ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『王手飛車取り』を観て

2018年07月18日 | 1950年代映画(外国)
『王手飛車取り』(ジャック・リヴェット監督、1956年)を観る。

ある月曜日、クレールは「妹に会いに行く」と夫ジャンに言って、実は愛人のクロードのアパートに行く。
クロードはクレールに毛皮のコートをプレゼントするが、クレールとしては、それをそのまま家に持ち帰る訳にもいかない。
そこで、クロードに駅の手荷物預り所に預けさせ、預り証はタクシーの中で拾ったことにする。

家に帰ったクレールは荷物にこだわって、翌日夫にそれを取りに行くことを約束させる。
そして次の日、夫が引き取って来たカバンを開けてみると、中には安物のウサギの毛皮が入っていた。

その夜、ジャン夫婦の家ではパーティが開かれ、現われたクレールの妹ソランジュが着てきたのは例のコートだった・・・

邦題は将棋用語だが、原題からするとチェスの最短負けのこと。
クレールからすると、クロードからのプレゼントに関してうまく夫を騙すつもりでいたが、まんまと夫にしてやられ、それも妹と出来てしまっていたという内容。

この作品は、クロード・シャブロルが妻アニエス・ヴァルダの祖母の遺産を相続して出資し、かつ『カイエ・デュ・シネマ』誌の同人たちも出資しての、彼ら若手批評家による商業映画第一作目の短編映画(30分弱)であり、ここからヌーヴェル・ヴァーグが始まっていく。
だから、製作にはクロード・シャブロルもいるし、脚本・台詞にはリヴェット、シャブロルのほかフランソワ・トリュフォーもいて、
それ以降のヌーヴェル・ヴァーグにとっての、貴重なとても興味深い内容となっている。
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