草むしりしながら

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古事記あらすじ8

2019-11-25 07:04:26 | 古事記
古事記あらすじ8

第四章 八俣のおろち

㈢ おろち退治の計略

 須佐之男命はお爺さんの話を黙って聞いておいででしたが、今までに大蛇を退治しようとした者はいなのかとお尋ねになりました。  

 八俣のおろちというのは、ひとつの体に八つの頭と尾があり、十六個の目がギラギラ光って、山のように大きくて気を失うほどおそろしい大蛇なので、とても退治できるものではないとお爺さんは身を震わせて言いました。

 人々を苦しめる魔物は必ず退治してやろう、ただし自分の命令の通りに支度をするようにと、命は仰せになりました。半信半疑のお爺さんに、自分は天照大御神の弟の須佐之男命だと、ご身分を明かされました。それを聞いた三人は大喜びでお礼を申しあげました。

 それからすぐにおろち退治の支度にかかりました。これを聞いた一族の人々も集まり、お手伝いをしました。八つの大きなかめに強い酒をつくり、八つのさじきに酒かめを一つずつ置きました。そしてさじきごとに門をつくり、他からは入って来られないよう丈夫な垣根で周りを囲いました。

 ㈣おろち現る

 やっと支度が整った頃、北の山の上に黒雲がかかりました。もうじきおろちがやって来ます。命は櫛名田比売に息を吹きかけ、櫛に変えました。そして御自分の髪にその櫛をさしました。この櫛をさしていれば魔物に見つからないという、魔法の櫛です。

 全ての支度が終わりました。おろちが来ても決して騒くではないぞと、命は仰せられ皆を隠れさせました。そして御自分も物陰に身を潜め、おろちを待ち構えました。やがて生臭い風が吹き始めました。

 黒雲の中から十六の目玉が櫛名田比売を捜して辺りを見回しています。しかし娘の姿どころか匂いもしません。櫛になっている櫛名田比売が見つかるわけはありません。

古事記あらすじ7

2019-11-24 08:11:37 | 古事記
古事記 あらすじ7

第4章 八俣(やまた)のおろち

㈠ふしぎな食べ物

 下界に追放された須佐乃男命は、折からの長雨に芯まで濡れて、食物をつかさどる大気津比売神(おおげつみめみのかみ)の御殿にたどり着きました。

 神は喜んで命(みこと)を迎え入れ、美味しい馳走を次々に運んできました。命は夢中でおあがりになりましたが、神が口から食べ物を出しているのを見て、怒って切ってしまいました。

 命は親切してくれた神を、一時の腹立ちまぎれに切ってしまったことを深く反省なさいました。ところが倒れている神の目の所から、稲が生えて米が実りました。不思議に思って見ていると耳からは粟が、鼻からは小豆が、お腹には麦、足には大豆、頭には蚕が生まれました。驚かれた命の後ろで、神が笑いながら立っておいでです。

 自分は食べ物の神なので、何度死んでも蘇って食べ物を生むのだと神は仰せになりました。命は試に稲の穂を食べてみると、元の通りの強い体になりました。命は穀物の種をいただいて、旅をお続けになることになりました。

㈡泣いている人々

 命が出雲の国の肥川という川の川上に御着きになると、川上から一本の細い枝きれが流れてきました。命は大気津比売神の稲穂を召し上がってからは、もとの姿と力の他に優しい心と知恵を備えるようになっていました。

 足元に流れて来た枝きれを見て、命はそれが箸だとすぐに気づきました。こんな寂しい所に人間が住んでいるなんて、命は肥川の川上目指して進んでおいでになりました。

 やがて草葺き屋根の家がみえました。しかしようすがなんだか変です。耳を澄ますと女の人の泣き声が聞こえてきました。

 家の中ではお爺さんとお婆さんと姫君が、抱き合って泣いています。あまりにも悲しそうなので、命は声をかけられました。

 私どもには八人の娘がありましたが、「八俣のおろち」という大蛇に毎年一人ずつ食べられてきました。最後に残ったこの櫛名田比売(くしなだひめ)も、近いうちに食べられてしまうと、お爺さんは涙ながらに言いました。

古事記あらすじ6

2019-11-23 07:25:48 | 古事記
古事記あらすじ6

第三章 天の岩戸

㈣岩戸開き

 まず常世(とこよ)の長鳴鳥(ながなきどり)をたくさん集め、鏡や勾玉を作り作りました。大きなさかきの木に五色の布をつけ、八坂勾玉(やさかのまがたま)、八咫鏡(やたのかがみ)を取り付け、、布刀玉命(ふとたまのみこと)がそれをお持ちになりました。 

 それから手刀男命(たじからのみこと)という高天原第一の大力の神さまが岩戸の傍に隠れました。岩戸の前では、天宇受売命(あめのうずめのみこと)が踊りをおどることになりました。
 
 岩戸の前には赤々とかがり火が焚かれ、高天原の神々が皆あつまりました。厳かな祝詞のあとは賑やかな神楽の始まりです。笛や太鼓に合わせて天宇受売命が踊り、神さまたちが手を打って歌い始めました。
 
