処暑(8月23日)は、二十四節気の第14番目の節気である。「処」は終わる、身を隠すという意味であり、「処暑」は長く続いた暑い日々がようやく終息することを告げている。この時期、日中の気温はなお高い一方、朝夕は涼しく爽やかになって、昼夜の温度差が大きくなる。気候は夏の熱から秋の凉へと移り行き、自然界の陽気が衰えるとともに陰気が盛んになってゆき、陰陽の大転換を迎える。「春捂秋凍、不生雑病」は、春の節気においても触れた、春には厚着をして秋には薄着にするという健康法である。暖かくなったからといって油断して薄着にならず、また寒くなったからと慌てて厚着になるのを避けることによって、様々な病気の発症を予防できるという意味である。この時期の気温の日較差や朝夕の気温低下に十分に注意するとともに、凉気が深まるに合わせて少しづつ衣服を増やしてゆくことにより、来る秋から冬にかけての寒冷気候に対応できる身体づくりを心掛けてゆく必要がある。
秋立ちて 幾日もあらねば この寝ぬる 朝明の風は 手本寒しも 万葉集、巻第八 安貴王