実はフィリピンは看護婦不足で日本以上に困っているというケースがある。移民として日本にやってくるような人たちは、やる気も能力もある人たちだけど、そういう人たちを奪うことは、本国の経済発展を阻害してしまうんだ。
こうした経済的側面だけ見ても、今の我々の外国人労働者受入の議論は、30数年前の西尾さんの問題提起に全く答えていないね。
花子: 移民難民先進国のドイツやフランスの実態がすぐ目の前にあるのに、私たち中学生も、そこでの現実の問題を学べない、というのは、どういうことでしょうか? 日本はグローバルに開かれるべき、とよく言われていますが、私たちが接する授業や報道は、全然開かれていませんね。
(文責 伊勢雅臣)
写真は別の会社から届いた誕生祝

クルド人問題を象徴とする問題、以前に西尾幹二がもうすでに警告されていたとは知りませんでした。
全く移民問題、日本もここに至って世界情勢に押されないように考えて行かねばなりませんね。
誰でもわかっていることなのに。
東京の人は理解して下さいますが、岐阜では
御三家と言っても誰も分からないのです。
クルド人問題をなぜマスコミが隠蔽するのか
少し分かりました。左翼がからんでいたとは・・・
これからもニュースは、メディアだけでは
日本ではダメということが理解できました。