「下がって――」
と、又三郎は言うと、間髪を入れずまだら色の騎士に鋼鉄の棒を突き入れた。
面繋の下にある暗い空間を見せた騎士は、又三郎の一撃を受けながら、みるみるうちに鎧の色を青騎士に変えていった。
バラバラと崩れ落ちていった青騎士の残骸を見ていた又三郎は、ジロー達に言った。
「この青騎士は、前にも出てきたんですか?」
ジロー達はそろって顔を上げると、又三郎を見て、大きくうなずいた。
「下がって――」
と、又三郎は言うと、間髪を入れずまだら色の騎士に鋼鉄の棒を突き入れた。
面繋の下にある暗い空間を見せた騎士は、又三郎の一撃を受けながら、みるみるうちに鎧の色を青騎士に変えていった。
バラバラと崩れ落ちていった青騎士の残骸を見ていた又三郎は、ジロー達に言った。
「この青騎士は、前にも出てきたんですか?」
ジロー達はそろって顔を上げると、又三郎を見て、大きくうなずいた。
立ちあがった又三郎の手には、片方の先が尖った鉄の棒が握られていた。又三郎の背丈よりも優に長い鉄棒は、又三郎が軽々と持っている見た目よりも重く、武器というより、無骨な工具のようだった。
五体の青騎士が横になっているただ中へ、又三郎は地面を蹴って向かって行った。
又三郎が走り出すと、ジローとグレイも、後にしたがって走り出した。
――カツン。
と、一番に青騎士に一撃を加えたのは、アオだった。
胸の黄色い羽毛が、飛行機雲のような航跡を描き、咥えた木刀を青騎士の頭上から打ち下ろした。
だが、青騎士は倒れることなく、よろめいたものの兜をへこませただけで、手にした槍をアオに向かって突き入れた。
コツン――という音とともに、鎧の胴に木刀を打ちこまれた青騎士が、ガラガラと雪崩れのように崩れ落ちた。
「ありがとうございます」
と、崩れた青騎士の残骸をちらりと見た又三郎が、宙に止まって様子をうかがっているアオに言った。
――ガチン。
と、又三郎の鉄棒が、青騎士が槍を振るう暇も与えず、鎧の胸に突き入れられた。
青騎士は、胸に刺さった鉄棒をつかみ取ろうとする仕草こそ見せたものの、ガラガラと音を立て、足元に雪崩のように崩れ落ちた。
ジローとグレイは、向かって来た青騎士の槍を両手でつかみ受けると、それぞれ頭上高く持ち上げ、青騎士同士をぶつけ合わせるように放り投げた。
軽々と投げられた青騎士は、頭からぶつかり合い、ばらばらに壊れて地面に散らばり落ちた。
最後に残ったのは、赤い色の混じった青騎士だった。
足を止めようとしないまだらな色の騎士の前に、又三郎達が立ち塞がった。
「コイツは、沙織を狙っている騎士だ」と、ジローは言った。
「こんな色の青騎士は見たこともありませんし、話に聞いたこともありません」と、鋼鉄のドン突き棒を構えた又三郎は言った。
さっ、と身構えたジロー達の前で、まだらな色の騎士は、ふと足を止めた。
「――」と、意表を突かれたジロー達は、はっとして息を飲んだ。
まだらな色の騎士は、重そうな鉄の兜に手を掛けると、ゆっくりと面繋を開けていった。
又三郎を除き、ジローもグレイも、まだらな色の騎士が、はじめて出会った森の中で同じ仕草をしたことを覚えていた。