 その賑やかなこと賑やかこと。岩戸の中の大御神は何事だろうと、岩戸の扉をほんの少し開けました。すると外は昼間のような明るさです。大御神は「何事ですか」と、天宇受売命におたずねになりました。天宇受売命は「あなた様より尊い方がお生まれになりました」と歌いながら答えました。
 
 その時さか木につけてある鏡が大御神の顔を写してピカッと光りました。大御神はもっとよく見ようと、岩戸をまた少し開けました。そこに待ち構えていた天手力男命が、扉の隙間の手をかけ引き開けてしまいました。

 コケコッコーと長鳴鳥が鳴きましした。世界はまた元のように明るくなりなりました。

 須佐乃男命は長い髪や髭を切られ、手足の爪まで抜かれて下界に追放されました。

古事記あらすじ5

2019-11-22 07:47:49 | 古事記
古事記あらすじ5

第三章 天の岩戸 

㈡正しい心の証拠 

 須佐之男命は生まれてからずっと、お母様のいらっしゃる黄泉国に行くのだと、泣いてばかりいました。大人になっても泣いてばかりで、さすがにお父様の伊邪那岐命も呆れて、好きにするようにとお叱りになりました。
  
 すると急に笑い顔になり、お母様の所に行く前に、お姉さまにお別れをしてまいりましょうと、高天原にやって来たのです。 大御神は須佐乃男命のお話をお聞きになっても、まだ弟が信じられずにいました。そのようすを見た須佐乃男命は、私の剣と姉上の勾玉を取り換えて、子どもの生み比べを致しましょうと提案致しました。 

 生まれた子が男神ならわたくしが荒々しいこころを持っている。女神なら優しい心を持っているということになります。と言って命は剣を差し出しました。 大御神は命の十塚剣(とつかのつるぎ)を天乃間内(あまのまない)の清水で清めて、口にくわえた清水を吹きかけると、三柱の女神がお生まれになりました。

 命は喜んで大御神の勾玉を嚙み砕くと、五柱の男神様がお生まれなりました。

  ㈢岩戸隠れ

  須佐乃男命は姉上に勝ったと大喜びで跳びはねたり踊ったり、はては田の畔をこわしたり御殿の中を汚したりなさいました。心の優しい大御神が怒らないのをいいことにますます乱暴をはたらき、しまいには生き馬の皮を剥いで、御殿の屋根を破って投げ込むような、乱暴な真似をなさいました。

  高天原の神々のために旗を織らせる神聖な御殿に、見るも無残な血だらけの馬の皮を投げ込んだものですから、機を織る女の人が驚きのあまり死んでしまいました。 さすがに大御神も怒ってしまい。天岩戸(あまのいわと)という岩穴に入り、大きな岩の扉を閉めて引きこもっておしまいになりました。

 さあ大変。あんなに明るかった世界が真っ暗になり、魔物どもが大暴れを始めました。 困った高天原の神々は集まって相談したしました。そして高天原で一番知恵のある、思金神(おもいかねがみ)の考えた計画を実行しました。



古事記あらすじ4

2019-11-21 07:48:52 | 古事記
古事記あらすじ4

第二章 黄泉国

㈣天照大神(あまてらすおおみかみ)の誕生
 
 『桃の木は悪魔を払う』と信じられるようになったのはこんなわけです。
 
 男神様が女神さまのことを考えていると、塞いだ岩の向こうから女神様の声が聞こえてきました。男神様が約束を守らなかったので、女神様はそちらに帰るとこが出来なくなり、人も毎日千人ずつ死ぬようになりました。 

 すると男神様は毎日人を千五百人生まれるようしようと約束なさいました。それからこの世界を治める偉い神を、自分一人で生むにはどうしたらいいかと訊ねられました。女神様は川でみそぎをなさいませ、と答えました。

 男神様は日向の国の阿波岐原(あわぎはら)の川で身体をお清めになりました。その時黄泉国でついた汚いものからは悪い神が生まれました。しかし男神様は悪いことをなおすためにすぐに直毘神(なおびのかみ)をお生みになりました。

 それからすっかりきれいになって、左の目から天照大御神を、右の目から月読命(つくよみのみこと)、鼻からは須佐乃男命(すさのおのみこと)がお生みになりました。

第三章 天の岩戸

㈠揺れる大地
 
 人間たちは神々を師と仰いで仕事に励んでおります。天照大御神はこの有様をにこにこしながら高天原から見下ろしておいででした。

 すると突然下の方から大きな音が聞こえてきて、高天原までもが揺れ始めました。なんと一番末の弟の須佐乃男の命が、長い髪や髭をなびかせて高天原に登っておいでです。

 おかげで下界は大嵐と大地震が一度に来たようなありさまです。それを見た大御神さまは、弟はきっと悪い考えがあるに違いないと、すぐさま男に変装して、戦の支度をしました。

 そして高天原に近づいてきた弟を、言葉厳しくお叱りになりました。すると須佐乃男は「姉上様にお別れにまいったのです」とけろりとして仰せられました。弟の言葉に大御神はびっくりなさいました。

 あれほど激しい勢いで高天原までやって来た弟があまりにもやさしいので、大御神は気負い立った自分が恥ずかしくなり、どこに行こうというのかと優しく尋ねました。