大和浪漫

私、瓜亀仙人が奈良・大和路の社寺や自然、生活の様子などをお伝えしたいと思います。

不如帰

2009年06月11日 | 宇陀市・宇陀郡
曽爾高原で、早朝、ホトトギスの鳴く声を聞いた。
どうやら鳴きながら飛んでいる様子。
少し明るくなった空を見上げ、ホトトギスを探した。
ホトトギスにカメラのレンズを向けるが、遠くてなかなか視野に入ってくれない。
シャッターを切ったが、多分写真を見てもホトトギスとは識別できないだろう。
「ホトトギス」を表す漢字表記は、幾通りもあるという。
「時鳥」「不如帰」「杜鵑」「子規」「鵊」etc・・・
漢字表記が幾通りもあるということは、それだけ人との関わりが深かったということだ。
漢字はそれぞれ意味をもつ。
人と自然との距離が遠くなってしまった現在、
「ほととぎす」が「ホトトギス」だけになってしまうのは残念なことだ。
あの夜、誰もいない月夜の高原で独り聞いたホトトギスの鳴き声は、本当に寂しかった・・・
人から聞いた『遠野物語』にあるという話を思い出しながら、夜が明けるのを待っていた。
“むかしむかしのこと.カッコウもホトトギスも人間だった。カッコウが姉、ホトトギスが妹だった。姉のカッコウはある時、芋を掘って焼き、まわりの固いところを自分が食べて、中の軟らかなところを妹にあげた。妹は姉がもっとうまいところを食べたと思い込み、怒って包丁で姉を殺してしまった。姉はたちまち鳥になり、「ガンコ、ガンコ」と鳴きながら飛び去った。「ガンコ」とは遠野方言で「固い」という意味である。妹は姉がいいところを自分にくれたことに気づき、後悔したがもう遅い。やがて妹も鳥になって「包丁かけた」と鳴くようになった。遠野ではホトトギスのことを「包丁かけ」と呼ぶ。盛岡あたりではホトトギスは「どちゃへ飛んでた」と鳴くという。”
「写真;ホトトギス」


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1 コメント

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昔話 (ひー)
2012-08-29 13:14:35
かっこうとホトトギスにそんな悲しい物語があったとは。。。
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