ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『ポネット』を観て

2017年08月13日 | 1990年代映画(外国)
たまには、悲しくても心温まるのをと、『ポネット』(ジャック・ドワイヨン監督、1996年)を借りてきた。

プロヴァンスの田舎の村、秋。
交通事故で突然ママを失った4歳の少女ポネットは、パパからそのことを聞かされても、死がまだよくわからないから、泣くこともできない。
とまどうポネットは、人形のヨヨットと一緒に、ママの帰りを待つことにする。
パパはポネットをおばさんに預け、仕事でリヨンに向かった。
年上の従姉妹デルフィーヌとマチアスがどんなに遊ぼうと誘っても、ポネットは庭で、部屋で、一人でママを待ち続ける・・・
(Movie Walkerより一部抜粋)

出だしは良かった。
小さな女の子が、それこそ突然いなくなった母の、いや応なく直面する戸惑いの表情に目頭が熱くなる。
ポネットが従姉弟の家に預けられ、小さいながらもけなげに生きる姿に感動する。
と思いきや、観ていくとどうも様子が違う。

母が死に父も出張でいない、こんな愛くるしいポネットが不幸を背負うって、可哀想でしょう。
母の死を納得できなくても、こんな小さな子が頑張っていますよ。
と、いうような見え透いた作り手の意図が丸見えで、だんだんウンザリしてくる。

幼い子を使って不幸な話をテーマにすれば、ある程度ヒットはする、と考えているいやらしさが丸わかりの作品である。
勿論、それに応えて、感動したという人は相当いるに違いない。
なにしろ、ヴェネチア国際映画祭でこのポネット役の子に、最年少で主演女優賞を受賞させたぐらいだから。

私がこのように否定的な強がりを言っても、正直なところ、正当な評価はできない。
なぜなら、あまりの作り手の意図が丸見えで、途中からDVDを早送りで見たから。

そもそも小さな子に、神様のことを真剣に考えさせる?ということの違和感。
それは、作り手の考えでしょうが。
キリスト、神様のことを子供の視点で考えさせるなら『汚れなき悪戯』(ラディスラオ・バホダ監督、1955年)でも参考にしたらと、言いたくなる。

いずれにしてもジャック・ドワイヨン監督の作品は、以前に『ピストルと少年』(1990年)を観ているが、よく憶えていない。
今回のことがあって、この監督の名はしっかりと憶えておこうと思う、以後、絶対に観ないために。
コメント
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