VIVIEN住生活総研

住生活ジャーナリストVivienこと藤井繁子が、公私を交えて住まいや暮らしの情報をお届けします!

トステム財団「中国建材市場の現状と課題」

2008年03月18日 | 住宅業界
(財)トステム建材産業振興財団が助成している研究会から「中国建材市場の現状と課題」について発表シンポジウム開催。
東京大学大学院の清家剛准教授と東洋大学の名取発准教授が中心となって、進められた研究発表に
 
中国当局から建設部の章住宅産業化促進センター産業発展処長や同済大学(先日訪問したので親近感!)の譚教授と
大連理工大学のハン教授に加えて、呉建築事務所の呉代表が講演およびパネラーとして登壇。

中国の建築市場は施工面積30億㎡(05年)、新築住宅市場は12億㎡(約1200万戸!)と日本の10倍の需要。
今後、都市への人口集中が進行し05年の都市人口5.5億人が、2020年に9億に達し都市化率が60%になる予測。
益々、都市の住宅需要は増えるばかりだが、現在、中低所得者向けの住宅不足と価格高騰の調整もあり
小さめ(90㎡以下)で低価格の住宅供給対策が行われている。米国との共同プロジェクトで1600戸のモデル住宅事業も進行中。
 
一方、環境対策も大きく掲げられ【節能・節地・節水・節材】がそのテーマ。ゼロエネルギー住宅の実験も行われている。
 
今後90㎡以下、全内装の日本型マンションが行政指導で増える事を前提に、
太陽光発電のような環境技術と共に日本企業のノウハウが生きる市場と期待が持たれている。

上海は04年にNYを抜いて、世界で最も超高層ビル(16階建て以上)の多い都市になったというデータも提示され
先日訪れ肌で感じた上海の勢いを、先生方のお話で裏付けを得られ納得できた講演会であった。

現地でも感じた事であるが、建材市場においても欧米企業が上海では歴史的な背景もあって先行しているが
今回のお話にあった〝環境技術・コンパクト住宅〟では日本企業にも進出のチャンスが大きい市場である。



旭化成ホームズ、マンション建替事業

2008年03月18日 | 住宅業界
旭化成ホームズが行ったマンション建て替え事業(同潤会江戸川アパートなど)の中でも、東京都調布市国領の公団住宅建て替えは
都市計画法による一団地住宅施設を廃止して行われた東京都初の事業として注目されていた。
今月末の竣工引き渡しを控え、業界関係者への見学会が開催された。

建て替えられた「アトラス国領」の周辺は公営住宅が立ち並ぶエリア。単調な板状棟が多いその中で、一際目を引く建物群(右手前)。
 
戸建てのヘーベルハウスを彷彿させるタイル色の外観。見学に先立って旭化成ホームズの都市開発部から事業内容の説明を受けた。
 
S39年に建築された公団住宅144戸が、H8年からコンペを勝抜きH17年に建替え決議採択までの経緯には
国交省・東京都・調布市と各々の法令・規制を乗り越え、新たな320戸に生まれ変わる興味深いストーリーがあった。
 
建て替え事業のキモは地権者との相談・対応力にあると思う。その点注文住宅メーカーとして施主との緻密な商談が本業の旭化成ホームズは、マンションディベロッパーより優位性がある。(本物件の住戸プランが80タイプ!)

今回も高齢の地権者が多く(60歳以上が60%)、区分所有法によって処分された不賛同2件など、そのご苦労も想像できるが
「今は皆さんこちらへのご入居を心待ちにしておられます。」と担当の方は開発冥利に!
 ビオトーブ風の池も 

今回は高さ制限の法令施行前だった事もあり、高層棟(10から14階)を一部採用する事でランドプランにゆとりが生まれ、小径と憩いの場が点在する設計が実現した。容積率に余裕があったケースなので新規分譲分で建て替えコストが賄えた希少物件でもある。
(従前の建蔽率20%容積率70%→建蔽率60%容積率200%)

 保存されたシンボルツリーや伐採木を利用したベンチ
 新規分譲分は206戸、こちらは5860万円/80.51㎡ 
分譲坪単価は@217万円(中心4000万円台~6000万円台)と周辺相場より高いが、残り10数戸まで販売済みということ。

今後、都心の新規土地取得は難しい中、建て替え事業に対する期待値が高まる。
郊外物件などの建て替え事業は容積率に余裕が無く地権者の持ち出しも多くなると予想される。
そんな物件こそ、事業主のコンサルティング力・ソリューション力がものを言う事になりそうだ。