第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

スウェーデン物語第二章 プライマリケア医の育て方 

2018-04-26 17:16:37 | スウェーデンのジェネラリスト
みなさまこんにちわ。
日本はもう暖かいと思いますが、こちらはまだ寒く、おまけに天気が悪いです。ちょうど出雲と似ております。。
さて、スウェーデンのプライマリケア医=GP=日本では総合診療医?
僕は、家庭医だろうが、総合診療医だろうが、総合内科だろうが、救急総合診療科だろうが、はたまたGPだろうが、患者さんのためにという志が同じであれば、地域やその需要によって役割が変わる(変える)べきであるという考えから呼び方は何でもいいのではないかと思っています。自分は全くこだわりがありません。
 
今日は、GPの育て方について現地調査してきました。
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【プライマリケア医を育成する方法】
・プライマリケア医になるためには理論に裏づいた高密度のトレーニングを受ける必要があるという認識から、最低5年以上に及ぶプライマリケア専修医コース(ST:Special Training)を全て終了してGenral Practitionarになることができる。そのうち最低3年以上のプライマリヘルスケアセンターでの研修と最低1.5年以上の病院内での各科研修が必要とされる。厳しい双方向性のオンライン評価システムにより、複数の指導医による評価とポートフォリオを中心とした自己評価により研修の進行度を一ヶ月に一回の面談を行いながら進めていく。特に、内科、産婦人科、整形外科(内科)、皮膚科、精神科、小児科、耳鼻科、眼科等の各科に関して、高度な手技を学ぶというよりは、特にプライマリケアセッティングにおいて必要な外来トレーニングのみにフォーカスされている。これにより本邦における耳鼻科医師、眼科医師、産婦人科検診等の日常的な外来医療行為と同様の行為を行い必要に応じて各科に紹介する専門的な能力を養なければならない。PHCも病院も双方とも公的機関であり、またプライマリケア医は病院内で修練することが義務である為に双方の見解の違いが少ない印象である。
また必修コースとして、1) Medical competence:医学医療の知識と技術、2)Leadership competence:リーダーシップ、3)Communicative competence:コミュニケーション能力、4)Competence within medical science and quality work: 医学の科学的考察能力と臨床研究の経験の4つのトレーニング目標をクリアしなければ終了できない。
・その中でも本邦と決定的に異なっていたことには、プラリマリケア医はscientific mindを持っていてこそ、初めて自分の医療行為の妥当性を客観視して評価できるとの根強い文化的な背景から、最低でも10週間の臨床研究に専念するトレーニング期間が義務付けられており、この期間に自分のクリニカルクエスチョンを設定し、デザインを作成し、データの集め方(実際には時間が足りずPublishまでは問わないとの事)、統計解析の手法、発表の方法を一通り経験しなければならない。その際のメンターとなるのはプライマリヘルスケアセンターの指導医が中心となる。このPHCの指導医の多くは自身が臨床研究でPhDを取得している。なお、その期間に興味を持った専修医は長期間の臨床研究のトレーニングもフレキシブルに行うことができ、結果として最大10%程度のプライマリケア専修医が臨床医として働きながらPhDコースへ進学する。プライマリケア医の給料は各科病院に勤務している各科医師よりもやや高く設定されている為に、専攻医の数はこの6年で約3倍近くまで人気が出てきいる一助となっている。
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こちらの先生たちの役割はかなり明確に別れており、日本のような開業医的な役割の立場の医師はほとんどいません。驚くべきことに、GPが産婦人科検診やSTD、また小児科の喘息外来や、耳鼻科の中耳炎や難聴、マイナー外科や骨折、いわゆる救急外来も全て担当されていました。
 
後述しますが、開業?してもほぼ儲からないシステムをとっている為に医師の多くは勤務医ということになります。勤務医としてGPをやっているわけですね。このGPが働く場所がPHC(Primary health care center)という外来セッティングのセンターですが、このことはまた後ほど。
 
(Tommy先生、素晴らしいランチに連れて行ってもらいました)
 
 
(Tommy先生のデスク)