第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

スウェーデン物語第三章 医師は勤務医としてプライマリケアセンターで臨床・教育・研究を行う。

2018-04-28 17:48:13 | スウェーデンのジェネラリスト

みなさまこんにちわ。

いいかげん、本当に食事がしんどいです。やはりウォシュレットは重要です!おケツ保護の為にも、もし次に海外に住む場合は例え5万円かかってでもつけようと思います。

長期滞在もそろそろ飽きて、スウェーデンのみなさまにとても良くしていただいたお礼に、第一報の調査をまとめに入らなければなりません。

もとより、お金がかかっている正式の仕事ですのでしっかりとインパクトを与えれるように開始します。二国間での調査表は3月に英語で僕が作成しましたが、ここまで医療システムと育成システムが違うと同じ土俵で比べることがとても難しいです。その意味で単にアンケートを取ると言うことではなく、やはり現地で調査して様々なconfunding factorとBiasを考慮した上で作成しないといけないと感じました。

今回はもっとも日本と異なる点についてここに記載しておきます。その名もPrimary health care centorです。ここは、なんとほとんどのプライマリケア医が勤務している場所で、臨床・教育・研究の最前線であります。しかもほとんどが国営です。院長は看護師の女性であったり、日本の医療界にありがちなくだらない年功序列や男性優位の役職配置ではなく、ちゃんとした実力や人間性を持った人がマネージメンをしているその違いに衝撃を受け数日間カルチャーショックでした。

では始まり始まり

--------------------------------------------------

前述したように初期研修を修了した医師は自分の意思で約20%がプライマリケア医専攻医へ、80%は病院内における各科専攻医へ進む。
プライマリケア医が活躍する場所としてはプライマリヘルスケアセンター(PHC)が中心で、全国に配置されている。本邦でいうクリニック開業医はほとんどいないために、このPHCはいわば臨床の最前線として臨床と教育と研究業務の中心を担っている。医療経済的に、医療の質的にも効率的であると先行研究等から認められてきたことから、スウェーデンの国家的事業として進められてきた。その為にPHCは公的施設であることがほとんでである(近年私営のPHCが40%程度へ増加してきている)。PHCの収入は患者数や各疾患に応じて政府から支払われる予算が公立・私立とも同様に規定されている。その為に、診断目的で行う検査は施設の持ちだしであり少しでも過剰な検査は減収の原因となる為に、私立PHCが極端に利益を上げることはできないシステムになっている(本邦の感覚で言えば準公的施設に近い)。一施設あたりの常勤プライマリケア医師数は4-7人であり、その内医師数人分の給与を大学等で臨床研究や臨床教育業務に携わる非常勤医師の給与として補填している。勤務する専従の看護師は20名程度であり、それ以外に糖尿病や呼吸療法などの専門看護師、臨床心理士、検査技師、理学療法士、作業療法士などのメンタルヘルス・慢性疾患に対する外来リハビリ施設も備えている。
 
PHCの臨床と教育
勤務する医師は急性慢性や検診等をとわず内科・外科・眼科・小児科・産婦人科・耳鼻科・皮膚科・精神科・整形外科領域における多様な外来セッティングの診療を行える能力を養成されている。一人にかけて良い診療時間は約25-30分程度であり、初診でも予約を取ることが基本となっている。それ以外はPHC内での救急当番医が診療を行う。基本的には日本と同様に皆保険制度の上、フリーアクセスを担保している為に患者は自由にPHCや専門病院での診療を選ぶことができるが、直接軽症状で病院へ向かうことは多くはない。PHCは入院病床を持たず、自施設で行える検査としてはCT、MRI、手術、下部消化管内視鏡以外のことは概ね可能である。それらが必要になった場合に病院へ紹介するシステムをとっている。

-----------------------------------------------------

PHCセンターのスタッフ紹介。約30人程度が勤務している。