飲酒二十首 其五 陶淵明
結盧在人境 盧を結んで人境に在り
而無車馬喧 而も車馬の喧(かまびす)しき無し
問君何能爾 君に問う 何ぞ能く爾(しか)ると
心遠地自偏 心遠ければ地自から偏なり
采菊東籬下 菊を采る東籬の下
悠然見南山 悠然として南山を見る
山氣日夕佳 山気 日夕に佳く
飛鳥相與還 飛鳥 相与(とも)に還る
此中有真意 此の中に真意あり
欲辨已忘言 弁ぜんと欲して已に言を忘る
人里に庵を結んでいるが車馬の音に乱されることはない。何故ゆえにとお尋ねか。心が俗世にあらねば自ずと此処が遠地になる。東の垣で菊を手折り、悠然と南山(廬山)を眺めて一体となる。山容は夕方が素晴らしく、連れ飛ぶ鳥は巣に還りゆく。この中にこそ大自然の意趣がある。意を得て言を忘る。語ろうとするも言葉などは忘れたよ。

参考資料:
松枝茂夫, 和田武司:「陶淵明全集 上」, 岩波書店, 1990
川合康三編訳:「中国名詩選 上」, 岩波書店, 2015
陶潜著, 龔斌校箋:中国古典文学叢書「陶淵明集校箋」, 上海古籍出版, 2013
金谷治訳注:「荘子」第四冊, 岩波書店, 2012
結盧在人境 盧を結んで人境に在り
而無車馬喧 而も車馬の喧(かまびす)しき無し
問君何能爾 君に問う 何ぞ能く爾(しか)ると
心遠地自偏 心遠ければ地自から偏なり
采菊東籬下 菊を采る東籬の下
悠然見南山 悠然として南山を見る
山氣日夕佳 山気 日夕に佳く
飛鳥相與還 飛鳥 相与(とも)に還る
此中有真意 此の中に真意あり
欲辨已忘言 弁ぜんと欲して已に言を忘る
人里に庵を結んでいるが車馬の音に乱されることはない。何故ゆえにとお尋ねか。心が俗世にあらねば自ずと此処が遠地になる。東の垣で菊を手折り、悠然と南山(廬山)を眺めて一体となる。山容は夕方が素晴らしく、連れ飛ぶ鳥は巣に還りゆく。この中にこそ大自然の意趣がある。意を得て言を忘る。語ろうとするも言葉などは忘れたよ。

参考資料:
松枝茂夫, 和田武司:「陶淵明全集 上」, 岩波書店, 1990
川合康三編訳:「中国名詩選 上」, 岩波書店, 2015
陶潜著, 龔斌校箋:中国古典文学叢書「陶淵明集校箋」, 上海古籍出版, 2013
金谷治訳注:「荘子」第四冊, 岩波書店, 2012