渥美清をめぐる代表的な映画監督というと、山田洋次、野村芳太郎に続いてやっぱり森崎東でしょう。本数は少ないけど、わたしはこの三人のなかでは、断然森崎東の渥美清が大好き。特に、初期三部作、『喜劇 女は度胸』、『男はつらいよ フーテンの寅』、『喜劇 男は愛嬌』のなかでは、一本目のコレがベストですね~。
この映画って、森崎東監督の第一作であると同時に、倍賞美津子の映画デビュー作でもあるんですよね。
山田洋次にとって姉の倍賞千恵子がなくてはならない女優であるのと同様に、森崎東にとっては倍賞美津子が特別な女優であるというのは、この監督にとって第一作のときから運命付けられていたんですかね?
この映画では、河原崎健三演じる真面目な青年の破天荒な兄を渥美清が演じているんだけど、山田洋次、野村芳太郎の作品とは違ったワイルドさが痛快です。
渥美清も監督によってイメージが多少違うんだけど、振られ続ける寅さんに代表されるような聖人君子的な山田洋次作品、野村作品では無垢な愚か者っていうニュアンスといった比較でいうと、森崎作品の渥美清は、モラルなんて関係ない本当の無頼漢で、一番暴れてる感じなんですよね~。
そういう意味では、一番生き生きしているしていて自由な渥美清を見ることができます。
スピーディーで猥雑な森崎作品の魅力については、立川談志が『喜劇 女売り出します』を好きな映画に上げていたり、森繁久弥が「才人ですよ」と語っていたりと、いろいろありますが、山田洋次の後続世代として、前田陽一と森崎東を大事にしなかった松竹は世代的な空白という大きな代償を払ったんじゃないですかね?
そんなわけで、渥美清ファン以外にもおすすめ!
この映画って、森崎東監督の第一作であると同時に、倍賞美津子の映画デビュー作でもあるんですよね。
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この映画では、河原崎健三演じる真面目な青年の破天荒な兄を渥美清が演じているんだけど、山田洋次、野村芳太郎の作品とは違ったワイルドさが痛快です。
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