2016年3月21日
昨晩乗車したラストラン上り「はまなす」。長万部発車後に目が覚める。そして左手に夜の噴火湾が現れた。
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沖に浮かぶ無数の灯り。漁火だ。きれい。北海道夜行ならではの夜景。
砂原支線を走り抜け大沼を通過すると、今度は眼下に函館の夜景。北海道夜行で度々眺めてきたこの夜景も、これで本当に最後。また涙腺が緩む。
2時55分頃、列車は函館に到着。ED79連結観賞にダッシュする多くの人。しかし「機関車連結は3時45分頃の予定です」のアナウンス。皆さん肩透かしを食ったようで、三々五々ホームに分散。これは長時間に渡り人が殺到するのを懸念しての措置でしょうか。
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そうなると最後部に人が集結。既に重連のDD51は切り離されていたけど、スハネフ14周りは大撮影会となる。
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簡リクシートで固まっていた体を伸ばしに、自分は改札外へ。初となる深夜の函館駅。日中の賑わいが嘘のように静まり返っている。しかし深夜の函館駅にこの時間立ち入れることももう無いでしょう。
喧騒を避け、ED79連結は見届けずに静かな車内に戻り再び仮眠。その後「はまなす」は函館を定刻発車。
うたた寝したまま青函トンネルへ。客車独特の「コオーー」という音を聞きながら夢の中を行ったり来たり。
やがて青函トンネルを抜けると外が明るくなっている。1月・2月に乗った時は真っ暗だったけど、夜行列車は季節の進行を感じ取れる。
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5時52分、蟹田に運転停車。早くも青森まであと30分弱。
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蟹田を出ると、津軽海峡から朝日が差し込んできた。
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目が覚めると雄大な日の出。この非日常を感じさせてくれる朝が夜行列車の醍醐味。
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しかし「はまなす」からこの光景が見れるのはこれで最後。涙腺緩みっぱなし。
ここからは沿線に多くの撮り鉄さんの姿。運転士さんも撮り鉄さんを見かけると「ピイーッ」とホイッスルを鳴らして応える。
6時8分、「ハイケンスのセレナーデ」に続き終着放送。「ハイケンス」を聞くのもこれが最後になるでしょう。
そしていつもの放送に続き、車掌さんの挨拶が流れる。
『皆様、本日は札幌-青森間を走行する急行「はまなす」ラストランです。皆様に愛され続けた急行「はまなす」についてご案内させて頂きます。
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急行「はまなす」は昭和63年3月19日、青函トンネル開業と共に、快速「海峡号」・特急「はつかり号」・寝台特急「北斗星号」・寝台特急「日本海号」と運転を開始した列車です。平成14年度の「スーパー白鳥号」運転に伴う快速「海峡号」・特急「はつかり号」の運転終了、さらには昨年で運転を終了しました寝台特急「北斗星号」「トワイライトエクスプレス号」などと共に、夢と希望を乗せて走り続けてまいりました。
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お客様にも社員にも親しまれ、そして数々のドラマを演出してまいりましたが、3月26日の北海道新幹線開業に伴い、あと7分程でその役目を終えようとしております。ずっと走り続けると熱望されていた急行「はまなす号」が本日で最後だと思うと、とてもさみしい想いでいっぱいです。私は約1年半程乗務してまいりましたが、様々なお客様と出会うことができ、また多くのことを学ばせてもらった、短い間ではありましたが私にとってもとても影響力の大きい列車でした。本日をもちまして上りの急行「はまなす」は最終運行となりますが、これからもお客様の心の中でいつまでも走り続けることを心より願っております。
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本日ご乗車の皆様、またこれまで「はまなす」にご乗車頂いた皆様、急行「はまなす」を愛し応援して下さった皆様へ、JR北海道社員を代表してお礼申し上げます。皆様、これまで急行「はまなす号」を愛しラストランにご乗車下さいまして誠にありがとうございました。今後ともJR北海道、そして開業する北海道新幹線のご愛顧をよろしくお願い致します。
どなた様もお忘れ物・落し物、また急行「はまなす号」の思い出を車内にお忘れになりませんよう、お気を付けてお降り下さい。本日は上り急行「はまなす」最終運行にご利用頂きましてありがとうございました。』
本当に、一時代の終わりを感じてしまう。『「はまなす」の思い出を車内にお忘れになりませんよう…』って、ちょっと印象に残るフレーズ。
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定刻6時19分、「はまなす」は多くのカメラマンが待ち構える青森に到着。
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上りラストラン終了。いつものことながら、あっと言う間だった。
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ED79付近はやっぱりこんな感じ。よく見えないけど、ED79が2両付いている。重連だったのか。理由はわからないけど、DD51も重連だったし。もしかしてJR北海道のファンサービス?
