第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

総合内科の輝き

2014-09-05 19:20:44 | 総合診療
前回の続きは長くなりそうなので、今回は別の内容で。

臓器別診療は確かに優れています。

勿論、自分が手術をうけるならばそれだけを診ている優れた外科医に手術してもらいたいですし、
やっぱり一つの病気だけで完結できるのであれば、その専門家に診てもらいたいです。
カッコ良いです!輝いています!

私もそう思います。

でも本当に、患者の病気は一つだけでしょうか。

例えばの話ですが、
糖尿病の様に全身の血管病変を持っていれば、脳梗塞は起こしますし、糖尿病性腎症は合併しますし、
網膜症で失明しますし、心筋梗塞で心不全になり、はたまた自立神経障害でうまく歩けず転倒し整形外科や
火傷を負えば傷が治らず形成外科を受診するかもしれません。

そうなった場合、やれ脳卒中科だ、腎臓内科だ、眼科だ、循環器内科だ、整形外科だ、神経内科だと
自分の科単体のみではコントロールが効かなくなります。
各科が細切れに少しずつ診療する体制では綿密に診療内容の情報伝達をする必要があります。
それが本当に一人一人の患者に可能かどうか。

Generalistは不要であると訴える医師が極稀におりますが、そのような方は確実に大病院でのみしか
務めた事がない方です。否、である筈です。

500床以上の大病院であり、各科が全て揃っていて、これは自分の領域では無いと判断した時に
円滑にコンサルトができるような大病院に勤務し続けれていれば特に不自由は感じないでしょう。

ただ、これだけは間違いないです。
高齢化が進み、多種疾患を持っている患者が確実に増えています。大病院に高齢化の波がさらに
よせて来ることでしょう。一つの病気だけで完結できること自体が最近では珍しくなってきております。

そうなると、
自分の領域しか診れない(診ない)医師は、各専門医が揃っていない中小規模の病院では上手く勤務すること
ができなくなってしまいます。なぜならいつも支えてくれる他科の医師が全く存在しないからです。

自分のアイデンティティが揺らいだ医師は、非常にストレスを感じるはずです。
人間は自分が分からない事、知らない事、出来ない事、自分が貢献できない事にはストレスですから。

「これは私の患者ではない」、「何故私がこのような疾患を診なければならないのだ」云々と周囲に漏らす様になり、
酷い時には患者に苛々をぶつけてしまう事も多い様です。
「何でこの外来にきたの!」、「だからそれは専門外なの、他の先生に聞いて!」

このような現場を見てきて、確信した事はその苛々の原因となる内容の多くがCommon diseaseである事です。
有病率からは当たり前であると思います。

そう、これらを解決する打開策は、勉強熱心なGeneralistを沢山養成する事。もしくは、その魂を伝えて行くこと。
若い世代を診ていると、明らかに新しい新時代の医師達が増えてきていると思います。

私の経験上、誰が一体主治医なのかわからなくなっている患者達を目にする事が多いです。

誰かが俯瞰的な目を持って患者を診る必要が出てきます。
そこにGeneralistが、あるいはGeneralistのMindを持ったSpecialistが輝ける場所があると思うのです。

今日は、この辺で。