若い方はご存じないかもしれない。
かって1979年にプロ野球で、「空白の一日」なる事件があった。
高校野球の怪物と呼ばれた江川卓を、巨人がドラフト制度のすきをついて契約したのだった。
その後紆余曲折があって、巨人に在籍していた小林繁投手を阪神にトレードで差し出すことで決着したのだ。
その小林投手は、もう鬼籍に入ってしまったが、こんな言葉を残している。
◆あの事件のおかげで成長できた
誰しも人生を長く続けていれば、事件や事故に遭遇することがある。
なんで僕や私がこんな目に・・・
だが、小林投手は違った。
阪神にトレードされたその年に、小林は22勝を挙げて沢村賞(投手最高の栄誉)に輝いたのだ。
おまけに、対巨人戦では8連勝だった。
まさに鬼神の働きだったのだが、そこには憎しみもくやしさもなかったと言う。
彼を捨てたはずの巨人に対しても感謝していたそうだ。
「あの事件のおかげで僕は成長できたと思います」、たしかにそれがきっかけで彼は一皮むけたのだ。
さらに事件のきっかけとなった江川投手に対しても、「僕のせいで彼が悪者にされて気の毒だった」と気を遣う。
運命を呪ってもなにも生まれない。
それを悟った人間だけが、成長できるものなのかもしれない。
→そういう平常心を身に着けたいものです。