
映画『壬生義士伝』【When the Last Sword Is Drawn)
★★★★★ ★★★★☆
日本 137分 2002年
原作 浅田次郎
脚本 中島丈博
監督 滝田洋二郎
キャスト
吉村貫一郎:中井貴一
斎藤一:佐藤浩市
大野次郎右衛門:三宅裕司
ぬい:中谷美紀
しづ:夏川結衣
近藤勇:塩見三省
沖田総司:堺雅人
土方歳三:野村祐人
伊東甲子太郎:斎藤歩
篠原泰之進:堀部圭亮
園山七三郎:塚本耕司
永倉新八:比留間由哲
谷三十郎:神田山陽
近藤周平:加瀬亮
佐助:山田辰夫
吉村嘉一郎:藤間宇宙
徳川慶喜:伊藤英明
大野千秋:村田雄浩
大野千秋(少年時代):伊藤淳史
芝居につけ何かにつけこういった話には忠義がまとわりつくこと多々あり。
しかし初段階では、こういった内容とは大きくかけ離れ、家族愛の方向を促す。
吉村貫一郎(中井貴一)は愛する妻が口減らしのために死のうとする姿を目の当たりにする。
本人にとっても下っ端である武士の吉村貫一郎にとっても不名誉であるが、金のため南部盛岡脱藩を脱藩を決意。
新撰組に入ってからは、金のたねにおおいにに動き、家族に仕送る。
守銭奴と仲間に嫌われののしられるが、自分は食わずとも仲間に握り飯を与え、忠義を持って己を全うする。
彼もまたこの時代に生きた誠の伎の男であった。
南部出身の女も義をもって、自害。
斎藤一の妻、ぬいである。
南部の人間は男も女も義にあつい。
最終、吉村貫一郎が息絶え絶えに自害を致す時の万部の握り飯に手をつけずにこの世を去った彼の信念を思うと、目尻がにじむ。
そうして大野次郎右衛門もまた祖手に答えるかのように方向を転換。
吉村貫一郎の息子は結果父の遺品となった大野次郎右衛門の刀をもって、死を覚悟の上闘いに挑む。
中井貴一の演技はぐいぐいとわたしたちを引き寄せる。
その場その場の表情や声色が時には囁き、時には叱咤する。
中井貴一の魅力あっての一作品だと感じた。
近藤勇(塩見三省)と沖田総司(堺雅人)は飛び抜けた迫真の演技であった。
また、しづ(夏川結衣)は美しく、ぬい(中谷美紀)は明解であった。
筋書きは簡単で、時代の移り変わりまでをうまく的確に表現。
楽しむことの出来る映画のひとつだと感じる。