第2日目-----『静山荘』
「青荷温泉」の次は岩手県西和賀町にある巣郷温泉に宿を取ってあった。
巣郷温泉は横手と北上を結ぶJR北上線沿線にある。
そこまでのルートを考えた時、在来線は本数が少なくて、結局新幹線を使うことに決めた。
弘前駅から新青森駅まで乗った「特急津軽1号」
新青森駅から北上駅までは新幹線を使い、北上駅からは北上線に乗った。
[北上線・横手行]
「横手行」の電車はたった1両だけの編成だった。
高校生が多く乗っていたためか、混雑していて座席は全て埋まり、立ち客も大勢いた。
北上線には何度も乗ったことがあり、途中にある湯川温泉や湯本温泉へは数回訪れたことがあったが巣郷温泉へは初めてだった。
今回この場所を選んだ理由は2つあり、そのうちの1つは温泉の「泉質」だった。
巣郷温泉は石油のような香りがする温泉らしく、その温泉に入りたかったこと、そしてもう1つは「でめ金食堂」があることだった。
「でめ金食堂」は”食事をすると無料のお風呂に入れる”という温泉ファンには有名な店だった。
ここにもぜひ1度は行ってみたかった。
[北上線・黒沢駅]
巣郷温泉は秋田県と岩手県の県境にあり、最寄り駅は秋田県側の「黒沢駅」。
この駅で降りたのはたった1人だけだった。
宿の送迎はあったけれど断り、宿まで歩いて行くことに決めた。
駅から巣郷温泉までの国道107号線は『平和街道』と呼ばれ、昔から秋田県と岩手県を結ぶ重要な街道だったらしい。
その街道の途中にある県境を歩いてみたかったのだ。
目的地までは約30分と言われていたので、簡単に歩けるつもりだったはず。
ところが、ずっと登り坂だったし、暑い日だったので思ったよりきつかった。
でも、この辺りは高原になっているので、道沿いには夏と秋の花がたくさん咲いていた。
この花々を見られたのだから、歩いてきて良かったのかも。
県境の峠に近づいた時、前方に「静山荘」の看板、その少し先には「でめ金食堂」の看板が見えた。
なんと今夜の宿と「でめきん食堂」はほんの数十メートルしか離れていなかったのだった。
この看板の消えかかっている温泉マークに注目!!
ファンには嬉しいマークのはずだったのに・・・
せっかく行ったのに、この日はお風呂は「休み」だった😞😞
気を取り直して「静山荘」へ。
「静山荘」は国道沿いにある総客室9室の小さな宿。
地元の人たちの宴会や食事会などにも利用されているらしく、広い宴会場もあり、昔からの地元の宿といった風情だった。
若奥様が1人で切り盛りしているようで、チェックイン時から気さくな対応をしていただいた。
「でめ金食堂」でお風呂に入れなかったと言ったら、ここも同じ泉質だと。
それじゃ、ゆっくりする間ももったいないと思いすぐにお風呂に・・・
[内湯と露天風呂]
[露天風呂]
お風呂は内湯とそれに続く露天風呂になっていた。
日帰り入浴もやっているようだったが、誰もいなく貸切状態で、浴室に入った瞬間から強い油の香りがした。
その香りは柔らかで、イヤな気はしなかった。
熱めのお湯で少し緑がかった色をしていて飲泉も可能らしい。
アルカリ性のため少しヌルっとしていて、風呂上りは肌がつるつるになったような気もした。
成分表を見ると泉質はナトリウム、塩化物、硫酸塩温泉(低張性アルカリ性高温泉)、pH8.6となっていて油の香りの成分はどこなんだろうと思って聞いてみた。
若奥様曰く、「昔この辺りに鉱山があったのでそのせいじゃないのかな、謎です」と。
お風呂の後は食事のこと
夕食は部屋食で、盛りだくさんの料理がテーブルいっぱいに並び、作り立ての料理が次から次へと出てきた。
ボリューム控えめの釜めしコースをお願いしたつもりだったけど、最後までは食べきれなかった。
「静山荘」は田舎の親戚の家に泊まりに行ったような気安さと懐かしさが感じられ、コスパも良く、機会があったらまた寄ってみたいと思わせてくれるような宿だった。