第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

DTMH疾患 その1)ヒストプラズマ症(Histoplasmosis)

2015-10-29 13:58:16 | Mahidol University編

ヒストプラズマ症(Histoplasmosis)

真菌感染症の一種で、鳥類やコウモリ等の糞に汚染された土壌の中に潜んでいる。世界の大陸の多くで見られており、アジアでは文献1)より 
Certain areas of the Asia-Pacific region are endemic for histoplasmosis; how- ever, the ecologic niche for this infection remains unclear. Penicilliosis is restricted to Southeast and Eastern Asia, whereas sporotrichosis is encountered in tropical areas of the Asia-Pacific region linked to environmental reservoirs distinct from those seen in the Western world.
他にPenicilliosis、sporotrichosis等の鑑別があがったりがあるので、今後日本での疫学をしらべてみたい。
 
病原性は乏しく、ほとんどの患者は気道内に芽胞を吸い込んだとして発症せず、したとしても1W-1M程度で自然軽快する。潜伏期間は3日から17日程度らしい。AIDSや免疫抑制剤使用者にかぎって言えば肺から他臓器へと浸潤して重症化することも。
 
症状は
  • Fever
  • Cough
  • Fatigue (extreme tiredness)
  • Chills
  • Headache
  • Chest pain
  • Body achec
Acute febrile illness 様のとりとめのない症状。
 
診断は文献2)より
ヒストプラズマ抗原を尿中・血清が感度高く有用とされるが、
抗体価測定や培養、鏡検もされる(Mahidolでは可能であれば顕微鏡で見て診断していた)
 
抗原検査: Enzyme immunoassay (EIA) is typically performed on urine and/or serum, but can also be used on cerebrospinal fluid or bronchoalveolar lavage fluid. Sensitivity is generally higher in urine than in serum, particularly for HIV-infected persons with disseminated histoplasmosis.
 
抗体検査: だいたい免疫不全者がかかる病気だし、そのような患者においては2−6週間程度も抗体価が上がってくるのにかかるので急性ヒストプラズマ症の診断には全く有用でない。
 
Immunodiffusion (ID): Tests for the presence of H (indicates chronic or severe acute infection) and M (develops within weeks of acute infection and can persist for months to years after the infection has resolved) precipitin bands; ~80% sensitivity.
 
Complement Fixation (CF): Complement-fixing antibodies may take up to 6 weeks to appear after infection. CF is more sensitive but less specific than immunodiffusion.
 
Culture: 6 weeks を要し、急性診断には有用でない。超重症時には有用となることも。
 
直接鏡検: for detection of budding yeast in tissue or respiratory secretions; low sensitivity.
 
 
PCR : PCR for detection of Histoplasma directly from clinical specimens is still experimental, but promising.
 
【治療】基本不要。ただ、免疫不全で重症化している場合
 
severe acute pulmonary histoplasmosis
chronic pulmonary histoplasmosis
disseminated histoplasmosis
central nervous system (CNS) histoplasmosis
等には
 
amphotericin B や itraconazole を使用する。
 

1) Chakrabarti A, Slavin MA. Endemic fungal infections in the Asia-Pacific region. Med Mycol. 2011 May;49(4):337-44.

2) Kauffman CA. Histoplasmosis: a clinical and laboratory update. Clin Microbiol Rev. 2007 Jan;20(1):115-32.


組織が巨大すぎて複雑です MCTM Day 27

2015-10-29 02:28:30 | Mahidol University編

 

皆様こんにちわ。

もっぱら、最近は自分の中の課題をこなす為に夜な夜な働いております。といってもMCTM自体の課題はProposalを提出した後の二週間はさほどたいした事がないので、土日を利用して2週連続でチェンマイに旅行したり、パタヤに旅行したりと家族サービスに勤しんでおります。そもそも自分が勉強できるのも家族の支えあってですから。感謝です。

 

さて、最近になってようやくこのMahidolの組織構図がわかってきました。何故かというと、我々のいるキャンパスを取り囲むかの様に、あまりにも巨大な病院が乱立しているのでわからなかったのです。名前もわかりにくく固有名詞や地名がタイ語でついているために、一体何の病院なのか通りながら不思議におもっていました。日本で言う◯◯大学付属病院って言うわけでも無いし、あまりに周囲に病院が一極集中しすぎていて。

