評価したらいいのかわからない本。13億人のトイレ 下から見た経済大国インド 佐藤大介著 角川新書刊 2020年8月初版。昭和の世代にとっては インドと言えば人生観が変わる・・と言われた国で 欧米のヒッピーやバックパッカー もちろん日本人もだが 精神世界の旅みたいな形で訪れる場所であった。がそれから数十年。今や13億の人口(日本の10倍)を数える経済大国で 核武装なんかもしてるので 本書を読んでも どうもイメージが結びつかない。日本人て お隣韓国や中国ですら 一部を見ているに過ぎず とても全体を知ってるわけでは無くTVで見る経済発展した都市部や 歴史的遺物を知ってるだけだ。どれだけ経済発展して先進国に近づいたというイメージがあるにせよ 我々の知らない地方との格差は大きいわけで それは日本の 例えば東京と地方の集落との差よりもはるかに大きいので 益々理解できない。インドの場合は地理的にも遠いこともあり 日本人が理解してるのはニューデリーやムンバイ(旧ボンベイ)あたりと カレーの国と言ったイメージしかないわけで 13億の国民がどう暮らしているかまでは全く知らないのが現実だ。本書はトイレ・・という日本ではあって当然の切り口から インドの一部を読み解く あくまでも全部は読めないけど一部でも理解できるという点では優れた本だと思う。日本ではほぼ辺境にしか無い汲み取りトイレですらなく 野外で用を足す割合が6割とか言われると えっ?という感じだろう。まあ そこを切り口として インドの階層社会 カーストや社会の構造に切り込んでいくあたりは興味深いのだが あまりにも混沌としすぎて2回読んだが ちゃんと理解できていない。聖なる河ガンジスで沐浴をする映像を見た人は多いと思うが ガンジスには工業廃水から生活廃水 さらにはトイレの廃水までが未処理で流れ込んでいる・・というのを知った時にはぞっとしたのだ。がヒンズー教徒はあの河が穢れが浄化される・・と信じてるわけで 不潔恐怖のあたしからすれば 身の毛もよだつ代物だ。さらにはそのガンジスから取水して それを簡易に浄水して水道水として配水してるらしく インド人てなんで平気なんだ?とすら思う。まあ先にも書いたが切り口はトイレだが 著者の言いたいのは ヒンズー教の言うカーストについてであろう。日本では生まれながらに貧富の差というのはあるけれどカーストというか階層差別というのはほぼない。日本国憲法で全ての国民は法の下に平等で出自で差別されないとうたっているからである。まあ実際には 問題とかあるが それでもインドと比べればまだ軽い(決していいわけではないがまだマシと言う意味で)。インドではヒンズー教が国の中心だから 憲法で差別は禁止しているものの カーストそのものを否定していない・・という事実を知って驚いた。あのガンジーですら カーストそのものを否定してない・・というのは驚き以外の何物でもない。本書は読み手によっていろんな読み方ができるわけで ガンジスの流れのように混沌としている。あたしの読解力が足らないみたいなので 本書はこう・・と言えないのが悔しいのだが それくらい混沌とした内容だ。面白い本では無いけれど 一読されることを強くお薦めしたい。良書である。
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