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ED79の重連初めて見た。ED79は函館所属のはずなので、今日の下りラストランも重連で函館に帰ることになるでしょう。
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今まで幾度となく眺めてきた青い客車もこれで見納め。
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今日の下りラストランも無事に走り終えてほしい。
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ラストランを過ごさせてもらった8号車の前で回送を待つ。
そして6時41分、「はまなす」回送。
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さようなら「はまなす」。
しかし今日はこれで終わらない。もう一つのラストラン「白鳥」。
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新青森に移動して「白鳥93号」を待つ。
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2号車自由席に乗車。これから最後の485系「白鳥」で函館まで往復。最初からこのつもりだったので、蟹田-新青森の往復乗車券を先に購入しておいた。
再び青函トンネルをくぐり抜け北海道へ。
函館にはDD51重連が停車中。下り「はまなす」ラストラン運用?
ダイヤ改正で増発の「スーパー北斗」に運用されると思われるキハ261系が見られる。そして緑の789系、もう函館で見ることは無くなりそう。
10時26分、終点函館到着。
キハ183系「北斗」と485系「白鳥」の並びも今日で最後。
改札を出て「鰊みがき弁当」を買いに行く。みかどさんの場所が変わってて、一瞬「無い」と焦った。
そのまま折り返しの「白鳥22号」に乗車。
指定席の6号車へ。いよいよ最後となる485系乗車。
今日夜の「白鳥96号」で485系定期運用も終焉となる。残念ながらその時間まではいれないので、自分は「白鳥22号」で最後の485系を堪能する。
接続となる「北斗4号」が到着して11時19分、「白鳥22号」函館を発車。車内は満席。
特急列車から函館湾を眺めるのも最後。
木古内からは多くの乗客あり。行きの「白鳥93号」でも蟹田から大勢乗り込んで来たし、どうやら木古内-蟹田特例利用の「18きっぱー」のよう。18きっぷで青函在来線乗り納めしている人が多そう。
「北海道全線フリーきっぷ」も今日で最終日。道央・道東・道北への多客期使用OKフリーキップはこれで無くなる。自分の北海道鉄道旅もそろそろ終焉の予感。今後はフェリーか。
木古内を出ると列車は猛スピードで青函トンネルへ。130km/h?485系のモーター音が最高に心地いい。
青函トンネル内でトイレに行くと、デッキで聞くモーター音は客室よりもド迫力。最高のサウンド。しばらくデッキに留まって音を耳に焼き付ける。もうこのモーター音をこのスピードで聞ける事も無いでしょう。
列車は青函トンネルを出て蟹田へ。
撮影名所、蟹田お立ち台?今朝の「はまなす」通過時はすごい人の数だった。
やがて終着放送が流れ、車掌さんの挨拶。『「白鳥号」の思い出を車内にお忘れになりませんよう』。「はまなす」で聞いた放送とほぼ同じ内容だった。
13時27分、終点新青森到着。
青函トンネル開業当初から続いた自分の津軽海峡線乗車はついに終焉。
下りは北海道へ渡るワクワク感、上りは北海道を離れる寂しさを感じながら、色々な列車で通ってきた津軽海峡線。28年の歴史もいよいよこれで閉幕。また涙腺が緩む。
13時35分、「白鳥22号」回送。
さようなら「白鳥」。さようなら「津軽海峡線」。