ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『おみおくりの作法』を観て

2016年01月09日 | 2010年代映画(外国)
イギリス映画、『おみおくりの作法』(ウベルト・パゾリーニ監督、2013年)を観た。

ロンドン、ケニントン地区の公務員ジョン・メイは、民生係として孤独死した人の葬儀を執り行っている。
几帳面な彼は、死者の家族を見つける努力を怠らず、その人のために葬礼の音楽を選び、弔辞を書く。
ある日の朝、ビリー・ストークという年配の遺体が、ジョンの真向いのアパートで発見される。
ジョンは、近くの住まいにいながらビリーのことも知らず、その孤独死にショックを受ける。

その日の午後、ジョンは、仕事に時間をかけすぎるという理由で、解雇を言い渡される。
最後の案件となったビリーのために、彼はこれまで以上に情熱を傾ける。
ビリーの部屋にあった古いアルバムから、笑顔の少女の写真を見つけた彼は、ビリーの家族を求めて列車に乗る・・・・
(Movie Walker のあらすじを簡略化)

なぜか、アキ・カウリスマキの作品を観ているような錯覚に襲われ、親しみを感じる。

淡々と流れる物語りに、実直なジョンの姿が浮き上がってくる。
その彼を、突然襲うリストラの通告。
それでも、死んだ人のことを思って行動する、その行為。
自分を捨てて他人のために。

だが、独り身のジョンは孤独と絶望の淵まで行きそうになる。
そこに現れた幸せの兆候。
人生はまんざら捨てたものじゃない。
しかし、人の運命は気まま。皮肉な人生。

そんな皮肉な運命でも、誠実に生きて来たなら、見守ってくれる沢山の祝福がある。

じんわりとした感動がふつふつと甦ってくる。
とってもいい映画を観たなと嬉しくなった。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする