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切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

六世中村歌右衛門 没後15年。

2016-03-31 23:59:59 | かぶき讃(トピックス)
2001年3月31日は稀代の名女形中村歌右衛門の亡くなった日で、早や没後15年。先日、門弟中村歌江の訃報もありましたし、簡単に雑感だけ書いておこうと思います。

わたしは歌右衛門の舞台に間に合わなかった世代ですが、そのかわりに伝統文化放送(歌舞伎チャンネル)他の舞台映像を繰り返し観まくって、自分の歌舞伎観を作っていったというタイプの芝居好きです。また、七世芝翫、四世雀右衛門があきらかに歌右衛門の影響下にいる女形だったということも、観劇の上では大きかったですね。あと、終生絶対的な歌右衛門応援団だったといえる三島由紀夫の影響も大きいかな。学生時代、三島の愛読者だったんで。

さて、今のわたしですが、ようやく少し引いた視点で観られるようになったというか、自分の観劇の経験値がいくらかは上がったということと、歌右衛門支持者の三島の言説以外のモノにも触れるようになったのが、再考のきっかけではありますね。

たとえば、いまや珍しいあからさまな歌右衛門批判派の小谷野敦氏(新書『もてない男』の筆者)の発言とか、演劇評論家渡辺保さんの講演会での発言、「この芝居は、最晩年まで梅幸の方がよかったですね」といった、講演会ならではのストレートな発言にも結構感化されました。

・小谷野敦のアマゾン・レビュー

今になって思うのは、三島由紀夫曰く「冷たい情熱」と評された歌右衛門の芸風というのは、孤高の芸風というのか、掛け合いのアンサンブルの良さというよりは一人芝居に近いものだったなあ~ということ。もちろん、周囲が17世勘三郎、白鸚、二世鴈治郎など、渋い芸達者で固められているから、細かいアンサンブルを気にしなくても、成立しちゃうという面はあるんでしょうけど。

で、孤高の部分は私生活のミステリアスなイメージともつながっていて、小説ネタにもなっていますよね、三島由紀夫の短篇「女形」とか、圓地文子の「七世瀬川菊之丞伝」とか。特に後者は、有名な駆け落ち事件を扱っていますし・・・。

で、延び延びになっている福助の歌右衛門襲名の行方が気になるんだけど、ぼちぼち、ニュートラルな歌右衛門論が語られ出してもよいかな~という気がしますね。神格化され過ぎていて、案外自由に語られてない気がしてしまうんで。その気運が、七世歌右衛門の誕生から始まるとよいんだけど・・・。

ということで、結論、福助丈、お早い復帰を待ち望んでいます。

・福助が歌右衛門襲名へ!
・「六世中村歌右衛門を語る」(早稲田大学小野記念講堂)に行ってきた!
・記念講演<六世中村歌右衛門を語る>に行ってきました!(早稲田小野記念講堂)
・9月25日放送 芸能花舞台「伝説の至芸 中村歌右衛門」


PS:歌右衛門の「先代萩」政岡を観ると、マリア・カラスの「トスカ」の映像を思い出すんですよね。過剰なまでに全身で「運命の女」みたいな感じ。生で観たら、鳥肌ものなんでしょうけどね~。


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