 

遠くはなれたシリラート病院(2000床)がおそらく日本で言うマヒドン大学付属の一般総合病院であって、我々の病院Hospital for Tropical diseaseは熱帯病だけを扱う超狭い領域の300床の専門病院で、その周囲には700床小児科専門病院や皮膚科専門病院、Critical care 専門病院等が隣の敷地にずらっと並んでいます。自分が把握できるのは臨床熱帯医学大学院に関係する極わずかな一部の先生達やスタッフだけであって、その背後には計り知れない巨大な組織が存在しております。

 

良く、バンコクの医療はどうですか?と質問されて返答に困るのですが。

どうですかと言われても・・あまり日本の熱心な病院と変わりませんとしか言いようが無いのですが、CTやMRI、PETなどの高額医療機器のアクセスが悪い事を除けば(どちらかというと日本だけが世界で群を抜いております)、医師達の診療レベルはかなりの高水準では無いかと感じています。というかUp to dateやDynamed等の二次資料的に明らかに外れた診療をしている人を私は見た事がありません。

で調べてたみたら納得しました。

私が以前働いていた病院もJCI(国際標準医療のレベルを持っている標章みたいなものです)に認可を受ける為に病院の総力を挙げて必死で取り組んだ記憶があるのですが、タイは既に40病院以上も認可されているようです。どうりで納得です。

日本の様に、小中規模の病院が多数乱立している訳ではないので、地域の中核病院や裕福な私立病院はおおむね認定されているのではないかと思います。勿論、英語を中心した最新の医療情報についてのアクセスが良いので、その点は完全に負けて悔しい感がありますが。。

 

日本語のサイトで歴史が乗っていたので、下記抜粋して乗せておきます。

写真は関係無いですが、昨日見たアメーバー膿瘍の穿刺液!まさにアンチョビソース様とはこの事ですね!!

そして偶々、本日の回診カンファの患者は肝膿瘍でした。

 

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タイ・マヒドン大学附属シリラート病院は、1888年創立された、120年以上の伝統を持つタイで最初にできた医学校である。チュラロンコン王(ラーマ5世)により、タイの国民のために「(タイ)王国の病院」をモットーとして設立され、2000床以上あるシリラート病院は毎年250人以上の医学部卒業生を送り出しています。マヒドン大学とは1889年チュラロンコーン大王 (ラマ5世)によって創立されたマヒドン大学はタイ国で最も古い教育機関の一つであり、1万9千人以上の学生が在籍し400以上の大学のプログラム をサポートしている。また2,600名以上の教授陣を擁し、学生と教授の比率は1対8である。その比率はタイの高等教育研究機関の中では、最高の数値である。

120年以上にわたってマヒドン大学は、多くの変化と進歩をとげてきた。現在は16の学部、8つの研究所、3つの病院、そして6つの単科大学を持っており、その卒業生を優秀な人材としてタイ各界に送り出している。マヒドン大学医学部出身の優秀な医師は枚挙にいとまがないが、現在のタイ保健省の大臣、ピヤサゴン サゴンサッタヤートーン氏、前大臣のラシャタ ラシャタナーウィン氏共にマヒドン大学医学部の出身である。

また日本人に関係の深い部分では現在の「国境なき医師団日本」の新会長、加藤寛幸氏がマヒドン大学熱帯医学校において熱帯医学ディプロマを取得されているというニュースは記憶に新しいところである。

タイの医療水準は、世界的に見ても非常に高いレベルにあります。日本と比較しても同等かそれ以上の設備、技術を誇る医療機関が多数存在します。

タイの医療はアメリカの医療にならう世界的な医療レベルの高さを保証するJCI (Joint Commission International) の認定を受けた医療機関の数は44にのぼり、日本の13と比較しても、その医療水準の高さがうかがえます。

医師の多くは英語を話し、親しみやすい国民性と、宗教的にも大きな問題を抱えていないことから、世界各国から医療ツーリズムに訪れる患者が後を絶ちません。