やれやれ。
あんま幸先のよくない
年始だと思ったら、富良野墓スキー場でも
火事があったって・・・。
本州の方の災害ばかりかと思ったら、
自分のところの地方でも
なんじゃら災害につながるような
出来事があるって、なんかぞっとするわXXX
テレビの報道番組でも奥尻島の災害掘り下げてたけど、
調べたら2年後に阪神大震災があったんだよね。。
だからまだまだ、気が抜けないんだわ・・・。
やれやれ。
あんま幸先のよくない
年始だと思ったら、富良野墓スキー場でも
火事があったって・・・。
本州の方の災害ばかりかと思ったら、
自分のところの地方でも
なんじゃら災害につながるような
出来事があるって、なんかぞっとするわXXX
テレビの報道番組でも奥尻島の災害掘り下げてたけど、
調べたら2年後に阪神大震災があったんだよね。。
だからまだまだ、気が抜けないんだわ・・・。
飲みこまれたグレイは、地盤の奥底に埋まったまま、外からではまるで気配が感じられなかった。
カルンは、あわてて土砂の堆積した溝に駆け寄ると、グレイが地盤に飲みこまれた場所を探って、両手で土を掻き始めた。
ジャリジャリと、土が皮膚を削ぐのも構わず、カルンは夢中でグレイを探した。
「グレイ、どこなの、グレイ――」
どうしてなのか、流れ落ちる涙が、カルンの頬をするると伝い落ちてきた。
「余計なことばっかりして。未来の実が見せない未来を作ろうとするから、こんな目に遭うのよ」と、カルンが言う言葉には、自分自身に向けた疑いの音も混じっていた。
と、星の瞬く夜空から、カルンは手元を明るく照らす光があるのに気がついた。
はっとして手を止めたカルンは、地面に膝をついてまま、空を見上げた。
見たことのないまぶしい星が、自分を照らすように頭上に浮かんでいた。
「なに、あれ――」
と、夜空に浮かぶ青白い月の光におびえたカルンは、転げるように立ち上がり、建物の陰に逃げこんだ。
もぞもぞ と、カルンが掘っていた地面にひび割れが走ったのは、建物の陰に隠れたカルンが、恐る恐る顔を覗かせて、空の様子をうかがおうとした時だった。
地面に掘られた溝をすっかり埋めてしまった土砂が、吹き飛ぶされるように勢いよく舞い上がり、中から毛むくじゃらな人影が姿を現した。
手首にはまったブレスレットを引きちぎり、自分自身を取り戻したグレイは、空高く舞い上がった土砂が雨のように降り注ぐ中、再び溝に足を踏み入れると、鉄のような爪でガシガシと土を削り除け、埋まってしまった溝をあらためて掘り進んでいった。
言葉もなく、黙って様子をうかがっていたカルンは、そのまま後じさり、獣のような容姿に変わってしまったグレイを心配しつつも、建物の陰に身を伏せたまま、自分の小屋に逃げ出していた。
狼に変身したグレイは、目の前に立ち塞がる地盤と戦っていた。
まぶしいほどの月明かりに照らされ、鉄をも切り裂く爪の前では、うずたかく堆積した硬い土砂の壁も、容易に掘り進むことができた。
どこまで掘っても、いつまでたっても水が出てこない原因は、ごく在り来たりな理由だった。水が流れる地層の上に、一枚の固い岩盤が、蓋をするように堆積していたからだった。
ただ、それだけのことだった。しかし、固い岩盤を崩すには、確固たる意思を持った労力が必要だった。
安易に未来を見せてくれる木の実は、計画も行程も省いた結果しか見せてくれなかった。
大地を削れるほど強い力のなかった魔女達は、魔法に期待する人々の心が自分達から離れていくのを感じ、自分達が自然に生きていける場所を探して旅立っていった。
固い岩盤に爪を立てるグレイにも、しかし立ち塞がる者がいた。
「それを使って」
と、痛みに耐えながらシャベルを振るい、手で地面を掻くグレイに、いつの間にか戻って来たカルンが、広口のスコップを差しだした。
「――ありがとう」と、グレイはスコップを受け取ると、自信なさげにお礼を言った。
それからは、人間業とは思えない速度で、砂漠にまっすぐな水路が延びていった。
しかし、掘り進められる水路とは反対に、グレイはいつまでも湿った土しか出てこない状況に、唇を噛んでいた。
あと少しで、水が出てくるはずだった。もう少しで、水が流れ始めなければならなかった。
なのにどうして、水は出てこないのか――。
星明かりのまぶしい夜。
ねっとりとした粘土を何層にも重ね、モルタルで接着されたレンガ造りの壁のような地盤に、グレイが渾身の力を振り絞って、スコップの角を突き刺した時だった。
それは、グレイにしか見ることのできない、青騎士の魂だったのかもしれない。
スコップを突き刺された地面が、もぞりと身震いをした。
はっとして後ろに下がったグレイの目の前に、命を吹きこまれたかのような地盤が、溝から地上に突き出すように聳え立った。
手も足も、もちろん口も目もない地盤の壁は、身構えるグレイに向かって突き進んできた。
これまで、水を求めて地面を掘り進んできたグレイに、復讐でもしているかのようだった。
追いかけてくる地盤を背に、溝に沿って逃げていたグレイは、片手持ちのシャベルを手に取ると、振り返って突き立てた。
シャベルを突き立てられた地盤は、その移動をわずかばかり止めただけで、あっという間にグレイを頭から飲みこんでしまった。
偶然、土を掘る音が止んだのに気がついたカルンが、小屋をそっと抜け出して、グレイの様子をうかがいに外に出てきたところだった。
水を引こうとして掘られた溝を、生き物のようにうねる土砂の背中が見えた。
嫌な予感がしたカルンは息を切らせて溝に駆け寄ると、追いかけてくる地盤に反撃したグレイが、頭から覆い被さる地盤に飲みこまれるところだった。
「キャー――」
というカルンの悲鳴が、しんとした静かな街を、さらに静まり返らせるようにこだました。
生き物のようにうねり湧いていた地盤が、掘られた溝を埋め戻すようにぴたりと動きを止めた。