『蛇にピアス』 蜷川幸雄 監督

主演の女の子が大熱演しているというので、話のタネに・・・。では感想っ。因みに、市川亀治郎もゲスト出演してるよ！歌舞伎ファン、亀ちゃんファンも注目！

最初に断っておくと、わたしは原作読んでません。というか、同時に芥川賞を受賞した二人の小説って、何度かトライしたけど波長が合わなくて・・・。

で、映画の話。

一見して思ったのは、予算が少なそうなのにうまく撮ってる映画だなってことですかね～。（こういうことは、シチュエーションの少なさから想像できるのですが。）

簡単に言えば、二人の男（刺青＆ピアス）とヒロインの三角関係の話で、主題的にはヒロインの飢餓感というか空虚感が異形の男を求めたってことなんでしょうけれど、若い男の子と彼女の関係って、わたしに言わせれば、結構純愛路線で随分普通な感じだな～。

（でも、その方が女性の観客には受けるんでしょうけれどね。）

で、わたしがどうも気になってしまったのは、ヒロインの子の発声の仕方。舌たらずで平べったくて、わたしならずとも、「体育館の裏で発声練習して来い～」って叫びたくなる感じなんですよ。

演劇畑の蜷川監督が灰皿投げずにＯＫにしているってことは、「狙い」だってことなんでしょうけれど、わたしにはよい印象は残らなかったなあ～。別にこういうのが今風でもないし、観客側がリアルに感じるものでもないですよ。

高齢（？）の蜷川監督が若者を撮るのに今一歩自信がなかったのか、それとも、役者を訓練するだけの時間が足りなかったのか？ちゃんとした台詞が何にも勝るという、澤井信一郎監督的な演出感覚って、演劇の人には多いはずですけどね～。

で、感心したのは禿げのピアス野郎で彫師役のＡＲＡＴＡ！わたし、エンドロールを見るまでＡＲＡＴＡだって気づかなかったんだけど、映画『ワンダフルライフ』や『シェイディー・グローブ』であんなにナイーブでカッコよかったＡＲＡＴＡがこんな役をやるとは…。役者根性あるってことでしょう。でも、あの見た目はひくけどね…。

さて、なんだか長くなってしまったので、この辺で手短に結論を言っちゃうと、どうも物足りないというか、こじんまりしちゃった印象なんですよね。

悪意が足りないというか、狂気が足りないというか…。

女の子が狂気に突っ込んでいく、破天荒さが足りないし、もっといっちゃえば画面にパワーがない。蜷川監督はこの原作に距離感を持っているんじゃないかって勘繰ってしまったなあ～。遠慮があるというかね～。

それと、読んでない原作のことをいうのもなんだけど、山田詠美の「ベットタイム・アイズ」の黒人の男がピアス男たちに変わっただけなんじゃないのって印象もあるしね～。

というわけで、どうも乗れない映画ではありました。それに、わたし痛そうなの苦手だしなあ～。

ところで、亀ちゃんの話。最後の方に出てきますよ。武田信玄以来の渋い容姿で登場します。

「十二夜」絡みの友情出演なんでしょうか？

亀ちゃんファンは必見でしょ？しかし、このひといろんな仕事するようになりましたよね！

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＜参考＞

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