月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

門徒式章のはなし

2010年02月01日 23時06分13秒 | ふうわりふわり(坊守日記)
今日、ひょっこりとMご夫妻がお参りされて、
息子さんの門徒式章を求めたいとおっしゃるので
法衣店のカタログを一緒に見ました。

「なんと、お仏具もお袈裟もきれいですねえ」
と、うれしそうにご覧になられていました。

「これは地味かなあ」
「ご院さんみたいやねえ」
「ちょっと派手すぎかなあ」
「下り藤の御紋はやっぱり金がいいなあ」

あれこれとご夫婦で考え抜かれて素敵な門徒式章を選ばれました。
Mご夫妻はいつもきちんと門徒式章をかけてお参りされます。
仏さまのことをとても大事になされます。
これからは息子さんもそろって門徒式章をかけてお参りされるでしょう。
ありがたいお姿です。

「お母さんのももうくたくたになったけん、新調したらいいわい」
「私はいまのでいいのに」
「いや、記念にひとつ選んだらいいわい」
「そうかねえ、じゃあ・・・」

奥さまも素敵な門徒式章を選ばれました。
その横で優しそうに微笑まれるご主人。

ご家族で、ひとつ方向に向きを向けさせていただいて
仏さまにお参りをさせていただきながら
「また、ひとつとこで会える」ことを
たしかに心にいただかれるのでしょう。

わたしも、おなじとこでまたあわせていただきますよ。

留守電話

2010年02月01日 20時32分04秒 | 仏々相念(住職日記)
あぁ~、消せないまま残ってる留守電に・・・

娘を乗せての車の中、大好きなアイドルの曲が流れます。
切なく流れるラブソング・・・
何を思いながら聞いているのか気になってしまいます。

今日、聞いていた曲は、
彼女からの最後のメッセージが入った留守電・・・
消せないのです・・・
聞いてしまうのです・・・
後悔の気持ち・・・
本当に自分のことを思ってくれていた優しさ・・・

無くしてみて出会うのです。

ウチの留守電にも消せないメッセージが・・・
10年くらい前なのでしょうか、
坊守が本山の教師の勉強で10日ほど留守にしました。
その研修中には下界と一切遮断されます。
電話もできないのです・・・

さあ、これから始まるという時に、
子どもたちの声を聞こうとしたのでしょう・・・
丁度、みんなで出掛けていた時、
留守電にメッセージが残されていました。

家に帰ると録音ランプが点滅しています。
ボタンを押すと・・・
「もしもし、ママです・・・
 今日から電話ができません・・・ ・・・」

スピーカーから流れる大好きなママの声・・・
昨日までここにいたのに、
優しく抱きしめてくれていたのに・・・

小さな、小さな2人の姉弟は
歯を食いしばりながら、肩を震わせながら、
何度も何度もボタンを押しては聞いていました。

次の日も、又次の日も・・・

あの後ろ姿、忘れることができません。
なぜか、そのメッセージも消せなくて・・・

10日後、京都に迎えに行く時の2人の喜び様・・・
辛さを乗り越え、ママに出会える!

会えてよかった・・・

今でもなお、坊守を大事にしてくれる子どもたち・・・
今、会えることを大切に、
これからも生きて行こう!

そして、死を通し離れることがあろうとも
仏さまの前に座らせて頂き、
優しさに包まれながら生かさせて頂こう!

必ず、又会える世界があることを胸に・・・