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乱鳥の書きなぐり

列車に乗った男 /L'HOMME DU TRAIN

     列車に乗った男
     L'HOMME DU TRAIN





          満足度  ★★★★★

          感動度  ★★★★★





            2003年  フランス  90分

            監督   パトリス・ルコント

            キャスト  ジャン・ロシュフォール
                  ジョニー・アリディ
                  フランソワ・ステヴナン
                  チャーリー・ネルソン   他






 列車に乗った一人の中年男性、アラン。

 深味のある沈痛な面持ちで窓の外を眺める姿には、何ともいえないアウトローな魅力とかげりがある。

 たどり着いたのは、取り立てて特徴のない田舎町。

 そこは静かな空気が流れていた。





 男は鎮痛剤を買う。

 手にしたアスピリンは発砲錠で、水画必要。





 老人のマネスキエがアランに声をかけてくる。

 この静かな田舎町に静かに誠実に生きてきたやはり重厚な面持ちの老人。

 普段なら接点のないような二人。

 もし共通点があるとすれば、老人も男と同じように孤独であった。






 見知らぬ二人の男は偶然に出会い、3日間を老人の屋敷で過ごす。

 3日後の土曜日には各人ともに重要な事を控え、ことの重大さに余計孤独感を味わっていた。





 アランは旅を続け危険な香織がする。

 そんな生き方もあったのだなあと、詩の教鞭をとっていた実直なマネスキエはあこがれ、アランが出かけているときに彼の皮のジャケットを着て、映画のワンシーンのように(劇中劇)悪びれて気取ってみる。





 一方アランも老人の赤ん坊の頃の写真を手にとって、ほくそ笑む。

 部屋履きをはいてみたとマネスキエに頼んでみる。

 彼もまた定住の行き方にあこがれていた。





 だが俊老いて自分の人生を振り返ってみたところで、二人のあこがれに帰ることはできない。

 土曜にはアランには銀行強盗、マネスキエには危険を伴い手術が控えていたのだ。





 マネスキエは一人の時には静かにジクソーパズルを淡々と進めていた。

 ただ、アランと出会ってから変わったといえば左手の届くところに小さなワイングラス、白が用意されていた。

 酒も飲まなかった彼はアランと出会い、酒を口にする。



 アランはまだこんな荒くれた生活をして今買った頃の市を思い出し、マネスキエに
「ポンヌフで私は会った・・・・」
の詩の続きを問いかける。

 マネスキエが留守の時にきた生徒には、自分なるに哲学で少年に問いかけ、人生を教える楽しみを試みる。




 二人は立場は全く正反対にもかかわらず、互いにに認め合っていた。
 
 



 互いに憧れ二人がキャラに似合わない行動を取るギャップは切なく悲しい。





 
 アランは不吉な予感を感じながら、銀行強盗を決行。

 しかし仲間に裏切られ、死の美智をたどる。





 一方マネスキエも後ろ髪を引かれながら、病院に向かう。

 そこは奇妙なほどの無機質な空間と人々。

 彼の目には無機質で無色透明の自分には無関係な別世界に映る。

 そして手術は失敗。





 アランとマネスキエは同じ時刻に心拍停止。

 いったん死んだ二人は精神的なつながりを持って、互いに静かに目を開ける。

 それは二人の人生のやり直しの瞬間であった。

 アランはマネスキエの部屋で静かにピアノを奏で、マネスキエはアランのように列車に乗って静かに窓の外をみつめていた。







 二人は死といったこんな形出しか、自分の本来の描き求めるもう一つの人生を実行することができなかったのでしょう…





 切なく物悲しい、重厚感のある作品でした。

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