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ウルトラマン スカイドン

2007-01-28 02:51:33 | ウルトラシリーズ
ウルトラマン 第34話
空からの贈り物/メガトン怪獣スカイドン登場

久しぶりにオンデマンドTVでウルトラマンを見る。
ある冬の晩に、空から突然、チョー重い怪獣スカイドンが降ってくるという話。

この怪獣、ひたすら重くて、火を吹いては眠っているばかりだが
重すぎてウルトラマンすら歯が立たず、一時撤退してしまう・・・

で、この回が面白いのは、怪獣がしょうもない分
サービスカットのテンコ盛りで話を成り立たせているところか。

冒頭、雨の赤坂に出たキャップにジェットビートルで傘を届けたり
井出隊員の目の前のビルで身投げがあったり
夜中の警報でフジ隊員がパジャマ姿で出てきたり
怪獣を退治したとよろこんで、基地の中でビールで乾杯したり
航空自衛隊のF86が実写で、しかもブルーインパルス機がチラッと見えたり
皆でカレーを食べているところに怪獣が舞い戻ったため
早田隊員がベータカプセルとスプーンを間違えて変身しそこなったり
(有名なシーンですね)
〆は公園でお茶をたてるフジ隊員の和服姿。

ウルトラマンの出番が少ない分、科特隊が奮闘するが
四回も作戦に失敗するし・・・

なんだか訳のわからない展開ながらも怪獣を追っ払って、
最後のフジ隊員のセリフが
「もう空から変なものが降って欲しくないわ。だって春なんですもの」・・・
何か、大らかでいいなあ。

こういう天真爛漫というか、思考は、どこか落語に似ている。
怪獣だの何だの、訳のわからないものは
「冬なんだからしょうがないよ」と半分あきらめながらも
歯を食いしばって耐え、春が来て暖かくなると
それだけで「いいことがあるぞ」と喜ぶ。
人知を超えたものは、笑いとペーソスで乗り越えていくという
庶民的な生活感覚というか、処世術なのだと思う。

その根底には、未来に希望を感じ、人を信じて生きるという
ささやかながらも前向きで、愛情に満ちた暖かさがある。
「庶民」という言葉の裏には、それを卑下しながらも愛情を持って人認め
したたかに生きる快活なエネルギーがあった。
このエネルギーがニッポンを支えてきたのではないのか。
ウルトラマンこそ、そのエネルギーの象徴だったのだと思う。

最近「庶民」という言葉に替わって言われるようになった
上流・下流だの新下層階級だのワーキングプアだのという殺伐とした言葉には
愛情のカケラすらなく、互いの存在を認める余裕もない。

ウルトラマンの時代から40年が経ち、毎日流れるニュースでは
耳を覆う、人心を逸したかと思わせるものばかりが目立っている。
人間の心に怪獣を育てたのは、「庶民」という言葉を死後にしてしまう
想像力と愛情の欠如に他ならない。

モノがあふれ、情報はいつでも即座に手に入るようになった。
40年前はSFのおとぎ噺だったことが、目の前で実現している。
その代償として、未来への希望という想像力を失ったといわれても
とてもつりあっているとは思えない。

あのウルトラマンを生み出した大らかな想像力を
もう一度、取り戻すべきなのだ。


・・・と、おじさんは夜空に向かってこぶしを突き上げるのだった。
(遅いんだから、もう寝ろよ!)



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