『午前十時の映画祭10-FINAL』にて。
1990年のアメリカ映画『ダンス・ウィズ・ウルブズ』。
監督・製作・主演を務めたケビン・コスナーは
本作でアカデミー作品賞とアカデミー監督賞を受賞したそうです。
この映画、大草原の光景がとても印象的なんだけど、
切り口が斬新でとても面白い✨
話としては、ジョン・ダンバー中尉(ケビン・コスナー)が、
赴任先でスー族のインディアンと出会い、彼らとの交流を通じて、
自分たちがいかにインディアンに対して間違った認識を持っていたかを痛感するというもの。
先住民との交流を描いた作品を今まで観たことがなかったからすごく新鮮だったのだけど、
この映画の一番面白いところは、白人を悪者のように描いているところである。
インディアンを野蛮な盗人と決めつけている白人たちではあったけど、
ジョン・ダイバーはインディアンと生活を共にすることで、
彼らは誇り高く礼儀正しい人たちだということに気づく。
彼らは昔からこの地にいて、普通に生活していただけ。
何も奪ってないし、誰にも危害を加えていない。
それなのに、白人たちは彼らを忌み嫌い、追い出そうとしているのだ。
後半、インディアンの格好をしたジョン・ダイバーを見つけたアメリカ軍は
彼を捕まえてバカにし、ひどい扱いをしていたところは怒りを覚えた。
聞く耳を一切持たず、「インディアンは野蛮な盗人である」
という先入観だけで突き進む大衆心理は本当に恐ろしい。
白人であるケビン・コスナーが白人を悪者のように描く映画を撮るというのが
とても意義のあることだと思う。
普通なら白人を持ち上げる話にしそうだからね。
僕はこの映画の中で、特に印象的だったシーンを2つ見つけた。
ひとつは、言葉がまったく通じない中で、
あの手この手でお互いコミュニケーションを取ろうとするところ。
人は本来、人種や文化の垣根を超えて
仲良くなれるんだと信じさせてくれるようなシーンだった。
もうひとつは、インディアンの部族同士の争いを目の当たりにしたジョン・ダイバーが、
政治や自由のためではなく、単に家族を守るためだけに戦う彼らの姿を見て、
自分自身が何者でもなかったということに気づくところ。
人として大切なものは何かを改めて思い起こさせるようなシーンだった。
アメリカ側からしたら、ジョン・ダイバーは裏切り者になるので、
これ以上スー族に迷惑をかけないよう、
最終的に彼は部族から離れることになるのだけど、
最後の終わり方も感動的ですごくいい映画だと感じました。
しかし、歴史的な映画を観るたびに思うのだけど、
自分には知らないことが多いなと思う。
この映画でいうと、先住民と白人の関係などほとんど理解していないため、
知りたいことがたくさん出てくる。
そもそも、なぜ最初からその土地に住んでいる人たちが
後からやってきたやつらに迫害されなくてはならないのだろう。
ちょいと調べると、あのコロンブスがクソ野郎だったということも初めて知りました。
ちなみに、ケビン・コスナーはそれまで築いてきた私財の
ほぼすべてを使ってこの映画を作ったらしいのだけど、
結果、大ヒットしてアメリカ国内だけでも製作費の10倍近い収益をあげたそう。