ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き、琉球諸島を巡る基地・戦争への道を問いかけ、自然を語る。●無断転載、お断り。
 

渡具知武豊名護市長の変更承認申請書に対する「意見書」を巡る混乱について

2020年12月18日 | 名護市政
 渡具知武豊名護市長は、沖縄防衛局が沖縄県に出した「埋立地用途変更・設計概要変更承認申請書に対して、県が投げた市長意見書について、12月議会に追加議案として「意見書案」を出してきた。これが驚くべきものだった。本件は、12月16日の名護市議会本会議にかけられた。市長の意見書はたった3行。要するに辺野古川河口の造成用地(作業ヤード)の取り下げに付き「問題ない」、としたのだ
 こうした「意見書案」は、確かに形式論で言えばありうることだ。公有水面埋立法第13条の二に第3条②項にある市長の意見は「埋立地の用途の変更に関し」と限定されているからだ。しかし本件はそもそも辺野古川河口部を造成用地に使わなくなったのは、本体部分の多くが軟弱地盤であり、ここの地盤改良工事を遣らざるを得なくなったからだ。だからこそ、国は勝手に辺野古側から工事を始めてしまったのだ。結果、辺野古川河口部は造成用地として用なしになったのだ。
 県は、このことを百も承知で、名護市長に意見を求めているのだ。だとすれば、名護市も用途変更の問題を遡り、本件の肝である大浦湾側の問題に触れないわけにいかないはずだ。ここをスルーしているこの意見書では、名護市民の安全は守れない。それどころか責任放棄と言わざるをえないだろう。曰く、活断層、曰く、不同沈下。大浦湾側への高波や浸水なども予想される。このまま限りなく不確実な形で基地建設が強行されていけば、飛行場としては致命的な事故の可能性を高めかねないのだ。
 ここは熟慮して、意見書を出し直すのが正論ではないのか。昨日の市議会では決まらず、21日に審議が持ち越された。
 昨日の審議では、予想に反することが起きたのだ。自民会派の与党「礎之会」の宮城安秀市議(地元辺野古区)がこう語っている。「野党の主張も理解できる。Ⅰ日で採決するのではなく、しっかり審議する時間を設けて理解してもらった上で採決した方がいい」と。彼は地元容認派の市議だが、建設現場やキャンプシュワブ演習場を目の前に見る場所に居を構えている。国による地元への保障も進んでいない。だから、「このままいくのかよ」との懸念すら抱かざるをえないのではないか。
 21日まで野党議員は一丸となって、用途変更と設計概要の変更が名護市民にもたらしかねない問題を公にし、将来の名護市のあり方を考えるべきだろう。この問題は、与党側の責任でもある。一時の金だけで、名護市民の命の営みを遮ることがあってはならないだろう。真摯な審議が行われることを期待したい。


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