くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

よもよも

2024-01-03 07:18:10 | Weblog

やれやれ。

新年の仕事も始まるって目前で

飛行場の事故ってば

えっ

て思わず声出ちゃった・・・。

速報見てみれば

地震被害のあった石川県に向かう予定だったっていうから、

二重に驚かされた。。

人ごとじゃない

帰り道気をつけなきゃな。。

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王様の扉(138)

2024-01-03 00:00:00 | 「王様の扉」

「でも、それっておかしいよね」と、グレイは言った。「みんなが見る未来って、ひとつじゃないの? みんながバラバラな未来を見てるんなら、それって実現しない未来なんじゃないのかな」

「――もう出て行って」

 と、カルンは顔を火照らせたまま、グレイをドアに追い立てた。
「この街の人達は、私が生まれるずっと前から、未来の成る木にできる実を採って生きてきたの。よそから来たあなたが言う疑問なんて、考えたこともないわ。未来を信じるか信じないかは、自分次第なんだから。他人が口を出すものじゃないのよ。力になれなくて、ごめんなさい。見つかるといいわね――」
 追い立てられるように外に出されたグレイの目の前で、勢いよくドアが閉められた。
 かちり、と重い閂の音が聞こえると、グレイはため息をつきながら振り返った。風の音しか聞こえない静まり返った街の光景が、痛々しく広がっていた。
 やはりこの街に、扉の魔女は来ていなかった。
 グレイは扉の魔女が住んでいる家に戻ろうと、腰に結わえられた糸を頼りに、やって来た扉を探した。
 ところが、どこまでたどっていっても、糸は延々と宙空の青い空の先に延び、どこに繋がっているのか、まるでわからなかった。
 それほど大きくはない街は、糸をたどって進むグレイが息を切らすまでもなく、あっという間に街の外に来てしまった。街の外は、遠く山々が壁のように聳え立つ砂漠が広がっていた。
 目に見えないほど細い糸は、砂漠の芥子色に溶けこみ、目を細めても見ることが難しくなっていた。
 グレイは腰のラジオを取り出し、チャンネルを合わせて放送を聞こうとしたが、どういうわけか、マコトが簡単にやっていたとおりに操作をしても、雑音しか聞くことができなかった。街の中で確認したときは、ちゃんと放送が聞こえていたはずなのに、グレイには、その原因がまったくわからなかった。
 ここはどこなのか。出入り口の扉はどこなのか。聞きたいことは多かったが、ラジオが使えないとなると、手助けは得られそうになかった。
 どうすればいいのか……。グレイが歯がゆい思いで唇を噛んでいると、清々とした水の匂いが漂ってきた。
「――」と、ぐるりを見回したが、人気のないさびれてしまった街と、乾いた風を運んでくる砂漠のほかは、なにもなかった。
 しかし、グレイの目が自分の足元にとまると、なにかを感じたのか、片膝を地面に突いたグレイは、素手で地面を掘り始めた。

「――やっぱり」

 と、わずかに掘った穴の底を見たグレイは、額の汗を拭いながらため息交じりに言った。

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王様の扉(137)

2024-01-03 00:00:00 | 「王様の扉」


「あきらめていたんだけど、驚いたわ――」

「――これって、未来の実?」と、話しの途中で、鉢植えに駆け寄ったカルンの後を追いかけて、グレイは言った。
「そうよ」と、カルンはうなずいた。「よその街から来たんなら、見たことがないのも当然だわ」
 大きめな鉢植えの木の下に、小さな金色に輝くリンゴのような実が落ちているのが見えた。カルンは、その小さな実に手を伸ばすと、愛おしそうにそっと拾い上げた。
「ここのところ、たいして水も上げられなかったのに」と、カルンは未来の実の頭にちょんと伸びた枝を摘まむと、グレイの目の前に差しだした。「ほら、これが未来の実よ」
 金色に輝く以外は、小さなリンゴのような形をした未来の実を、グレイは疑わしい目をして見ていた。

「――あっ」

 と、グレイが思わず声を上げると、カルンが摘まんだ未来の実を、口の中に放りこんだ。
「それ、食べても大丈夫なの……」
 むしゃむしゃと、何度も味わうように未来の実を噛むカルンは、グレイを見ながら頷いた。
「はぁ。とってもおいしかったわ」と、唇から溢れ出た果汁を手で拭いながら、カルンは言った。「なんとも言えない、素敵な未来だった――」
「――えっ」と、グレイは言った。「その実を食べると、未来が見えるの」
「――」と、カルンは首を振った。「食べてもいいし、見てるだけでもいいし、未来の実が教えてくれる未来は、人によって様々な形があるの。私の場合は、実を食べると、未来を感じるのよ」
「どんな、未来が見えたの――」と、グレイはしつこいほどカルンに聞いたが、カルンはグレイが聞く度にうっとりとした表情を浮かべるだけで、どんな未来を見たのか、なかなか言おうとしなかった。

「――私に見えたのは、賑やかな街の中で、うきうきしながらどこかに出かけている自分自身よ」

「――」と、グレイは言葉を飲みこんだ。カルンが見たという光景を、決して実現しない幻とも、間違いなく訪れる未来であるとも、判断することはできなかった。
「それって、近い将来なの、それとも、遠い時代のことなの」と、グレイはカルンの顔色をうかがいながら言った。
「あなただから言ってあげたんだけれど」と、カルンは急に不機嫌になって言った。「未来の実で見た未来は、他の人に言っちゃだめなのよ。――でしょ。未来のことがわかっちゃったら、みんなが我先にって、未来を独り占めしようとしちゃうもの」

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