『哀れなるものたち』(ヨルゴス・ランティモス監督、2023年)を観てきた。
不幸な若い女性ベラは自ら命を絶つが、風変わりな天才外科医ゴッドウィン・バクスターによって自らの胎児の脳を移植され、奇跡的に蘇生する。
「世界を自分の目で見たい」という強い欲望にかられた彼女は、放蕩者の弁護士ダンカンに誘われて大陸横断の旅に出る。
大人の体を持ちながら新生児の目線で世界を見つめるベラは時代の偏見から解放され、平等や自由を知り、驚くべき成長を遂げていく・・・
(映画.comより)
奇想天外なお話。
だって、河に投身自殺した女性ベラを「フランケンシュタイン」と同じようにゴッド(ゴッドウィン)は蘇生させたんだから。
その方法は、死んでいるベラの脳と生きていた自分の胎児の脳を入れ替えるやり方。
ゴッドの実験研究は、弟子マックスに記録させてベラのその後の成長過程を調べること。
と言うわけで映画の始まりは、身体は大人でも行動は幼児のベラのおこない。
そんなベラだが、徐々に物事を覚え、家の中だけの体験だけでは飽き足らず外界を知りたいと思うようになっていく。
その外界の世界へ、と話は進んでいく。
それと同時に困ったことに性の快感も覚えて突き進むこと。
だからこの作品はエロ・グロで成り立っている。
そこのところが、上品な人には抵抗感がある内容かなとも思う。
私自身は面白かったが、そこまでやるの、という気は確かにしたりもした。
この監督、ランティモスは以前に『ロブスター』(2015年)を観て、変わった作品を作るなぁとは感じたが、今回は映像マジックも加味されてそれに輪をかけた内容だった。
それを表現すると、常識を外されずっこけて深い穴に落ち込んでしまったと錯覚するような感じだった。
だから、傑作だとか駄作だとかの基準じゃなくって、映画は想像からはみ出す作品があるからとっても面白いなと感じた。