「今、言ったばかりだろ」と、マコトは言った。「おまえ達の記憶に鍵をかけさせてもらったんだよ」
「ぼく達の記憶を奪うなんて……」と、グレイは厳しい目でマコトを見た。「そんなこと、許さないからな」
――と、異変に気がついた又三郎は、マコト達の方を振り返った。城の兵士達も、武器に手を掛けたまま、どうしたものか、ザワザワと戸惑っていた。
「やめさせなければ」
と、又三郎が駆け出そうとすると、機械陀がそっと肩に手を乗せ、足を止めさせた。
「――」と、又三郎は機械陀を振り返った。
「考えがあってのことと思います」と、機械陀は言って、小さく首を振った。
「――させないぞ」と、グレイはマコトを捕まえようとした。
目で捉えられないほど早く動いたグレイだったが、光る環を再び手にしたマコトは、少しもあわてることなく、向かってくるグレイを待ち受けていた。
グレイは、額がぶつかりそうなほどマコトのそばに近寄った所から、ふわりと飛び上がって体を翻し、マコトの後ろに回りこんだ。
予想もできない動きに表情を曇らせたマコトだったが、グレイにまんまと捕まって抱え上げられたとたん、握っていた手の平を開き、電球のような物をピカリと瞬かせた。
「わっ――」
と、まぶしい光に目を眩ませたグレイは、捕まえたマコトを放し、両腕で顔を覆った。
「三丁上がり」と、マコトは言うと、にやりと笑みを浮かべた。
「なにを言って――」と、顔を上げたグレイの手首にも、光る環が掛かっていた。
「それは、なんですか?」と、様子をうかがっていた又三郎が、駆けつけてきて言った。
「これは、記憶を思い出せないように、鍵をかけてしまう道具さ」と、マコトは言った。「力づくになってしまったが、こうでもしなけりゃ、誰もせっかくの記憶に蓋をさせちゃくれないだろ」
「どこから持ってきた道具ですか?」と、又三郎は言うと、マコトはただ「ふふん」と、自慢げに胸を張って見せた。
「なんでこんなことをする」と、ジロー達は一箇所に集まって言った。
「ひどいじゃないか」
「キキッ――」と、ジローの肩に止まったアオは、いまにもマコトに打ちかかりそうな、激しい口調だった。
「いいさ。好きなだけ悪態をつけばいい」と、マコトは舌打ちをして言った。「オレがおまえ達にしてやれるのは、ここまでだ。青騎士は、必ずまたやって来る。その時は、自分を追ってきた青騎士と戦わなければならなくなる。その戦いに勝利しなければ、本当の自分は取り戻せない。失敗すれば、そこには死の砂漠が待っているだけだ」