「――悪いけどな、大臣」
と、なにか言いかけたジローを手で制して、マコトは言った。
「あんた達のいうよそ者のオレ達は、青騎士に切られようが切られまいが、どっちみち死の砂漠に落ちるか、どこか別の場所にある自分達の体が、分離して存在するオレ達が戻らないばかりに、命を落とすってのがわかったんだ。罪人でも病人でもあるまいし、城の中でおとなしくなんかしちゃいられないぜ」
「――」と、パフル大臣は困ったように口をつぐんだ。「じゃが、このまま外にいては危険だ。使命を果たすまで何度も現れる青騎士は、果てはこのお城ごと、君達を消し去ってしまうほど強くなるぞ」
「死の砂漠から戻ってきたから言うわけじゃないが、襲いかかってくる青騎士は、狙われた本人が戦わなければ、永遠に追いかけて来るんだ」と、マコトは言った。「黙っていたって、青騎士とは逆に力が衰えていくばかりさ。自分達をさらに鍛えて、やって来る青騎士を迎え撃たなければ、勝ち目なんてありゃしないんだ」
「では、なんとするつもりじゃ」と、パフル大臣は言った。
「おれ達は、扉を作った魔女を探しに行きます」
と、ジローが言うと、グレイは大きくうなずいた。アオも、わずかにうなずいたように見えた。
「この子はどうする」と、パフル大臣は、服の裾をしっかりとつかんで離さない、サオリを見ながら言った。「こんな小さな子が、青騎士と戦えるはずがなかろう。城に残って、我々の守護を受けていた方が賢明じゃ」
「――それは、できません」と、ジローは言った。
「どうしてじゃ」と、パフル大臣は首を傾げて言った。「なにか不便なことがあるなら、城の者に話せばいい。できるだけ希望に叶うようにするつもりじゃ」
「はっきり言うけどさ、大臣」
と、マコトは頭を掻き掻き言った。「今さっきも、まだたいして強くない青騎士が来て、このばかでかい城壁が壊されそうになってたじゃないか。しつこい青騎士から守護してくれるのはありがたいが、これ以上この城にいても、守ってはもらえないって、そう言いたいんだよ」
「――」と、パフル大臣は再び、困ったように口をつぐんだ。
「マコト殿。なにか、考えがあるんですか」と、又三郎は言った。