かつての夏 2021-07-23 | 日記・エッセイ 小学生の頃、ほとんど毎夏、津市海岸通の濱荻旅館に滞在した。海岸の堤防に隣接して各部屋が並び、海風がそよぐ居室の縁側に寝転んでいると、堤防の向こうから潮騒が聞こえてきた。早朝の渚で打ち上げられた貝殻を拾い、夜になれば堤防に続く道を灯台まで歩いて行った。さるブログに近年、廃屋の佇まいを見せる濱荻旅館が、その数年後には全てが取り払われた更地の写真が掲げられていた。 形あるものは何時の日か姿を消すのが習いである。