9 魔女を探しに
「なんなんだよ、おまえら」
と、マコトは舌打ちをしながら言った。
「――マコト?」と、ジローは驚いて言うと、グレイも「おかえり、真人」と、手を振って喜んだ。アオは、飛び上がって短く「キキッ――」と、甲高く鳴いたが、戻ってきたマコトの姿を見て、喜んでいるに違いなかった。
「マコト殿、でしたね」と、又三郎は持っていた鉄棒を背中に回すと、剣を構えていた兵士達にも剣を下ろさせた。
「ここは、城の城壁の外、だよな」と、マコトは城壁を見上げて言った。
「そのとおりです」と、又三郎はうなずいた。「死の砂漠から、こんなに早く戻ってこられるとは、思いもしませんでした。何事もなかったでしょうか」
「――」と、マコトはなにも言わなかったが、そばにやって来たジロー達を見ると、言った。「無事だったようだな、おまえら」
と、死の砂漠から戻ってきたマコトは、以前とは別人のように、すっかり性格が変わってしまったようだった。
「そっちこそ。大丈夫? だよな……」と、ジローは心配そうな顔で、マコトを見ながら言った。
「――おいおい。そんなにじろじろ見るんじゃねぇよ」と、マコトは、ばつが悪そうに言った。「それより、サオリの姿が見えないが、まさか死の砂漠に落ちたんじゃないだろうな」
と、グレイはうなずいて言った。
「大丈夫だよ。城の中でパフル大臣に見てもらっているから」
「ダイジン? まぁいい、わかった。で、おまえらはどうだ?」と、マコトは言った。「誰も、自分の記憶を取り戻しちゃいないだろうな」
「えっ? うん」と、グレイはうなずいた。「残念だけど、ぼくも十七号も、もちろんアオも、サオリだって、ほとんど自分のことを思い出せていないよ」
「それを聞いて安心したぜ」と、マコトは言った。
「で、あの人って、誰なの――」と、グレイは機械陀を見て言った。
「あちらの方は、どちら様ですか」と、又三郎は、背中に回した鉄棒をつかみ直しながら言った。
「おい、機械陀――」と、マコトは言うと、立ったままきょろきょろしている機械陀に言った。「紹介するよ。死の砂漠で助けてもらった、機械陀だ」
「はじめまして。私は、機械陀といいます」
と、機械陀は深々と頭を下げて言った。
「私は又三郎と言います。ねむり王様のお城で働いている者です」と、又三郎も深々と頭を下げて言った。「あなたは、見たところ機械のようですが、ご出身はどちらでしょうか」