切られお富!

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マリア・シェル死去

2005-04-30 15:42:16 | アメリカの夜(映画日記)
あんまり好きな女優ではないのだけど、私の好きな映画『白夜』(L・ヴィスコンティ監督)に出ていた女優・マリア・シェルが亡くなった。

この人というと思い出すのは、淀川長治、蓮實重彦、山田宏一の鼎談『映画千夜一夜』のなかで、気の毒なくらいボロクソに酷評されていたこと。挙句の果てに、弟のマクシミリアン・シェルまで標的にされていて、恐るべし淀川、蓮實という感じ。

ただ、蓮實氏が「マリア・シェルで一本だけ好きな映画」として挙げている『かくて我が恋はおわりぬ』という作品は観ていないので気になってはいるのだが…。

話を映画『白夜』に戻すと、ドストエフスキーの短編が原作で、原作自体も初期のドストエフスキーらしくて面白いのだけど(角川文庫から出ています。)、映画は運河の町を舞台にした美しいモノクロ作品に仕上がっている。とりわけ特筆すべき点は、この映画の撮影はすべて、スタジオ内のセット撮影で、ベニスを思わせる運河の町の町並みはすべて人工的に作られたものだということ。タイトルどおりの、美しい夜の情景、夜霧、そして雪。当時のイタリア映画の技術の粋を極めた一本といっていいだろう。

また、主演のマストロヤンニ、個人的には娼婦役で出ていたクララ・カラマイなんかも忘れがたい。(なんか、マリア・シェルから離れちゃったかな?)

以前、大晦日の晩にベニスの町へ行ったことがあるのですが、夜霧の感じや建物や橋はあんな感じでしたね、雪はなかったけど。

というわけで、どうせルネ・クレマン監督の『居酒屋』に出ていた女優としか紹介されそうになかったので、書いてみました。

マリア・シェル死去、ハリウッドで活躍のオーストリア人女優 (ロイター) - goo ニュース

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(この下巻の「魅惑のスター」という章で貶されてます。もっとも多くの有名女優が滅多打ちに会っているのですが…。それで、章のタイトルが「魅惑のスター」っていうのも改めて考えるとすごいな…。)

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1 コメント

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マリア・シェルと言えば (不老愚 助光)
2005-04-30 20:59:02
マリア・シェルと言えば「居酒屋」の強烈な印象が残っています。

あの暗い映画のラストシーン。

今 わが国ではやって居る?シングルマザーで、まわりの人達に虐められ、騙され、裏切られて精魂尽き果てた姿のマリア・シェルが汚い居酒屋の片隅のテーブルに空のコップを前に坐って居るシーンは今思い出してもやり切れない気持ちになります。

尤も 今の日本の女性はあんなに弱くは有りませんが。
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