月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

庭掃除の裏ワザのはなし

2010年04月19日 23時34分45秒 | ふうわりふわり(坊守日記)
ここのところ雨がよく降ります。
雨が降るたびに境内の草もぐんと伸びます。
雨の合間に少しずつ草を引いていましたが間に合いません。

今日は来客もあるので、早朝に庭掃除を決行!

まだお嫁入り前に、里の祖母が言ってたことを思い出しました。
「時間がない時は“際”をきれいにしなさい。そうするときれいに掃除ができてるように見えるから」
そう、時間がない時、忙しい時の裏ワザです。

草引きなら植え込みの根元や、踏み石と土の境、参道の端などの“際”を重点的に草を引いたり箒で掃いたりします。
そうするとお庭の真ん中の広い部分に少々の草があってもあまり目につきません。

「際立たせる」ということでしょうか。

今頃になって祖母がいろいろとやかましく言っていたことにうなづけるようになりました。
(若い頃は「もうっ、うるさいなあ」とけむたく思っていましたが・・・

なんとかお客様が来られるまでに≪際立ち作戦≫完了!
あとはまた晴れた日にボツボツ引いていきましょう。
今夜も雨降り・・・また2、3日雨が続きそうですが・・・


世之盲冥

2010年04月19日 22時01分34秒 | 仏々相念(住職日記)
骨を・・・

以前、寺報にも書かせて頂いたことがあります。
大阪に出られているご門徒、
とにかくいいことが起こらない。病気・怪我・会社の倒産・・・身の回りにこんな事ばっかり。これはお仏壇をほったらかしにしているせいだと占い師!?霊能力師!?そういった類の人に言われた。ウチらは帰れないが仏壇のお勤めをして来てください。

そんなことはないこと・・・
仏さまは罰は当てないこと・・・
回らない舌で一生懸命に話してみたが一切通じず、私がご縁に遇わせて頂こうとお参りさせて頂いた。
もう、涙が出ました・・・
酷いにも程がある、あまりの惨状にその場に立ち尽くした・・・
お勤めさせて頂いて仏さまだけ私方に預かって帰った。
あれからどれほどの月日が流れたのでしょう・・・

今日、その方より再び電話がかかって来ました。
あの日のお礼もなく、また言うのです、
「姉が言うのよ、お墓をほっておいてるから病気になるって言われたらしいのよ。お墓を潰して骨を土に埋めようと思うの。和尚さん、して下さらないかな。」

切れました・・・これにはもう、言葉を選ぶのが一生懸命・・・
仏さまをどれだけ粗末にするのか・・・
以前、お家に参ってあまりの状態に一人泣いたこと・・・
どんなに払おうとも災いは又起こること・・・
それは仏さまの罰ではなく、そういう世界であること・・・
今度、苦しいからとどこに目を向けるのかということ・・・

新興宗教にのめり込み、金銭財産すべてとられた姉。
ただでさえ苦しい人生の中に縁に触れて尚も苦しみを増す・・・
しんどいな~・・・
こうすればいいことがおこる!
ああすれば災いがなくなる!
言葉巧みに大切なものを巻き上げられる。

人間誰しも悪い事よりも良い事を望みます。
そこにつけ込みあの手この手・・・
そんなことがあるはずないと思っていてもどこかで迷信・邪教に振り回されているのでしょう・・・

私は、縁ありお念仏の御教えに出遇いました。
この縁無くば、私も各なっていたことでしょう・・・
振り回され、他のせいにし生きていたことでしょう・・・

お念仏に出遇ったからといって苦しみが無くなった訳ではありません。
苦しみは増すばかり・・・どんどん、どんどん・・・
自らの苦しみに浮きつ沈みつ・・・
自らの煩悩に押しつぶされそうに・・・

私のまことを教えて下さる仏さまでした。
はかりしれない煩悩にもがく私を・・・
そうでした、煩悩によって苦を背負う私を・・・

こんな私を知らしめ、ともに歩んで下さる仏さまでした。

お仏壇やお墓を粗末にしようとも仏さまは罰を当てることはありません。
でもこのような人生には生かさせて頂いている事の尊さには出会わず、
寂しく、虚しい人生で終わってしまうのでしょう・・・

「ありがとうございます」って手を合わさせて頂きましょう!       

Sさんのお仏壇のはなし

2010年04月19日 00時13分41秒 | ふうわりふわり(坊守日記)
このお仏壇に
毎朝毎夕お灯りをあげ
持ち慣れたお念珠を手に掛けて
静かにお念仏を申されながら
阿弥陀さまに向かわれていたのですね。

ご主人のこと、ご両親のこと、お友だちのこと・・・
先立たれた方を偲ばれていたのかな。
遠くで頑張る子どもさんやお孫ちゃんを案じておられたのかな。
ご自分の体のことも心配されていたのかな。

今日、四十九日のご法縁に
同じ場所に座り、阿弥陀さを御前に
在りし日のSさんのお姿を偲ばせていただきました。

この身の上を過ぎる事柄は
すべて一人で引き受けなければならないけれど
そんなわたしを決してひとりにはさせないよと
お立ち向かいくださる阿弥陀さまのお姿に
「さてと・・・」
と、立ち上がる勇気をいただかれていたのでしょうね。

まだ、四十九日しか経っていないのに
懐かしくて、懐かしくて、
時折、涙でお経もつまりながらの
ご法縁でした。
Sさん、ありがとうございました。