日々是好日

撮った写真や思っていることなどを気の向くままに書いています。

万葉集の花

2021-05-10 07:00:00 | 植物

万葉集に、山部赤人が「真間の手古奈伝説」に感銘を受けて詠んだ歌がある。

----- 手古奈は美しい娘だったので、自分を求めて何人もの人が争うのを見て、罪の深さを感じ、自ら命を絶ったという伝説 ----

手児奈の住んでいたところが「葛飾の真間」、で現在の千葉県市川市になっている。

そのため万葉集のゆかりの地として、市川市には「市川万葉植物園」がある。

それほど広い植物園ではないが、植えられている草花や樹木は、全て万葉集に登場しているもの。

そして、それらにちなんだ万葉集の和歌が添えられているので、両方を楽しむことができる場所となっている。

 

5月8日の時点で見られた花をいくつか。

 

[ヒメシャガ(姫射干)]

万葉集の中で「はなかつみ」として1首だけ詠まれている。

”をみなへし佐紀沢(さきさわ)に生ふる花勝見(はなかつみ)かつても知らぬ恋もするかも” (中臣郎女・なかとみのいらつめ)

花勝見がヒメシャガのこと。

万葉集ではマコモ、ノハナショウブ、アシノハナ、アヤメ、カタバミ、デンジソウなどの諸説あり。

 

[ノイバラ(野茨)]

”道の辺の茨(うまら:宇万良)の末(うれ)に延(は)ほ豆のからまる君をはがれか行かむ”(丈 部鳥・はせつかべのとり)

宇万良は野薔薇・野茨の古名。

 

[ヒトリシズカ(一人静)]

 

[フタリシズカ(二人静)]

”つぎねふ山背道(やましろじ)を 人夫(ひとづま)の馬より行(ゆ)くに 己夫(おのづま)し徒歩(かち)より行けば 見るごとに 音(ね)のみし泣かゆ そこ思ふに 心し痛し”---長歌(作者未詳)

つぎねふは山城にかかる枕詞で、つぎねがヒトリシズカまたはフタリシズカの古名。

 

[チガヤ(茅萱)]

チガヤは歌の中では、浅茅(あさじ)・浅茅原(あさじはら/あさつばら)と詠まれ、多くの歌が残されているが、説明文にあった歌。

”秋されば置く白露に我が門の浅茅が末葉色づきにけり”(作者不詳)

子供のころはこの花?をツバナと呼んでいたのを覚えている。

 

和歌は添えられていなかったが、そのほかに咲いていた花。

 

[イチハツ(一初)]

 

[ホタルカズラ(蛍葛)]

 

[ハマエンドウ(浜豌豆)]

 

[ニッコウキスゲ(日光日光黄菅)]

 

[ヘラオモダカ]

 

 

季節が変わればまた違った花が見られるので、次の季節にまた行ってみたいと思っている。

 


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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (如意)
2021-05-10 18:15:42
こんばんわ。
中部地方在です。
写真を見た瞬間「ツバナ!」と思いました。
柔らかい穂を食べませんでしたか?

『雨月物語』<浅茅が宿>の浅茅はこれでしたか。
脳内の「宿」のイメージを修正しておきます。
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Unknown (warata)
2021-05-10 18:49:20
こんばんは!
やっぱり中部地方でもツバナと呼んでいたのですか。
きっとチガヤよりツバナの方が一般的だったんですね。
でも、穂は食べませんでしたよ。
食べられるとは知りませんでした。
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Unknown (らむぶる)
2021-05-11 08:28:35
もうせん、壺井栄の小説に、少女たちが集まって、だれそれはなにの花、かにの花によそえる話を読みました。その時、あなたは茅花さんと呼ばれたり。あれ?吉屋信子だったかな。すみません、何十年も前なので。
  茅花を抜いて、根をなめると甘くて、こだもたちが喜んでいる、とは、壺井栄だったでしょうか。
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Unknown (らむぶる)
2021-05-11 08:35:31
なめるだか噛むだかは、若い穂らしいですわ。
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Unknown (warata)
2021-05-11 10:31:28
壷井栄の小説のことは知りませんでした。
チガヤはサトウキビの親戚らしいですね。
だからその根と若い穂には甘い成分が含まれているらしいです。
昔はお菓子代わりに舐めていたんでしょうね。
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