映画 2010年度 38本目 『ツィゴイネルワイゼン』
★★★★★ ★★☆☆☆
1980年 146分
監督 鈴木清順
脚本 田中陽造
出演 原田芳雄 大谷直子 麻呂赤児 大楠道代 藤田敏八
鈴木清順さんのインタビュー②(20分間)をみたあと『ツィゴイネルワイゼン』をみた。
以前、友人から絵画で言うと表現主義の監督だと聞いていたが全体的には古典主義で、突然はっきりとした鮮やかな色があらわれる。
映画の途中、境界線が度々あらわれる。
それは鎌倉の『切り通し』であったり、トンネルであったり、川であったり、家の玄関の戸や窓ガラスであったり・・・とにかく異次元空間を意識しているがその採用は驚くばかりの回数だった。
この映画は霊験豊かな鎌倉の切り通し無くしては製作は不可能であった。
女性を描く上で美しさと妖婉さをあらわす監督は、唇の赤などを強調する。
後ろ姿、肩、肌の白さ、はらりと落ちる着物・・・これらは実際の女性よりも美しく、ある意味 歌舞伎の女形にも類似。
始まりから途中、アングラ劇を多様。
麻呂赤児さんも出演されており、映画は部分的にかなりの面白みをみせる。
日本映画専門チャンネルから ▼
内田百﨤の「サラサーテの盤」ほかの短編小説をもとに、夢と幻想、生と死、時間と空間が交錯する鈴木清順独特の映像美学で描かれた日本映画史に残る傑作。ベルリン映画祭審査員特別賞。キネマ旬報ベストテン第1位。帝大のドイツ語教授の青地(藤田)と同僚の無頼の友人・中砂(原田)の関係を軸に、二人が旅先で出会った芸者・小稲(大谷)、小稲と瓜二つの中砂の妻・園(大谷直子の二役)、さらに青地の妻・周子(大楠)らが、現実とも幻想ともつかない幽玄の世界で交流する。荒戸源次郎の製作会社シネマプラセット初製作作品で、インディーズ映画としては異例の96,000人を動員する大ヒット作となった。