読んでいただきたい本である。それだけの価値がある。 エンド・オブ・ライフ 佐々涼子著 集英社インターナショナル刊 2020年2月初版 1700円。京都の訪問医療の現場を通して 死にゆく人 そして残される人たちを克明に追ったノンフィクションである。氏の著作は エンジェルフライト国際霊柩送還士 集英社刊 2014年初版 (異境の地で亡くなった人は一体どうなるのか―。国境を越えて遺体を故国へ送り届ける仕事が存在する。どんな姿でもいいから一目だけでも最後に会いたいと願う遺族に寄り添い、一刻も早く綺麗な遺体を送り届けたいと奔走する“国際霊柩送還士”。彼らを追い、愛する人を亡くすことの悲しみや、死のあり方を真正面から見つめる異色の感動作。第10回開高健ノンフィクション賞受賞作。 amazonから転載)を読んだので次作を期待していた・・というと不謹慎ではあるが 人の死と残された人たちとの関係を正面から見つめて書かれたものだったので 著者には期待していた。まあ もっとも あたしがこれを読んだのは自分が死に直面した後の事だが。これは既にハードカバーも1円からあるから こちらを先に読むもよし 本書が先でもいいと思う。言わんとしていることは同じだ。亡くなったあとの残された人たちか 亡くなる前の本人と残される者たちか・・の違いだけ。ただ本作は死にゆく人たちの本音がきれいごとではなく本人の言葉で記されているので それだけ内容は濃くそして重い。本書出たのは知ってたんだが まあまず図書館・・と思ったら待ちは2人 あたしの後一人待ってるので借りれるのは2週間だが 昨夜一気に読んでしまった。誰もが避けられない死 それも老衰で亡くなるならまだ救いもあろう。長い時間をかけて死と向き合うことで色々整理がつくし痴呆にでもなれば 本人も残される人たちもここまで苦しまないからだ。本書では突然に宣告される死にいかに向き合い いかにQOLを高め そしてどう受け入れ 残される周りの人たちがどう接するかかが克明に記されている。久々の良書である・・というか是非手に取っていただきたい本である。同時期にカケラ 湊かなえ著 集英社刊 2020年初版も借りようと予約入れたら72人待ちだったが こちらはあたしも入れてたった2人である。本当に読むべきはこちらなのになぁ・・と思うとなんかやりきれない。個人的な話にはなるが可愛がってくれたほぼ二人目の母みたいな存在だった伯母を亡くして 火葬した後お骨を拾った無常さを今も忘れていない。そしてあたしの両親も嫁はんの母親(父親は既に鬼籍 こちらも骨あげした)が高齢なのだが健康なので 自然な形で終われるだろうとすら思う。対してあたしは16年の1月に急性大動脈乖離スタンフォードAで生死の境を彷徨ったので余計死に関しては敏感だ。大動脈乖離というのは血管というのは3層からできていて その内側の内膜が何かの原因で穴が開き そこから高圧の動脈血が入り込み内膜をはがして動脈を詰まらせて死に至る病気だ。あたしはたまたま心臓血管外科の優秀な病院に運んでもらったので11時間の手術で助かったわけだが・・ あたしの場合は肺と脳にいく動脈が詰まってそこを人工血管2本に置き換える手術で助かったわけだが 発症した人の7割は手術前に亡くなり 成功しても助かる確率は半々 助かっても腎臓がやられて人工透析になったり 糖尿を併発して足が腐って切断とか怖い話はいくらでもある。五体満足で生還できるのはほぼ一桁。あたしもそういうところから生還してきて(脳細胞の3割ぐらいは持って行かれた感が強いが) 死について これまでの人生について色々思うところがあるので 本書は他の人はどう思って残された時間を生きていくのかは大いに関心があったところである。レビューにもあったが 本書にも引用されていうキューブラ・ロスの本と併せて読むとよいように思う。まあ一度三途の川ツアーに行って引き返してきた人間の戯言かも知れんし 誰にも漏れなく訪れる死からなるべく目を背けたい気持ちは経験者として痛いほどわかるのだが どう終わるか?ということは そのれまでの一日一日をどう感謝して充実して生きるか そして最後が来た時に ああいい人生だった・・と思えるかどうかがポイントだろう。残される人もいずれは後から来るのだけれど 残される人たちのためにも充実してその日を生きる覚悟がいるのだと思う。 ちなみにあたしの人工血管置換手術は成功して見た目ほぼ常人と変わらないところまで回復してはいるのだが 所詮人工物が365日高い圧力を受けながら作動してるわけであたしの命はビニールホースだのみなのか・・と思うと恐ろしいので訊いてみたら寿命が尽きるまでは大丈夫ですよ・・と言われたが 何せ繋いであるところから漏れたらすぐに彼岸の人である。じわじわ死に向かってるわけではないが 突然訪れる可能性は極めて高いので本書 身近な話だ。著者の母親が難病で亡くなったというのは本書で初めて知ったわけだが だからこう真正面から死と向き合える本が書けるのだな・・と納得したのである。死とは無縁と思われる多くの人にぜひ手に取って読んでいただきたい本だ。あたしとしては本書は今年のベストワンだと思う。キューブラー・ロスの受容の五段階はすっ飛ばして死の淵までいったのであんまり言えないんだが。読んで欲しい‥じゃなくて読め!だなw 決して損はない。で 今あたしにできること・・は毎日を感謝しながら充実して生きること 嫁はんを愛すること もう一つの病気であるメンタル面のサイトを運営してるので 少しでも誰かの役に立てればいいかな・・と思うことくらいである。京都移住計画も最後まで充実して生きるための一つである。まあ 明日突然終わりが来てもそれなりにやりきった感はあるのだけれど やはり最後は京都の土に還って眠りたいのだ。あたしは死ぬために京都に帰るのである。
goo blog お知らせ
goo blog おすすめ
カレンダー
最新記事
最新コメント
- ひなっち/4月1日
- Unknown/プログラミング教育はいらない GAFAで求められる力とは?
- 時代遅れ/プログラミング教育はいらない GAFAで求められる力とは?
- omachi/やっちまった
- かもめです。/たまには
- かもめ/もう疲れました
- 詩音/友人宅は
- たお/最近は
- むらさきまる/これで
- メンチャ/最近は