「椎茸終い」
当地は昔から椎茸の原木栽培が盛んな地域である。我が家でも昔から自分の家で食べるくらいの椎茸は、栽培していた。
秋にクヌギの木を切り倒してそのままに放置しておき、翌年の二月から三月にかけて、120センチくらいの長さに切りそろえて植菌する。
当地では植菌のことを「駒うち」と呼ぶ。ドリルで穴をあけて種駒を金槌で打ちこむ。コンコンと駒を打ち込む音が、山々にこだまする。
駒打ちが終わると、次に「伏せこみ」という作業を行う。植菌した原木をひと所に寄せ集めて寝かせておくのだ。適度に隙間を空けて木を斜めに組み合わせ、上は原木に使った残りの小枝をかぶせて二夏(ふたなつ)過ごさせる。
それから稲刈りが終わったあとに取り出して、杉山などの少し湿気た場所に並べる。そこでやっと椎茸が芽を出すのだ。
けっこう時間と手間のかかる仕事だし、力もつかえば、原木伐採の時には危険も伴う。後継者不足のために辞めてしまう農家も多い。
我が家でも、今回の仕事を最後とした。「椎茸じまい」である。
ただクヌギの切り株からはわき芽が出てくる。そのまま放置しておけば、数年後には大木になってしまう。隣合わせに住宅があり、台風で倒れでもしたら、すみませんではすまなくなくなる。
今後二・三年は芽を全部摘み取って、最終的にクヌギを全部根絶やしする仕事が残っている。辞めるにしても始めるにしても、手間のかかることだ。
それでも椎茸はおいしい。揚げと一緒に炊きこんだ「椎茸飯」は末娘の大好物でもある。
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